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北岡悟を破る大番狂わせ、8戦全勝でDEEP王者となった武田光司が目指すはUFC=2018年10月ベストファイターインタビュー

eFightの試合動画
試合レポートと同時にアップする速報動画では、KOシーンはスーパースロー再生。


毎月イーファイトが取材した大会の中から決める格闘技月間ベストファイター賞。2018年10月のベストファイターは、10月27日に大田区総合体育館にて開催された『DEEP 86 IMPACT』で、8戦無敗で絶対王者・北岡悟を破りDEEPライト級王者となった武田光司に決定!(2018年11月26日UP)

PROFILE

武田光司
1995年8月13日、埼玉県出身
身長170㎝
第9代DEEPライト級王者
BRAVE所属

選考理由
1、「国内トップクラスに長く君臨する北岡悟に勝利」
2、「デビュー以来8戦全勝、無敗でDEEP王座を奪取」
3、「まだ23歳と若く今後世界でも活躍が期待される」

選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ

 受賞された武田光司選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。

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贈呈:ゴールドジム

ベストファイター記念インタビュー
「まさか8戦8勝でベルトを獲れるなんて思ってもいなかったです」

■ジャブで北岡を完封も「打撃はめちゃくちゃ苦手です」

 大番狂わせが起こった。総合格闘技イベント『DEEP』のビッグマッチ、大田区総合体育館大会のメインイベントで行われたDEEPライト級タイトルマッチはファン・関係者をあっと言わせる結末となったのである。

 これまで4度の防衛に成功し、“絶対王者”として君臨してきた北岡悟(38=パンクラスイズム横浜)は長期にわたって国内ライト級のトップグループで活躍。数々の大舞台で国内外の強豪選手たちとしのぎを削り、強さとそのポジションを維持してきた。

 今回、その北岡のタイトルに挑戦したのが武田光司(23=BRAVE)だ。6歳でレスリングを始め、小学校、中学校時代に全国優勝を果たし、高校時代にはフリースタイルで三冠、グレコローマンで二冠を達成。大学時代もレスリングで活躍したが、大学を中退してシドニー五輪レスリング日本代表・宮田和幸のジム『BRAVE』に入門し、2017年10月にMMA(総合格闘技)でプロデビュー。

 圧倒的なレスリングの強さを生かし、今年4月には対日本人戦績3戦3勝3KOの強豪ツォゴーフ・アマルサナーから勝利。6月にかつて北岡のタイトルに挑戦したことがある宮崎直人、8月には大原樹里を破り、デビュー以来7戦全勝になると北岡への挑戦をアピールし、佐伯繁DEEP代表がその場でGOサインを出してタイトル挑戦が決定した。

 北岡は「挑戦者としてふさわしい選手だと思っています」と認めながらも、「(挑戦者が)他にいないから」との本音も。実際、関係者からも武田の挑戦は「まだ早いのではないか」との声が圧倒的に多かった。しかし、有力な挑戦者をことごとく退けてきた北岡が防衛戦を行う相手は他に見当たらなかったのである。前回4度目の防衛戦から2年4カ月もの間が空いてしまったのはそのせいだ。

北岡のタックルをかわし続ける

 しかし、試合開始後すぐに“これは”と思わせるシーンがあった。パンチの展開から北岡がタックルを仕掛けると、武田は付き合わずにすぐ離れたのである。以後も武田は自分からタックルに行くことはなく、北岡のタックルを切り続けてひたすらジャブを出す。時折、北岡の顔面を武田のストレート、フックが強襲した。

 レスリングを武器とする武田がレスリングで攻めず、ディフェンスだけに使ってジャブを突き続ける。この予想外の戦略は見事にハマり、3R中盤まで武田のペースは続いた。終盤、逆転を狙う北岡の右フックがヒットし、武田はダウン寸前となり、両者血まみれに。逆転KOの予感に場内は大歓声に包まれたが、武田は冷静にジャブを突いて体勢を立て直し、最後まで逆転を狙って仕掛ける北岡を突き放した。

ジャブを突き続けた武田

 ジャッジはいずれも武田を指示。北岡を破る大番狂わせを演じ、8戦無敗のまま王座に就いてみせた。

「僕はレスリングがベースなんですが打撃で挑んだというのもあって、今回が8戦目だったんですが違った意味でデビュー戦だったような感じがしました。自分の中では。タックルに一度も行かず。僕は投げを持ち味にしていたんですが投げにも行かず、本当に打撃だけの勝負だったので。新しい自分のスタイルが見えた試合だったのかなって感じでした」と試合を振り返る武田。

 レスリングの強い選手がそのレスリングを防御のみに使い、寝技を得意とする相手に打撃だけで勝負する。これはMMAの世界最高峰『UFC』のトップファイターに多く見られるスタイルだ。

 本当は「打撃はめちゃくちゃ苦手です(笑)」と意外なことを打ち明ける武田。「ジムに入った時にボクシング、キックボクシングが全然できなくて、打撃の練習の時は本当に鬱でした。また打撃を喰らうのかって。今でも苦手なポイントではあるので、今回の試合をきっかけに改善していけたらいいなと思いました」

 かつて徳留一樹や廣田瑞人もこのスタイルで北岡に勝利した。その試合から今回の作戦を考えたのかと聞くと、「その試合は全く見ていないです」との答えが返って来た。

「今回の作戦は宮田代表の指示です。完璧に全部打撃で行けと言われて。北岡選手が寝技が強いことは知っていたんですが、それに比べれば打撃の面で劣っている部分があるからと言われて、打撃メインでKOを狙いに行けと言われていました。いつも僕はグラップリング(組み技)の練習が7割だったんですが、今回は打撃を7割くらいにしてやりました」

 しかし、北岡もRIZINでダロン・クルックシャンクと打ち合いを展開し、最後はフロントチョークで勝利したことがある。打撃のみでも北岡に勝てる自信があったのかと聞くと「僕の打撃のスキルだと判定になるか、五分五分くらいかなと思っていました」という。

「1Rはお互いに見合っていたんですが、距離感がだんだんと分かって来て身体が勝手に反応し始めたんです。それで2Rは2度倒せたことも出来たので、僕の中でも“まさか”という展開が多々ありました。タックルに行きたいと思うことも今回は全くなかったです。まさしく練習通りの動きが出来ました」と、自分でも打撃が通用したことに驚きがあった。

 3Rの終盤には、逆転を狙う北岡の猛攻でピンチに陥る場面もあった。どう切り抜けたのか。

「2、3発右フックをもらってあの時の記憶があいまいなんです。ボーッとしていたところがあって。でも宮田先生の『ジャブを出せ』という指示が聞こえて、絶対にこの動きを貫かないとダメだなって思って。あそこで打ち合っていたら僕も負けると思っていたので、あの時はアドバイスが本当に助かりました。いつもの僕だったらあそこで変に組み付くか、殴り合っていたと思います。アドバイスがあってこその勝利です」

 わずか8戦目での北岡超え。この快挙に周囲は驚いたが、武田本人もすぐには実感が湧かなかったという。

「最近になってやっと実感が湧いてきました。試合が終わってから1週間くらい、みんなからおめでとうとたくさん連絡が来たんですが、なんか全然実感が湧かなかったんですよ。今になってようやくベルトを見返して、北岡選手が巻いていたベルトを獲ったんだ、北岡選手に勝ったんだ、というのがありました」

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