【月間ベストファイター・3月】野杁正明、タワンチャイをKOしONE世界暫定王者に！「武尊君と一緒にベルトをとりたい」

■盟友・武尊への想い、彼の怪我を明かした真意

ベルトを手に喜ぶ野杁©️ONE Championship

　暫定王者になってから数日後、野杁はマスコミの囲み取材で、同じ大会でロッタンにKO負けを喫した盟友の武尊について語っている。野杁は、武尊が試合2週間前に肋骨と胸骨を骨折していたことを明かし、ネットで話題になった。

　その真意を問うと「ロッタン選手が強かったのは間違いないです。でも、その上で武尊君がすべて出し切って負けたのならば、僕は何も言わなかったと思います。僕自身、ファン目線で言ってもまた見たいと思ったし、近くで一緒に練習をさせてもらっているので武尊君の強さを一番分かっています。それが（怪我で）出せていない状態だった」と批判を覚悟で明かしたという。

　また「SNSであまりにもいろいろと言われたり書かれたりしたのを見て悲しかったし、悔しかった。一番悔しいのは武尊君自身で、僕が言ったところで気持ちが楽になるはずがないのは分かっています。実際、逆の立場でも僕は怪我を公表しないし、それが明かされても嬉しくないと思います。でも、あのタイミングだと僕しか言えなかった」と続けた。

　武尊はロッタンに左フックをもらいKOされる直前、右のパンチをカウンターで当てている。だが怪我の影響か右のパンチを放つ際の体重移動が浅く振り切ることができず、返しの左フックができない体勢のまま痛打をもらうこととなった。“たら・れば”の話になるが、万全ならばあのフィニッシュとなったパンチはもらわなかったに違いない。

「僕がバシレウスに来たのも、ONEへ来たのも、武尊君と一緒にベルトをとるためです。あそこで終わってほしくないという僕の想いです。ONEの日本大会が開催できたのも、立ち技の格闘技を盛り上げてきたのも、一番のスター選手である武尊君がいたからだと僕は思っています。あそこまで戦って人を惹きつけることができる選手は、なかなかいません。本当に凄いなと思うし、僕が一番の武尊ファンなんです」

　今回の戴冠も含め、みんなへの恩返しのために野杁は身体を張っている。例え汚れ役になったとしても武尊を守ろうとする彼の気持ちは、きっと大切な人に届いているはずだ。これからも野杁は、茨の道が続いていくことになるだろうが、仲間とともに困難を乗り越えているに違いない。

■野杁が受賞の喜びを語る

　イーファイトの月間ベストファイターに選ばれた感想について野杁は、今回で3回目の受賞となり今年1月からの連続受賞に「また選ばれるようにと思っていたので、すぐに受賞できて嬉しいです！」と喜んでいた。イーファイトからは記念盾、ゴールドジムからサプリが送られる。

（取材/文＝松井孝夫、構成・編集＝イーファイト編集部）