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第8回「初めてのタイ取材は鬼の黒崎と行くツアー。ついにルンピニーとラジャダムナンへ」

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「ムエタイの魅力、語りまくります」の第8回。今回は初めてタイへ行って本場のムエタイを見た時のエピソードを中心に綴っていきたい。

 ボクが初めてタイへ取材で行ったのは、1990年の3月くらい。ゴング格闘技編集部に入って1年が経った時だった。当時、格闘技の書籍物を発行していたスポーツライフという出版社があって、そこが主催したツアーに同行したのである。ツアー名は「鬼の黒崎と行くムエタイツアー」。いまだかつて、こんなに恐ろしい名称のツアーがあっただろうか。

 そう、あの“鬼の黒崎”こと黒崎健時先生と一緒に行くタイツアーだったのである。他社とはいえスポーツライフとゴン格は昔から交流があったのと、黒崎先生からゴン格に取材依頼があったので、当時ボクは黒崎先生の人生相談コーナー(男!鍛錬塾って知ってる?)を担当していたためボクに同行取材の白羽の矢が立ったのだ。

「入ってまだ1年しか経ってないのにタイへ行けるのか~」とボクは大喜びした。そのツアーにはあの藤原喜明も同行するということで、週刊ゴングのページも担当することになった。このツアーがなかなかのドタバタツアーで、面白いことがいっぱいあったのだが、ただの思い出話ばかりになってしまうのでここでは割愛する。ひとつだけ書くとすれば、乗った飛行機がエンジントラブルで出発が2時間遅れ、すでに搭乗が済んでいたためボクらは2時間飛行機の中に閉じ込められて地上で機内食を食べたってことがあった。

 バンコクには夜に着いて、翌日はムエタイジム見学。有名なジムへ行ったのだが、名前は忘れてしまった……。そこにいたのが、日本で井岡弘樹、大橋秀行とプロボクシングの世界タイトルマッチで対戦したナパ・キャットワンチャイだった。ナパはサービス精神旺盛で、自らミットを持って藤原の蹴りを受けてくれ、ボクはその光景を写真に収めた。

 夜はついにムエタイ二大殿堂のひとつ、ラジャダムナンスタジアムでの試合観戦へ。冷房が効いていて、想像していたよりも近代的できれいなスタジアムだった。ここで何に圧倒されたかと言えば、試合の迫力よりも観客の熱狂ぶり。蹴りが決まると声をそろえて「オーイ!」の大合唱。ヒザ蹴りが決まると「ディー!」(良い、という意味=ヒザ蹴りはポイントが高いのだ)とこれも大合唱となり、つまらない試合をすると客席のあちこちから「シッ!シッ!」と歯の隙間から息を吹き出すような音をさせるのだ。これらが見事なまでに観客一体となってそろっていて、かなりやかましい。 ・・・

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