第12回「タイの国技ムエタイのチャンピオンは、相撲の横綱のような存在ではない悲しい話」
「ムエタイの魅力、語りまくります」の第12回。今回はちょっと切ないムエタイ戦士たちの話を中心に。ムエタイはタイの国技と言われながらも、日本の相撲のような地位や名誉があるわけではない……。
かなり前だが、ブアカーオにインタビューした時、彼はこんなことを言っていた。「日本人のファンは僕らのことを尊敬してくれたり、応援してくれたりするから嬉しいよ」。あなたはタイでも人気があるんじゃないですかと聞くと、ブアカーオは苦笑いして首を横に振った。「タイでは僕らをスポーツマンとして見てくれないんだ。ムエタイが好きな人には知られているけれど、一般の人たちは僕たちのことを知らないし、尊敬もされない」。
何とも悲しい話である。ボクも最初は、ムエタイの歴史ものを読むと昔の人気選手は“タイの英雄”と呼ばれていたとか、国民の尊敬を集めていた選手だった、というような記述があったので、ムエタイの一流選手とは相撲の横綱のようなものだと思っていた。ところが、そうではないということを、ゴング格闘技編集部の当時の上司から聞いた。
ムエタイは貧しい子たちが身体ひとつでのし上がれるものではあるが、そういう子たちがやるものという見方をされていて、タイでの職業的な地位は低い、と。当時の上司が言ったことなのでどこまで正確かは分からないが、少なくとも日本におけるプロ野球選手やプロサッカー選手、横綱とは比べようがなく、日本の格闘技人気に驚いてしまうくらいの地位にいることは間違いない。
例えば、こんな話がある。ボクは編集長の命を受けて、来日した外国人選手には必ずサインをもらっていた。それでムエタイ戦士からもサインをもらっていたのだが…… ・・・
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