第22回「ムエタイにおける世界最高権威は2大スタジアム。しかし、ベルトやランキングが強さの証明とは限らない?」
「ムエタイの魅力、語りまくります」の第22回。今回はムエタイという格闘技のシステムについて。競技性が高いようであって、そうではない部分も多々ある。摩訶不思議な格闘技、それがムエタイだ。
ムエタイの二大殿堂と言えば、ルンピニースタジアムとラジャダムナンスタジアム。ルンピニーはタイの陸軍が運営しているので陸軍系、ラジャダムナンは王室財務局が運営していたため王室系と称される(実際は1953年からラジャダムナンの方はラジャダムナン・スタジアム株式会社が管理している)。
ムエタイやキックボクシングの世界タイトルは世界中に数多くあり、世界チャンピオンが何人もいるような状態だが、ムエタイの世界で最高権威といえばこの2大スタジアムのチャンピオンであることに他ならない。外国人ではチャンピオンどころか、ランキングに入ることでさえ至難の業なのである。
ムエタイは軽量級が最も選手層が厚く、レベルが高いと言われている。フライ→バンタム→フェザー→ライト→ウェルターと階級が上の方になればなるほど選手層が薄くなり、レベルも落ちるというのが定説だ。ブアカーオがK-1MAXで活躍し始めた頃、よく言われていたのが「ウェルター級の選手を連れてくるより、ライト級の選手に体重を上げさせた方が強い」ということ。ブアカーオはかなり特別な存在だったので、そうとも言い切れない部分はあるが、そういう話が出てくるほどムエタイの重量級は評価されていない。
ルンピニーとラジャダムナンのタイトルが海外に流出したのは、これまで6度のみ。ラジャダムナンスタジアムは藤原敏男(ライト級)、小笠原仁(ジュニアミドル=スーパーウェルター級)、武田幸三(ウェルター級)、石井宏樹(スーパーライト級)の4人、ルンピニーがムラッド・サリ(ジュニアウェルター級=スーパーライト級)、ダニエル・クワーイートンジム(スーパーライト級)の2人。藤原敏男のライト級(58.97kg~61.23kg)が最も軽い階級(しかも、タイトル奪取時の1978年頃はライト級が最も層が厚かったとされる)で、スーパーフェザー級以下は前人未到の領域となっている。
ムエタイにおいてタイ人がどれくらい強いかと言えば、WBC(世界ボクシング評議会)が認定しているWBCムエタイのタイトル構造を見れば一目瞭然。WBCムエタイ世界タイトルのほかに、インターナショナル王座というものが存在する。これは、世界タイトルだけにするとタイ人がチャンピオンもランキングも独占してしまうため(実際ウェルター級以下は空位を除けば全てタイ人がチャンピオン)、タイ人以外が挑戦できるタイトルとして設けられているのだ。
これも昔からよく言われているが、真の世界ランキングを作ったら、軽量級はタイ人だけになってしまうだろう、ということ。つまり、サッカーのワールドカップのような大会がムエタイにあったとしたら、ワールドカップで優勝するよりもタイ国内予選で優勝する方が難しいということになる ・・・
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