2014年9月度MVP 内藤のび太
毎月イーファイトが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2014年9月のMVPは、9月27日(土)東京・後楽園ホールにて開催された『プロフェッショナル修斗公式戦2014年第7戦』で室伏シンヤ(SUBMIT MMA)にスリーパーホールドで一本勝ち、世界フライ級王座を奪取した内藤のび太に決定!(2014年10月7日UP)
PROFILE
内藤のび太(ないとう・のびた) |
選考理由
1、「修斗世界フライ級王座を奪取」
2、「デビュー以来8戦全勝で王者に」
3、「逆転の一本勝ちで会場を大いに沸かせた」
選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技の各格闘技雑誌の編集長とイーファイトの全スタッフ
受賞されたのび太選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムMVP記念インタビュー
「とにかくめいっぱいやろう、と思って仕掛けに行っただけです」
■試合時間残り3秒での逆転一本勝ち
丸メガネに黄色いシャツ、頭にはタケコプターとあの国民的マンガのキャラクターそのままに、同門のジャイアン貴裕に首根っこをつかまれての入場はどう見ても強そうには見えない。
しかし、ひとたびリングに上がれば相手をタックルでテイクダウンしまくり、上からパンチを叩き込み、関節技を極めて、プロデビュー以来無敗の7戦全勝。
この“強すぎるのび太”こと内藤のび太が、9月27日・後楽園ホールにて修斗世界フライ級タイトルマッチに挑んだ。王者・室伏シンヤはデビューから7年3カ月、ようやく手に入れたタイトルのこれが初防衛戦。のび太の実力は認めながらも「イロモノには負けたくない」と試合に臨んだ。
1Rと2Rは室伏が上手さを見せた。両ラウンドとものび太は立ったままバックを奪われ、背後からのパンチを顔面に浴び続けたのだ。
「本当は全ラウンドのポイントを取って圧倒的に勝つつもりだったんですが、全然取れなかったです。バックを取られたらダメだと思っていたのに、下がりすぎて取られてしまいました。あれでは負けていてもしょうがなかったです」
弱気になりそうなのび太を支えたのが、所属するパラエストラ松戸の鶴屋浩代表を始めとするセコンド陣だった。
「インターバルの時に“大丈夫だ、相手が後半疲れればテイクダウンを取れるようになるから”と言われて、それを信じてやりました」
のび太が勝負に出たのは3Rからだった。ついにタックルでテイクダウンに成功し、立ち上がろうとする室伏を逃さず寝技に引きずり込んだ。マウントポジションを奪い、さらにバックを奪ってパンチを入れ続ける。
「3Rが勝負だと思って行きました。ここも取られたら終わりだ、と。もし3Rもバックを取られていたら、最終5Rまでもつれ込んでも負けだろうって。相手の方が攻めていた分、疲れているかなと思ったので、後半の逆転に懸けるしかなかった」
3Rに形勢逆転したのび太は、4Rもテイクダウンを奪って攻め続ける。室伏が立ち上がろうとしてものび太は離れず、しつこくまたテイクダウンして寝技に持ち込む。5Rも同様の展開で、このまま判定になってものび太の勝利となりそうだった。
「1Rと2Rは間違いなく取られていたので、判定になったら微妙だと思っていたんです。出来れば判定勝ちではない方がいいなっていうのがあったので、ずっと勝負に出ていたんですが全然技が極まらなかった」
しかし、攻めまくるのび太はバックを奪うと、渾身の力を込めてスリーパーホールド。これが見事に極まり、一本勝ちを収めた。残り試合時間はわずか3秒の出来事。力の入った熱闘の劇的幕切れに、観客は沸きに沸いた。
「残り時間には気付いていませんでした。とにかくめいっぱいやろう、と思って仕掛けに行っただけです。そこまで冷静では無かったですね。もう、いっぱいいっぱいでした」
■王座奪取も8戦全勝も「たまたまです」
のび太は22歳で総合格闘技を始めた。それまで何もスポーツはやっておらず、「宙ぶらりんの生活をしていました」という。たまたま道場へ習いに行き、練習が楽しくて続けていただけで、自分がチャンピオンになるどころか試合に出ることも考えていなかった。
ある日、先にプロデビューしていたジャイアン貴裕から、入場パフォーマンスの時にのび太役をやってくれと頼まれた。その姿があまりにもハマっていたのだろう。後にプロになることが決まると、「リングネームを付けろ」と言われ、周りの多くの人たちから「のび太しかないでしょう」と言われてリングネームが決まった。
のび太はタイトルマッチを振り返り、「たまたまああいう形で勝てたから良かったです。タイミングが全部良くて、僕に少し有利だったというだけですね。前はタイトルマッチも5分3Rだったのに、今は5分5Rになったりとか。3Rだったら負けていました」と、勝てたのは「たまたま」だと言う。
8戦無敗であることについても、「そんなに凄いと言われるような感じではなく、たまたまうまいこと勝ててよかったというくらい。今のところは負けていないですが、次はどうなるか分からないですからね。自分が強いと思ったことはないです。今は出来すぎなので、それが怖い。これからが不安です」と弱気な姿勢。
フルラウンド動き続けるスタミナと決して諦めることがない根性で、粘り強く戦って最後は競り勝ってきたが、それについてものび太はこう言う。
「スタミナも言うほどないです。今回は室伏さんが前半にかなり使って後半疲れていたから、余計に自分の方がスタミナがあるように見えただけで。あと自分にはパワーがないので、その分、スタミナが長持ちするのではないかと。武器もあまりなくて、強いて言うならテイクダウンが取れたら勝てるかなってくらいです。逆に取られることもありますし、練習では自分が下になることが多いです」
あくまでも弱気、ネガティブなのび太ではあるが、「修斗のチャンピオンベルトって凄いじゃないですか。強い人たちが巻いているのを格闘技雑誌で見ていました。それを自分が巻いているなんて信じられない。だから、チャンピオンになれてちょっとだけ自信が付きました」と、チャンピオンとしての誇りは芽生えているようだ。
試合後にはジャイアン貴裕がマイクを持ち、「のび太がどうしてもやりたいと言っている」とパンクラスのフライ級王者・砂辺光久に宣戦布告したが、のび太自身の目標は「次の試合にも勝てたらいいなってくらいで。日本最強を目指す? そんなカッコいいものじゃないです」と、やはり弱気だった。
勝ち誇らず、謙虚に努力する。リングに上がれば豹変して、死に物狂いで勝ちに行く。そんなのび太が周囲に愛されていることは、タイトルマッチで勝った瞬間の大応援団の喜び様、感動して涙する者までいたことが物語っている。
関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「最強のび太、無敗のまま世界王者に」
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