2014年11月度MVP 大和哲也
毎月イーファイトが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2014年11月のMVPは、11月15日(土)東京・後楽園ホールにて開催された『NJKF 2014 8th』でサゲッダーオ・ペットパヤタイ(タイ)に3RでTKO勝ちし、梅野源治とともに日本人初のWBCムエタイ世界王者となった大和哲也に決定!(2014年12月5日UP)
PROFILE
大和哲也(やまと・てつや) |
選考理由
1、「日本人初のWBCムエタイ世界王座奪取」
2、「ムエタイの強豪にリベンジ達成」
3、「今後海外でも活躍が期待される」
選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技の各格闘技雑誌の編集長とイーファイトの全スタッフ
受賞された大和選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムMVP記念インタビュー
「ムエタイでアメリカンドリームをつかみたい」
■必殺技をあえてつなぎに使うなどの心理戦を制した
2005年2月24日に設立されたWBC(世界ボクシング評議会)のムエタイ部門である「WBCムエタイ」。その世界タイトルを日本人選手がついに初奪取した。
大和は昨年5月、アメリカでWBCムエタイ世界スーパーライト級王者サゲッダーオに挑戦してTKO負け。世界タイトル獲得に失敗した。それから1年半の時間を経て、日本で再挑戦するチャンスをつかんだ。
ダブルメインイベントの第1試合では、梅野源治(PHOENIX)がWBCムエタイ世界スーパーフェザー級王座決定戦に臨み、元ラジャダムナンスタジアム認定フェザー級王者ジョムピチット(タイ)を破り、一足早く世界タイトルを獲得。約2年間、WBCムエタイ世界タイトルを目指して活動してきた大和にとってさらにプレッシャーが強くなったかと思いきや、大和は自分の試合に集中していて冷静だったという。
リングに上がり、サゲッダーオと向かい合うと「去年とは違う。マジだ」と感じたという。アメリカの試合では最初はナメた態度を取っていたサゲッダーオだが、再戦となる今回は大和を強敵と認め、最初から気合いを入れていたのである。
1Rは様子を見ていたサゲッダーオは、2Rになると得意の首相撲に持ち込み、大和の動きを封じる。3R、サゲッダーオは前蹴りで距離を取って左ミドルを巧みに当て、大和はなかなか入ることが出来ない。そして、サゲッダーオの左ヒジをもらって大和が下がる。
しかし、サゲッダーオが左の縦ヒジに来たところで大和がお返しの左ヒジ。この一発でサゲッダーオは鼻から大流血し、力なくロープ際へ下がる。大和はそこへ左右のヒジを連打し、サゲッダーオをロープへ釘付け。ドクターチェックが入り、サゲッダーオは鼻骨骨折でストップ。大和がTKO勝ちで悲願のWBCムエタイ世界王座を奪取した。
「前回負けてから1年半ですから、僕はガラッと変わっていたと思います。例えば身体つきも変わりましたし、技術も経験も変わっている。全体のレベルが底上げされていた。でもサゲッダーオはベテラン選手で伸びた部分はほとんどなく、進化した自分との差が出たのかなと思っています」と、勝因を語る大和。
「前回は左ボディブローが効いたので、ボディを攻めすぎてしまいました。そこでカウンターをもらってしまった気がするので、今回は距離を保ちつつ、追いすぎないようにしました。攻められた時も焦る気持ちはなく、距離を保ちつつ、逆に向こうが入ってきたところに合わせようと練習して試合も組み立てました。今回は、やりたいことを自分の方が出来たと思います。左ボディでいいのが一発入りましたけれど、そこで行かずに作戦通り我慢しました」
左ボディブローは大和の得意技だ。それを封印することに戸惑いはなかったのだろうか。
「ボディを狙ってボディブローへつなげる攻撃をメインにするというよりも、ボディブローをつなぎの技にするイメージでやりました。必殺技をつなぎに使ったんです。向こうは僕がボディを狙って入ってくるだろうと見越して入ってきたと思うんですよね。でも僕は向こうが入ってくるところに合わせたかった。その心理戦を僕が制した気がします」
■目指すはラスベガスの舞台
2010年に「K-1 WORLD MAX -63kg日本トーナメント」を全試合KOで制した時は、KOを狙って自分からガンガン行っていたと振り返る大和だが、「ヒジありルールであのペースでやったらヒジをまともにもらってしまいます。だから僕はこういうヒジありの方が冷静に戦えますし、探り合いの方が得意だと思うんです。
僕は元々、基本的には相手が出てくるのに合わせるパターンが多いです。K-1の時は、それまでの試合であんなに打ち合うことがなかったので、自分でもビックリしました」と、ヒジありのムエタイルールの方がK-1ルールよりも自分は向いているという。
「これからは冷静に、勝負どころをしっかり見極めないと勝っていけない。先に向こうのヒジが右の頬にヒットして口の中をざっくりと切られたんですが、僕の左ヒジが相手の鼻に当たった。3~4センチの世界ですけれど、数センチの差で勝敗が決まるのが世界トップレベルの戦いじゃないかって思いました。
向こうのヒジがもし数センチ高かったら僕が切られていたかもしれませんし、僕のヒジが低かったり高かったり、ちょっとでも角度が違ったら鼻を折れなかったとも思います。そういう数ミリ、数センチの差の世界、1秒でも0コンマ何秒でもズレたら勝利は出来ないような戦いが世界クラスの戦いなんだろうなって、今回戦って勝ったことでしみじみとその大切さを感じました」
WBCムエタイ世界タイトル奪取という大きな目標を達成した大和。次なる目標は?
「WBCムエタイが出来たのは、タイのムエタイ関係者がムエタイを世界的なスポーツとして広げることを目指したからです。僕もムエタイを競技としていろんな人に知ってもらいたいので、まずは欧米人選手を相手に防衛したいと思います。チャンピオンになった以上は絶対王者を目指すしかないと思いますし、ムエタイのスーパーライト級に大和哲也ありを知らしめたい」
3月には海外での試合を予定。海外でもどんどん試合を行っていきたいと大和は希望し、昨年9月に試合をしたラスベガスでまた試合をしたいという。
「アメリカではUFCだけではなくムエタイも盛り上がってきているので、僕もまたラスベガスに出ていい試合をして、向こうの団体と契約出来たら最高ですね。日本人で、しかもムエタイでラスベガスでの契約なんて初めてだと思うので、自分がやってやりたいって気持ちがあります。
ファイトマネーも英語が分からないふりをして、いろんな選手の書類を見たらけっこういい額をもらっていたので(笑)。ムエタイでアメリカンドリームをつかみたいなって思っています」
大和はまだ26歳。これから円熟期を迎えて行く年齢だ。日本人初のWBCムエタイ世界タイトル奪取という誰もが成し得なかったことをやり遂げたように、これからも新たなる道を切り拓いて行くだろう。
関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「大和&梅野が日本人初WBCムエタイ世界王座を奪取」
・関連動画「大和哲也vsサゲッダーオのWBCムエタイ世界戦」をノーカットで
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