2015年9月度MVP 日菜太
毎月イーファイトが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2015年9月のMVPは、9月16日(水)東京・後楽園ホールで開催された『REBELS.38』で、アンディ・サワーにダウンを奪って勝利した日菜太に決定!(2015年10月11日UP)
PROFILE
日菜太(ひなた) |
選考理由
1、「K-1王者アンディ・サワーに日本人4人目の勝利」
2、「ハイキックでダウンを奪い観客を熱狂させた」
3、「円熟期を迎え世界での活躍が期待される」
選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技の各格闘技雑誌の編集長とイーファイトの全スタッフ
受賞された日菜太選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムMVP記念インタビュー
大みそか格闘技イベントでキックの試合がしたい
■本当に覚悟を決めていました
「負けたら引退しようと思っていました」
日菜太の第一声は衝撃的な言葉だった。今回の試合が決まってから、日菜太は「1Rで倒されたりとかダメな試合をしたら、もう辞めようと思っている」と記者会見やインタビューで発言していたが、実は「どのような負け方であっても、負けたら引退」を心に決めてリングに上がったという。
「リングインする時に“これが最後のリングになるのかな”と思っていました。その時、山口さん(山口元気=所属ジムの代表)がいたので“今日この試合を組んでくれてありがとうございました”とお礼を言いました。本当に覚悟を決めていました」
サワーはK-1 WORLD MAXの世界トーナメントを2度制覇、シュートボクシング(以下SB)世界トーナメントS-cupでは4度も王者となっている最強外国人選手。日本人でサワーに勝ったのは、魔裟斗、緒形健一、緑川創のわずか3名のみ。多くの日本人選手がその壁にぶつかっていき、砕け散った。
日菜太も2010年9月にサワーとSBで初対決しているが、この時は立ち関節・絞め技ありのSBルールで対戦し、サワーが奇襲攻撃を仕掛けて1R48秒、スタンディングチョークスリーパーで日菜太からギブアップを奪って勝利している。今回は打撃技のみのキックボクシングルールでの再戦となった。
悲壮な決意を胸に臨んだ日菜太だが、入場時には笑顔を浮かべていた。
「今回は370人くらいの応援団が前売り券を買って来てくれたんですが、そのほかにも当日券を買って観に来てくれた知り合いが客席にたくさんいたんです。それを見て、思わず笑顔になってしまいました。実際は、僕の前の2試合がKO決着だったので、ウォーミングアップする時間が少なくて急いで試合の準備をしたんです。それでリングインした時に、顔にワセリンを塗ってなかったことに気付いて焦ったほどでした」
試合は1Rから日菜太がペースを握った。
「最初に自分がプレッシャーをかけて、いい距離で戦えた時に左のテンカオ(相手をつかまずにヒザを前に突き上げる蹴り)が入ったんです。そうしたらサワーが凄く嫌そうな顔をしました。自分のスタイルが通用する、と思いましたね。その後にも左ボディストレートからのローキックなど、いいコンビネーションが出ましたし、いい距離感で戦えたんです」
1Rは日菜太にポイントが付いたと判断したか、サワーは2Rになるとパンチで前に出てきた。下がりながら蹴りで対抗していた日菜太だが、思わぬチャンスがやってくる。左ハイキックでダウンを奪ったのだ。
「1Rからハイキックを蹴っていて、高めの蹴りは最初から狙っていたんです。それで高めのミドルを蹴った時に、たまたまサワーがローを蹴ろうと踏み込んできたので、ハイが当たりました。あんなに綺麗にハイキックが当たるとは思わなかったし、それでダウンを取れたのは大きいです」
このハイキックでのダウンが決定打となったが、日菜太はそのほかのテクニックがあっての勝利だったと振り返る。
「今年に入ってからテンカオでペースをつかめるようになったし、最近は前蹴りとジャブもいいなって自分でも思います。今回で一番よかったのはサワーが前に出てきた時に、ジャブを打ちながら回り込んだり、右フックを引っ掛けて体勢を入れ替えたり、テンカオで止めたり出来たことです。ミドルだけでなく、幅広い攻撃で相手を止めることが出来るバリエーションが増えました。これはいいバランスで練習が出来ているからだと思うんですよね。
K-1ルールのような試合はボクシングが出来ないと絶対にダメですが、それプラス、キックの技術で止めることも大事ですし、その両方が出来てきているんじゃないかなって感じます。今までやってきたことの積み重ね、教えてもらってきたことの蓄積が花開いたのかなって思いますね」
ボクシングは、プロボクシング日本ウェルター級王座を5度防衛した加山利治(現EBISU K’sBOX会長)に師事している。
「今回は打ち合えましたし、パンチでいい攻めも出来ました。あと、パンチをまともにもらっていないのが大きい。パンチが凄くよく見えたんです」
■ここからは僕の中では“ボーナスステージ”
日本人選手たちの厚く高い壁となって立ちはだかってきたサワーを乗り越え、その先に見えてきたものとは何か。
「あまり実感が無いんです。周りの人の反応を見ると凄いことをしたと思いますが、もう自分の中では過去のことにしないと次の目標を達成出来ない。ここからは僕の中では“ボーナスステージ”だと思っているんです。どこまでこのボーナスステージを勝ち上がっていけるか、ですね。
僕の中ではサワー戦で終わりだったんですが、勝ったことで現役生活が伸びたんです。だからボーナスステージ。ここからは自分の名前を上げるため、自分の価値を上げるための試合になっていくと思います。ここからの負けは、おそらく引退につながるような負けになってくるだろうし、それくらいの覚悟をもって1試合1試合やらないといけない、と気を引き締めています」
次の試合は12月下旬か1月頃と考えているが、日菜太にはひとつの目標がある。
「大みそかに格闘技イベントをやるじゃないですか。僕はまだ大みそかに出たことが無いので、そこに出たいって気持ちがあります。キックルールで試合を組んでもらえれば、総合格闘技の中でもキックボクシングって凄いなっていうのを今なら見せられると思うんです。
当時、K-1で僕を見ていた人に多少なりとも覚えていてもらっていると思うので、日菜太はこれだけ強くなったというのを見せたい。選手として大みそかの舞台に立ってみたいです。実力も実績もついてきたと思うし、今の日本の70kgで一番強いのは僕なので出して欲しい」
魔裟斗が現役の時代は、華やかだった70kgという人類最激戦区と言われた階級。あの時代の熱を取り戻したい、そのために自分にチャンスを与えて欲しいと日菜太は願っている。
関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「日菜太がサワーからハイキックでダウン奪い勝つ」
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