ブルガリアの空手に剣術を指導!小柄も重い日本刀を空気のように扱う姿は「まさにミラクル!」
ブルガリアの極真空手は剣術も学ぶ。7月6日から12日までブルガリア・ヴァルナにて極真空手を中心としたKWU戦士の夏合宿が開催。そこでは日本の剣術の指導が行われ、極真の道着を着た猛者たちが一斉に剣を振るっていた。指導する「荒木無仁斎直伝 尾川流兵法」の尾川雅則宗家は160cmと小柄ながら重い日本刀を空気のように扱うミラクルぶり。まるで身体の一部のようだ。
一般的に空手の武器術は沖縄空手に起因する棒やトンファー、サイ、ヌンチャクだが、日本刀は珍しすぎる。一体なぜ空手が剣を?
ブルガリアの極真に居合、剣術を取り入れるのは極真空手六段、アセン師範。若い頃は来日し世界大会に出場したこともある。アセン師範になぜ空手に居合、剣術なのかを聞くと「身を守るには極真空手だけでなく、武器術も必要。剣術もその一つだが、その中でも居合(鞘に納めた状態から剣を抜き、実戦の動きを行う)を重視しているのは、精神を作りやすいこともあるからです。私も今日、朝から激しいトレーニングをしましたが、そのあと道着と袴に着替え、居合を30分行いました。精神が研ぎ澄まされ集中し、荒々しい気持ちが消えます」と語る。
アセン師範は居合歴18年、真剣で練習している。「模造刀(切れない刀)とは集中力が違うんだ」と語る。ブルガリアの極真の生徒たちに身につけてほしいのは「静かなマインドから、戦うときは虎のように強くなる。そうなってほしいんだ」と微笑んだ。ちなみに真剣を持つのは、刀の扱いに慣れた有段者からが一般的である。
居合と剣術の違いは、居合は鞘に納めた状態から一人で行う型稽古が中心であり、剣術は鞘を抜いた状態で相手と対する型稽古が中心であるという点にある。精神統一という意味では、刀を鞘に納めた状態から立ち、あるいは座った静かな状態で剣を抜く居合の方が、その要素を得やすいかもしれない。
筆者も空手黒帯で、居合は1年程度の初心者だが、重い刀を振って型を行うと、素手の空手とは勝手が違ってくる。重い刀を扱うには、正確な軌道で刀を抜くことが必要となり、丹田を意識し肩の力を抜くことが重要である。さらに実戦を想定しているため、徹底的に身体の動きの無駄が削ぎ落とされている。そのため、少しでも居合を身につけると、空手の動きも無駄のない美しい動きが身につく。
今回の合宿で指導したのは前述の「荒木無仁斎直伝 尾川流兵法」の尾川雅則宗家。源流は戦国時代の武将・荒木村重の孫(家系)とされる荒木無仁斎秀綱による荒木流拳法(荒木流)であり、戦国時代の戦場で必要とされた戦闘術に由来する。
尾川宗家は実家が道場だったことから、物心ついたときから剣を握っており、身体と剣が一体化し、どのような動きにおいても剣が身体の一部のように無駄がないことには驚かされる。
尾川宗家がこのブルガリア合宿に参加したのは、この合宿でも打撃の指導を行った大道塾の長田賢一塾長の推薦だった。長田塾長は人間にとって最適な身体の使い方を研究しており、大道塾以外にも空手、居合を学ぶ。塾長に話を聞くと「尾川宗家の体の使い方は素晴らしいものがある。ポーランドで出会い感銘しこのキャンプに推薦しました」と語った。
尾川宗家は、刀としては重い部類に入る1.3kgの真剣で指導したが、空気のように軽々と俊敏に動く姿はまさにマジックのようであった。居合を行う者の中には、刀の重さから肘や肩を痛める者も多いが、怪我をしないのかという質問に対して「重い刀で稽古しても、今まで一度も怪我をしたことがないです」と答える。「力、筋肉は使わない。”よっこいしょ”と体を持ち上げるような初動はしない。重力を使い、腕の力を使わず、膝を抜き、骨で動く」と動きを見せてくれる尾川師範。振り下ろす瞬間に構えた足を瞬間的に前後に入れ替える独特の技も公開した。それは単なるパフォーマンスではなく、身体に負担をかけない合理的な動きであるという。納得だ。
この指導は好評で、6日間にわたって行われた指導の初日には10人程度だった受講者が、翌日には倍以上になるなど日々受講者が増え、50人来た時には用意した木刀が足りなくなっていた。さらに尾川師範は10年以上ムエタイの経験があり、居合を応用した打撃格闘技の身体の使い方を指導するなど大好評だった。
このブルガリアは武道が盛んで東京五輪や極真空手でも世界チャンピオンも輩出している。この強さへの向き合い方、良いものは吸収しようという姿勢が強さにつながっているのだろう。
尾川宗家は現在、ポーランドを拠点に、ヨーロッパなどで武術や剣舞を指導するとともに、日本でも稽古会を開いている。7月19日から2ヶ月日本に滞在し稽古会を行う予定だ。
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— eFight(イーファイト)格闘技&フィットネス情報 (@efight_twit) July 19, 2025
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