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第21回 現役時代の宿敵・大江慎の愛弟子、望月竜介に惚れた!の巻

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最新の試合を題材に、打撃のスペシャリストである筆者が打撃技術を分析していく。その第21回目は、現役時代の宿敵であり、格闘技史に残る死闘を演じた大江慎が育てた愛弟子・望月竜介。全日本キック70Kg級トーナメントを制した、望月の見事な技術とは?

■望月は私の戦い方に属する「功打型」

 2008年1月4日に行われた全日本キック70Kg級トーナメントで、望月竜介が文句のない試合運びで優勝した。

 準決勝のスターリン戦では、左内ローを駆使した頭脳的な戦法によるKO勝ち。続く決勝戦では、優勝候補の山内との 死闘を制して勝ち上がってきた白虎に対し、決して無理に相手の得意なフィールド=パンチの打ち合いにはつき合わず、相手の左前足に的確に右ローキックを決 めての見事な戦略を活かしての KO勝ち。

全く危なげなく、相手の急所へ要所要所に蹴りを放ち、完璧に近い形で倒してしまった望月を見て、思わず「え? 望月のトレーナ-は誰だった?」と思ってしまった。

 この望月のトレーナーこそは、意外にも 私が現役時代に死闘を演じたあの大江慎(以下、大江君)なのである。

 何故、意外なのか?

 大江君の現役時代の得意技は言わずと知れた、パワフルな左ミドルと切れ味鋭い一発の破壊力に長けた左ストレート。いわゆる左を主武器とした倒し屋=パワーファイターである。

 1994年11月22日の大江君との試合のことは今でも覚えている。あの時ほどの蹴りの衝撃を受けたことは いま だかつて一度もないからだ。万一まともに貰えば、一発で腕を潰されかねない程の威力を持ち合わせていた。(残念ながら現在の国内の選手に、これだけ一発の 破壊力を兼ね備えている者は私の知る限りいない)

 そんな一発倒し屋の大江君だからこそ、選手も当然の如くパワフルな一発屋? と思ってしまうのだが…。しかしながら、弟子の望月は一発屋というよりは、どちらかといえば私の戦い方に属する「功打型」の選手といえるからだ。

 望月の戦い方は決して相手に合わさず、相手を不利な側面へ追いやる様に、相手の弱点をコツコツ狙っていくスタイルだ。野球で例えるならば、バントと安打を重ねながら、相手の短所を攻め込み打ち勝つといった感じか。 ・・・

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