第24回 中蔵隆志VS天突頑丈、その時リング上で何が起こっていたかの巻
最新の試合を題材に、打撃のスペシャリストである筆者が打撃技術を分析していく。その第24回目は、5・3修斗JCBホール大会で行われた「世界 ウェルター級チャンピオン決定戦」中蔵隆志VS天突頑丈。ご存知のとおり、中蔵に打撃術を指導し、セコンドにも付いているのは筆者だ。試合前、そして試合 中にどんな対策が行われていたのか?
■天突のビデオ研究で、負けないポイント6点を抽出
5月3日に行われた修斗世界ウェルター級チャンピオン決定戦、中蔵VS天突の一戦。修斗の象徴とも言える伝統のウェルター級世界王者のベルトを賭 けた闘いだが、両者にとっては2006年10月以来の再戦となり(前回はドロー)、前回の対戦以降の二人の過程を問われるべく闘いでもあった。
両者共に腰が強くなかなかテイクダウンすることは難しい? という予測のもと、試合の主導権を握るには打撃面で優位に立つことが必須ーーと思い、 中蔵の打撃を指導している私は、恒例の対戦相手のビデオ研究から始めることにした。2006年10月の中蔵戦、直近の廣田戦のビデオを中心に。
それらのビデオ観戦より、試合に負けないためのポイントとして下記の6点を抽出した。
(1)非常に圧力があり、前に出る力も強く、抜群の打たれ強さとスタミナを誇る天突相手に真正面から打ち合うことは得策ではあらず。
(2)相手から例え数センチでもサイドにずれることが出来ればベスト。
(3)サイドへずれることが圧に押されて出来ない場合は、まっすぐでもいいので流れに逆らわず大きく退く必要がある。
(4)左ジャブに対してパーリング、右クロス、バックステップ等の反応は見られず。パンチを受ける時は少し腰を落として踏ん張っている様にも見える。
(5)右ストレートに対しては公式の如く右を即返してくる。これが速い。
(6)攻撃を仕掛けてくる時は、丁寧に左足からしっかり踏み込んで重心移動させながら、攻撃の大半がワンツーからの入りである。ワンツーから左ストレートにもよくつないでくる。しかし左フックなどはあまり見られない。等々。
試合前の対戦相手を想定した約束練習では、(1)~(6)の点を遵守し、うまく適応出来る様に繰り返し反復した。また、こちらからの仕掛けとしては特に左ジャブの仕掛け練習に8割もの時間を割いた。
中蔵は元々体が柔軟で、動きそのものも重心が上がらないがために、対応力に関しては非凡なものを持ち合わせていた。それゆえ、技の呑みこみ度が早 く、また理解力に優れているため、順応もきわめて早い。試合を控えた1週間前の練習時点でも、上記の6ポイントにおいて、9割がた精度よく対応出来ていた 程だ。
■冷静にセコンドの助言を聞きいれ頭にインプット ・・・
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吉鷹弘の「打撃」研究室 第24回 内容 |
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