第26回 スポーツ界の常識を覆した男・金井健治の巻
最新の試合を題材に、打撃のスペシャリストである筆者が打撃技術を分析していく。その第26回目は、25歳でプロデビューし、年に1~2試合とい うスローペースでキャリアを重ね、32歳になってからアンディ・オロゴンらを相手に怒涛の6連勝を飾るという超・遅咲きのシュートボクサー金井健治。彼は 9月12日(金)後楽園ホールで『シュートボクシングワールドトーナメントS-cup2008』への出場権を懸け、宍戸大樹と対戦する。1年前なら誰もが 予想できなかったこの快進撃の秘密はどこにある?
■筆者が指導した技術的な練り上げが通じない!
今までスポーツ界でこれほど遅咲きの選手がいただろうか? 第一線に出てくる選手は駆け出しの頃から、それなりの片鱗を僅かでも見せてくれるものだが…。
例外的な年齢や戦積から、技術的にも体力的にもこれ程までに大化けした選手は国内にはまずいない。私の格闘技生活25年の中でもいまだかつて見たことがないし、それは格闘技だけでなく他のスポーツもにおいても同様だ。
今、国内のシュートボクシング(以下SB)界で最も勢いがあり、かつ強い男、金井健治(ライトニング)はスポーツ界の常識を見事なまでに覆した選手! といっても過言ではない。
そんな金井がいよいよ9月12日(金)後楽園ホールにて S-cupの残る日本人枠1枚の切符を求めて宍戸大樹と対戦する。ここ数戦の両者の試合を観る限り、技術面・体力面・3Rのヒジなしルール、そして勢いの面からいって金井有利はどうしても否めないだろう。
金井の快進撃はいったい何時から始まったのだろうか? それは 昨年の11月30日に後楽園ホールにて行われた山口太雅(寝屋川)との対戦からではないだろうか。
この時の両者の試合は1年越しで行われた再戦であったのだが、前回の試合では延長の末、金井が判定で辛くも逃げきった印象があった。それゆえ、山 口の技術面を指導している私は上手く金井の勢いを凌げれば山口に今回は勝機あり…と察して、金井の出鼻を挫く左ストレートやサークリングを山口に何度も反 復させ、試合に挑ませた。が、そんな技術的な練り上げも、いざ試合が始まると微塵の欠片も出せることなく試合は終焉を迎えたのである。
1R序盤から、今までの金井ではあり得ないくらいの前に出る圧力が山口を退かせる。退かせるばかりか、圧倒的な圧力に押されて山口は重心を完全に浮かされてしまう有様。
「これはやばい…」と思った瞬間、コーナー際で押し込まれた山口がなんとか劣勢を打開しようと左ストレート出すところへ、ドンピシャのタイミングで左フックを合わせた金井。この左フック一発で山口はKOされてしまったのである。
完璧な一発! 強いと思いたいところではあったが、相手が山口だったということもあってか、ラッキーパンチではないかと…。まだSBの国内トップを争うには厳しいか、と思ったのも事実である。 ・・・
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吉鷹弘の「打撃」研究室 第26回 内容 |
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