第38回 佐藤の左ジャブのバリエーション、恐るべし!の巻
打撃のスペシャリストである筆者が打撃技術を分析していく連載コラム。今回は6月25日に行われた「K-1 WORLD MAX 2011 -63kg Japan Tournament FINAL」のスーパーファイト、佐藤嘉洋vsアルバート・クラウスを分析。3度目の対決で見せた佐藤の技術的成長とは?
■1分半が経過するまでに約40発放たれた多種多様なジャブ!
「K-1 WORLD MAX 2011 -63kg Japan Tournament FINAL」の中でスーパーファイトとして行われた試合、佐藤嘉洋vsアルバート・クラウスの一戦。今回で3度目の対戦でもある。
経験上、3度目ともなると相手の攻防パターン・スピード・スタミナなどは頭と感覚でおおよそのことは分かるものである。それゆえ、試合前にいくらかの対応策を練り上げてくるのが普通。
事実、そうだったかは本人の談話を確認しなければ断定は出来ないが、3度目のこの2人の攻防は過去の2戦とは幾分異なる展開に序盤からなっていた。
過去の2戦同様、前に出ながらプレッシャーを掛けていくクラウス。一方、冷静にその圧力を捌き、間合いを保持するために序盤から左ジャブを多用する佐藤。
この左ジャブが要所要所でタイミングよく放たれる。単発で終わるものもあれば、ダブル、トリプルの場合もあり、さらにやや深めに踏み込ん で突く場合もあればフェイントのみで相手の顔面にまで届かせないものもある。多種多様なジャブを1Rの1分半が経過するまでの間に、約40発近く放ってい たのである。
時折、佐藤はクラウスに右クロスを合わせられるのだが、辛抱して逆により多くのジャブを返す。当然この左ジャブの合間に、ワンツー、右 ロー そして左手を伸ばしながらジャブがくるのかと相手を混乱させる左テンカオ(つかまないで前から突き刺すヒザ蹴り)などを織り込んでいく。
多くのジャブの間に蹴りや右ストレートを混ぜられてしまうと、高度なディフェンス能力を持ち合わせていたとしても何発かは被弾してしまうものである。それゆえ、クラウスも右ロー、テンカオ、右ストレートを被弾してしまう。
その被弾した攻撃はリーチの長い上・下に散らされた分散攻撃ゆえに、もらった瞬間は自身が虚の状態であることが多く、いつも以上に効いてしまうものであ る。タフなクラウスといえども 普通に単発でもらったとしても威力がある佐藤の右ローは左ジャブとの分散攻撃ゆえに、相当きつかったと推測される。
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吉鷹弘の「打撃」研究室 第38回 内容 |
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