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ラジャ王者KOでトップ証明した日菜太、32歳にして実力を維持するための工夫とは=2019年2月ベストファイターインタビュー

■昔の方が強かったよね、と言われてしまったら現役をやっている意味がない

「32歳になってもまだ成長している」と日菜太は言ったが、18歳でプロデビューしてキャリアは14年。選手としては円熟期を迎えて思うことは多々あるようだ。

「年齢ってメチャクチャ感じることがあって、若い時とは違って32歳になって1戦負けると“もう終わり”みたいな雰囲気になっちゃうじゃないですか。だからなるべく負けたくない。

 潘(隆成)君とか(小笠原)瑛作君とか若い選手は凄く練習量が多いんですよね。昔の僕はそれに負けないくらい、もっと練習できたんですけれど、今だとその練習量を一緒にやっちゃうと次の日は動けなくなってしまう可能性もある。だから追い込みの時期は週4日くらい追い込む時と、週2日は軽めにスパーリングだけやって終えるとか強弱をつける日が出来ました。昔みたいには出来なくなったので、休む日を作ったり、いいイメージだけで終わる日にしたりとか。

 それと身体にお金を使うようになりましたね。マッサージ行ったり、今まではプロテインとかサプリメントは嫌いだから飲まなかったんですが、今は飲んでいます。少しでも長く続けたいという想いが今はあるので。よく寝たり、酒も試合が決まったら1カ月半前から飲まなくなりましたね。遊ぶこともしなくなりました。休みの日も自分の身体のケアに使ったりとか。

 あと今回は試合が終わってから5日後くらいにランニングを始めました。なぜかというと、アラゾフ戦(2018年3月)と緑川戦(2018年10月)で骨を折られたので、1カ月間くらい運動が出来なかったんですが、そうすると身体を戻すために1~2カ月くらいかかるんですよ。今は怪我が少ない時は2~3日後から練習しないと身体が維持できないんです」

 若い時代はガムシャラに練習していた。自分は誰よりも練習している、それが自信につながった。その練習量がこなせなくなった今、不安にならないのだろうか。

「なりますね。練習をいつも自分が一番やっているというのが自信になっていました。やらないと逆にストレスになっていたこともありました。でもやっぱり、なるべく100%で試合に向かうためにはやらないといけないから最低ラインの練習はしています。本当はやらない時はやらなくてもいいのかなって思うんですが、それでも身体を動かすことはしています。難しい部分ですけれどね、この年齢になると。

 昔は1週間休んでもちゃんと練習すれば2~3日で戻ったんですが、今は2~3日練習しても戻らないので、休みでも身体を動かして維持をするようにしています。維持する期間でもしっかりトレーニングをしてベースを上げていくということを今はやっています」

 このように年齢を感じることは多いが、その分、強くなっているとの実感もある。

「今はまだ年齢を重ねても強くなっている部分はあります。そうでなかったら現役を続けている意味がないと思っているので。昔の方が強かったよね、と言われてしまったら現役をやっている意味がないじゃないですか。第一線で戦えなくなったら、何のために格闘技をやっているの、惰性でやっているのって言われてしまいます。僕は職業キックボクサーだって言って試合だけで稼いでいるので、あの時より弱くなったよねと言われないようにするのが僕の仕事。30を超えてからはそう思っています」

 日菜太はここ数戦、試合が終わるたびに「あと何戦出来るか分からない」とコメントしている。今回の試合前には「ラストが2019年中なのか2010年になるか分からないけれど、辞める詐欺みたいになっていますが、悔いなくやり切って一番いい形でやめたい」と発言した。

「後援してくれる人たちに『35歳まではやって欲しいね』って言われたんですが、35歳ってあと2年半じゃないですか。そんなところまでやれるか分からないんですが、負けないことが大事ですよね。今回みたいにいい勝ち方をして、みんながまだ進化しているよね、凄いよねって言う試合が出来さえすれば現役を続けられる資格はあると思うので。

 身体のダメージとかも考えてあと3~4試合くらいかなって自分の中では思っています。もっと出来るかもしれないですが、本当に強い日菜太を見せられるのはこの2~3年くらいだと思うので、その2~3年でアラゾフとかペトロシアンとかブアカーオとか世界的に名を残しているやつらに挑んで勝って辞めたいなって気持ちがあります。人生勝ち逃げにして辞めたいなって思って(笑)。

 ベルトが懸かっているとかではないんですよ。そこは自己満足なんです。世界の5本の指に入ってるやつらとやって勝って終わるっていうのが自分の中でこの道を辞めるいいきっかけになるんじゃないかなって思っています。次のスタートのために。選手って納得して辞めることが一番いいじゃないですか。身体が壊れて辞めるとか人に辞めろと言われて辞めるより、自分がこいつとやって納得すれば辞めるというのが理想ですよね」

 では、今まで納得した試合はなかったのかと問うと、日菜太は「なかったですね。どんな勝ち方をしても」という。

「キシェンコとかアンディ・サワーとか強い選手に勝っても、そこにはK-1のベルトが無かったりとか、みんな文句を付けてきたりとか多々あったので、こんないい勝ち方をしてもみんな全然認めないんだって。もっと結果を出さないと周りは見てくれないんだって想いはあったんですけれど、今はだんだんとそういう想いは薄れて来て。世界トップ5に入っているやつらとやって勝つというのは、自分の中での納得するひとつの条件なんじゃないかなって思うようになりました。

 年を取ると、周りの人の評価も凄く大事なことは分かるんですけれども、自分がこいつとどこまでやって力を出せて、最終的に勝てれば、自分の中ではいいゴールになるんじゃないかって今は思います。キックボクシングはゴールが分かりづらいのが難しいポイントですよね。MMAだったらUFCのチャンピオンになることがゴールだけど、キックはいろいろな団体があっていろいろな場所があって、年間によってパワーバランスが崩れるので、どこが本当のテッペンなのか凄く分かりづらいので」

 現役ラジャダムナン王者のシップムーンにKO勝ちしても、「まだ、ここがゴールじゃない」との想いがある。目指すのはもっと高い頂だ。

「今回勝って良かったなってホッとしていることと、相手が23歳の若いチャンピオンじゃないですか。それに32歳の僕が負けたら何でやっているのって引導を渡されたみたいになってしまうので、若い選手にまだ負けないことを証明できたことは嬉しかったですね。

 去年アラゾフに負けたのはひとつの転機で。あれで負けて諦めていたら今回の勝ちもなかったわけじゃないですか。今回しっかり勝って名前をまた残せたから、日菜太が次またやったら見たいなって人もいると思うので、今になってあの時に諦めなくてよかったなと思います。アラゾフに負けて辞めていたらこういういいこともなかっただろうし、これからまだ挑戦したいので、挑戦する資格を今回は勝ち取れたと思っています」

 現役を続けるにおいて、日菜太にはもうひとつのこだわりがある。それは、階級だ。「一階級下の67.5kgとかには興味がないし、やりたくない。僕は70kgの凄いやつらとやりたい。67.5kgと70kgは世界が違うと思っているので」と、かつて“人類最激戦区”と呼ばれた70kgで最後まで勝負したいという。

「次は6月くらいか夏前に1試合やって、今年はあと3試合やりたいなって思っているんです。年間4試合は僕の中のノルマだと思っているので。今年の末にビッグマッチにたどり着けるように頑張ります」

 まだゴールは見えていない。それでも日菜太はこの道の先にゴールがあると信じて、ラストスパートをかけている。

●受賞者・日菜太が喜びを語る

 今回のベストファイター受賞は、ベストファイターの前身である月間MVP(2015年9月)と合わせて2度目の受賞となる。そのことについて日菜太は、「2回目に選んでもらえて凄く嬉しいです。もう1回、辞める前に最後の試合かビッグマッチで勝って、もう一度狙いに行きたいと思います。3回目を取りに行くのでよろしくお願いします」と語った。

 なお今回受賞した日菜太には、イーファイトより記念の盾と、ゴールドジムからサプリメント3種類が贈られる。

 日菜太にサプリメントの利用方法について聞くと、「今だったらアミノ酸ですね。普段の練習が終わって飲んでいるのはビタミンとグルタミンなんですが、試合1カ月前には高いアミノ酸を買って、朝起きて飲んで昼に練習へ行く前に飲んで、練習が終わったら飲んでと朝昼晩飲みます。疲れを翌日に残さないためにはアミノ酸が最も体感があります」と答えた。

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