【月間ベストファイター・9月】18歳の秋元強真が、RIZINデビュー戦で与えた衝撃!日本を背負うスター誕生に期待
■金太郎戦は自信しかなかった
秋元はRIZINでの金太郎戦が決まり「緊張はなくワクワクした気持ちでした」と、まるで旅行をする前日のような高揚感があったという。それは勝ち筋が、すでに見えていた状態だったからだと振り返る。
「試合前は僕が相手を煽っているような印象があったかもしれませんが、そのつもりはなくて、上だなと思っていたから出た言葉でした」
たしかに8月21日に行われた記者会見で秋元は、金太郎を前にして「結構(打撃が)大振りなので、自分のスピードについてこれないのかなと思います」と大胆な発言をして周囲を驚かせている。だが、これは試合を盛り上げるためのサービストークではなく、「ボクシング技術は僕の方が上。強引に倒しにいかない限り、もらうことはない」と思っていたから出た本音だった。
その背景には、JTTでの充実した練習がある。秋元は、ヒロヤ、白川陸斗らトップ選手とのスパーリングだけではなく、朝倉海とも練習を重ねている。朝倉からは細かいテクニックや心構えなど英才教育を受けているといい、「海さんはめちゃくちゃ強くて、飛び抜けています」と自信につながっているようだ。朝倉海以上に怖い選手は同階級にはいないはずなので、JTTでの充実した練習が強気の発言になったのだろう。
■ファーストコンタクトで確信した勝利
朝倉海からの助言が大きな支えになったのは、入場時にあったそうだ。
秋元は「海さんに教わったことはたくさんありますが、入場の時は会場全体を見渡すと気持ちが落ちつくとアドバイスをもらいました」と明かした。
これまで大きい会場での試合経験がない秋元にとって怖いのは、緊張して自分に負けてしまうこと。プロキャリア6戦目となれば、なおさら経験が試合に影響を及ぼす可能性はあった。ところが大きく深呼吸して会場を見渡すと、気持ちが落ち着いていくことが分かったという。
そして試合にフォーカスできるようになった秋元は、金太郎に得意の左ストレートを放っていった。これはタックルに合わされてしまうが、「サウスポーに対するディフェンスができていない」ことを察知し、この時に「左が当たる」と確信したそうだ。
驚いたのは、金太郎がバックに回るピンチの場面でも「回られたのではなく回させたんです」と説明したことだ。その理由は「ハーフガードで抑え込まれると時間を使われてしまい、殴られる可能性もある。バックならば極めに行くしかないので」と秋元は上に乗られてコツコツと鉄槌を落とされて削られてしまうよりも、バックの攻防からのスクランブルを選択したそうだ。それは、秋元が得意とするパターンでもあった。
そして秋元は、予定通りにバックを奪い返し反撃することに成功した。
■朝倉海のUFC王座挑戦に「普通にとっちゃうのでは」
スタンドからの再開となり、秋元は当たる確信があった左ストレートを決めてダウンを奪うと、パウンドと顔面ヒザ蹴りの連打でKO勝ちを収めた。たまたま左が当たったのではなく、冷静に相手の隙を見極めての会心の一撃だった。
狙い通りの勝利でも秋元は、「カーフキック対策も海さんに教わっていたんですけど、蹴られてしまいました」と反省の弁。日々の厳しい練習については「風呂に入るのと同じ感覚。やらないとモヤモヤする」と真摯な態度を見せている。飛び級したくなるほどの期待感が高まるのは、そうした彼の上しか見ていない姿勢にあるのかもしれない。
RIZINバンタム級タイトル挑戦について聞くと「井上直樹選手がチャンピオンですが、打撃、寝技、レスリングすべての要素でレベルが高いです。でも打撃は、自分の方が上。あとは組みの力をつけて、弱い部分を埋めていくことに取り組んでいます」と驚くほど冷静に分析した。
まだ18歳とは思えない落ち着いた心構えの秋元だが、「僕は格闘技に年齢は関係ないと思っています。そのために勝てないと言われることが多いんですけど、それを覆すことを実現したい」とあくまでもポジティブだ。
朝倉海も同じように、アウトサイダー時代から無理と言われ続けてそれを覆してきた。秋元にも反骨心が芽生えているのだろうか。
「海さんは、UFCでいきなりタイトルマッチが組まれましたが、普通にとっちゃうんじゃないかと思っています。相手とは相性がいいと思いますし、アーチュレッタが小さくなったバージョンと見ています」と秋元。
朝倉が対戦するUFCフライ級王者のアレッシャンドリ・パントージャは、どう見ても最強の相手。それでも秋元の目には、チャンスと映っているようだ。
自身の将来について聞くと「RIZINの2階級王者になることが目標ですが、まずは10代で最年少王者になって勝てないと思われるレベルになりたい」と断言する。さらに「知名度を高めて、UFCファイターが僕と戦うために日本へ来るようにさせたい」と宣言した。
まだ6戦にして、ここまで大志を抱いている18歳のファイターが、どこにいるのだろうか。やがて来るだろう困難も軽く乗り越えそうなモンスターが、我々の予想よりも早く成龍になる日は近いのかもしれない。
■秋元強真が受賞の喜びを語る
イーファイトの月間ベストファイターに選ばれた感想について秋元は「試合を評価いただけて嬉しいです」と喜んだ。イーファイトから記念盾とゴールドジムからサプリが送られるが、秋元はサプリの摂取については「ビタミン系とプロテインを毎日摂っています」と言い、身体づくりに役立てたいと話した。
(取材/文=松井孝夫、構成・編集=イーファイト編集部)
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