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第17回「勝敗が分かりにくいことがある格闘技、その最たるものがムエタイ。採点基準が最大の謎」

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「ムエタイの魅力、語りまくります」の第17回。今回はムエタイ最大の謎と言ってもいいほど難解な採点について。採点というのは本来見ている人にも分かりやすくて然るべきなのだが、野球やサッカーやバスケットボールのように、こうなれば点が入るという単純明快なものではない。

 格闘技の採点はそのほとんどがインプレッション=印象によるものだ。ジャッジが見た目で判断し、優劣を付ける。レスリング、アマチュアボクシング、伝統派空手などはこの技がこう決まれば何点と明確化されてはいるが、伝統派空手をやっていた人からは納得の行かない判定があったと聞くので、オリンピック競技に選ばれるか選ばれないかの基準は採点の分かりやすさにあるのかもしれない。

 フィギュアスケートやシンクロナイズドスイミングなどの芸術性(これも印象)を争う競技にしても、減点対象や見るべきポイントが細かく決められているようだ。

 しかし、格闘技はKOや一本で完全決着がつかなかった場合、よっぽど相手に分かりやすいダメージを与えていなければ、ジャッジの印象に委ねるしかない。ダメージがゲームのように数値化されるわけでもなく、選手に「あの攻撃は効いていただろう?」と聞くわけにもいかないからだ。

 さらに勝敗を分かりにくくするのは、ラウンド制の格闘技だ。ボクシングの亀田の試合や、K-1の武蔵の試合が物議をかもしたのは記憶に新しい。問題となるのは一方がダウンを奪った場合、ダウンを奪った方の勝ちではないのかと錯覚してしまうことだ。例えば3Rの試合だったとしよう。1、2RはA選手が優勢でも3RにB選手がダウンを奪うと、B選手の勝ちではないのかと思われることが多い。

 しかし、Aが僅かながらでも優勢という印象をジャッジに与えれていれば(1R毎に差をつけるラウンドマスト方式なら必ず1ポイントの差が付く)10-9が付き、それが1Rと2Rなら2ポイントの差がつく。B選手が3Rにダウンを奪っても2ポイントなので、ドローとなる。さらには、3Rにダウンを奪われたA選手が猛反撃した場合は10-8ではなく10-9が付く(9-8とする団体もある)こともあり、さらに分かりにくくなってしまうのだ。

 これが3Rならまだしも、5Rやボクシングの世界戦で採用されている12Rとラウンド数が多くなればなるほど、観ている側はややこしくなる。1Rずつ採点しているジャッジと、トータルで判断する観ている側とはズレが生じやすい。ましてや後半のラウンドほど記憶に新しいので、後半にダウンや優勢場面があると錯覚を起こしやすいのである。

 また、ジャッジの好みや見ているポイント、さらにはジャッジがいる位置でも印象は変わってくるので、採点がバラつくことがあるのだ。

 ところが、である ・・・

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