第29回「日本人もタイ人も知るウィラサクレック会長が提唱していた方法論、それを実践した選手とは?」
「ムエタイの魅力、語りまくります」の第29回。今回もムエタイの敵側、つまり打倒ムエタイを狙う側の話をしてみよう。
現実には打倒ムエタイには至らなかったのだが、発想として凄く面白いなと思ったのが、若かりし頃の須藤信充が提唱した方法論で、「ボクシングのパンチと空手の蹴りでムエタイを倒す」というものだった。須藤は士道館空手出身で、キックボクシングで数戦行った後、ボクシングに転向してまたキックに帰って来た。その時に言った言葉が前述の方法論である。
圧倒的なパンチ力を誇っていた須藤にはかなり期待していたのだが、残念ながら彼にはスタミナがなかった。打倒ムエタイへの足がかりとなるはずだった全日本ライト級タイトルマッチでは、チャンピオンからパンチでダウンを奪うも後半になってスタミナ切れを起こし、判定で逆転負けを喫してしまった。その後、またもボクシングに転向してしまったため、この方法論は日の目を見ることはなかった。
現実的な話、ボクシングの本格的なパンチと、ムエタイよりも種類が多く倒すことに主眼が置かれている空手の蹴りをミックスさせれば、かなりvsムエタイに対して有効なのではないかと思うのだが、須藤以降、この方法論を用いて打倒ムエタイを目指す選手は現れていない。
前回のこのコラムで書いた鈴木秀明以降、打倒ムエタイに近付ける選手はなかなか現れなかった。いい選手がいなかったわけではない。ひとつの理由としてK-1が隆盛を誇り、K-1ルールが主流になったためだと思われる。
なぜ打倒ムエタイが難しいかはこれまでこのコラムでいろいろと書いてきたが、ひとつまだ書いていなかったことがあったので追記したい ・・・
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