【UFC】桜庭が殿堂入り式典に出席、観客総立ちに
1R15分の無制限ラウンドで、決着はタップアウトのみ。レフェリーストップすら認めない、前代未聞の特別ルールで、当時は『決闘』と騒がれた試合です。この試合で、僕とホイスは90分を戦い抜き、最後はグレイシー側がリングにタオルを投入、僕の勝利で試合は終わりました」(拍手)
「自分や一族の誇りのために命がけで戦う彼ら。その一方で、お客さんの思いを背負い、お客さんを飽きさせないように必死で戦う僕――。戦う意味と理由が正反対の2人が真っ向からぶつかり合いました。試合中、お客さんのボルテージがどんどん高まっていく中で、僕はとても冷静に、次に繰り出す一手を考えていたことを、今でも覚えています」
「グレイシー一族との抗争は、僕にとって大きな財産です。対策を考えることで、技術の幅もどんどん広まっていったと思います。僕はいまだに練習で、技術的な発見をすることが、たくさんあります。特にグラップリングはとても奥が深く、今後もそれを追求していくことが、僕の大きなテーマだと考えています。
先日なにげなく見ていたYouTubeで、柔道の木村政彦先生がアームロックを指導している動画を発見しました。あの、エリオ・グレイシーとの戦いを制したキムラ・ロックです。僕はわが目を疑いました。取り方が、僕と全く同じだったのです。これは自分にしかわからない微妙なテクニックだと思っていたことを、木村先生が大昔にやっていたのです。木村先生は偉大な柔道家であると同時に、日本のプロレスラーの先駆者でもあります。
柔術、グレイシー、プロレス、MMA……あらためて、歴史はつながっていると感じました。時代はどんどん進んでいます。僕のキャリアも過去のものになろうとしています。今のファンにとっては、僕も木村先生と同じ、歴史上の人物だと思われているかもしれません。でも、僕はまだ生きています」(拍手と笑い)
「常に練習を続け、いまだに技術を磨いています。ともに練習している若い選手たちに、技術は受け継がれ、どんどん進化していくことでしょう。ただ、僕が本当に受け継いでもらいたいのは、技術より心です。プロとしての誇りです」(拍手、歓声)
「お客さんに伝わる試合をすること――これからの未来を創るファイターへ送る、僕からのメッセージです」
「最後になりますが、僕のプロレスラーの先輩であり、ここにいるドン・フライと歴史に残る試合をした高山善廣さんが、先日試合中のアクシデントで病院に運ばれ、現在も頚椎(けいつい)損傷というケガと戦っています。高山さんは僕と若手時代をともに過ごし、プロレスラーとは何かを、最も近くで教えてくれた先輩です。高山さんも、このドン・フライとともにMMAのすごさを世の中に知らしめた功労者です。皆さん、どうか高山さんの回復を祈ってください。よろしくお願いします。本日このような機会をいただいたUFCの皆さんに心から感謝申し上げます」(拍手、歓声)
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