【ボクシング】ネリ、試合後に勝因と失敗を語り「また日本に戻って来る」
3月1日(木)WBC世界バンタム級タイトルマッチで、山中慎介(35=帝拳)に2回TKO勝利したルイス・ネリ(23=メキシコ)。試合後、ネリの控え室前でネリの会見が行われ、勝因、ドーピング、体重オーバーから、今後の試合についてまで話が及んだ。
—今回の試合の感想
「この試合のために大変タフな練習をしてきた。山中選手はもっとガンガン来ると思っていた。しかし山中選手の中に私は恐怖を見て取れた。前回KO(負け)したことが彼に蘇ってきたのではないか。だから私は容赦なくパンチを止めることなく打ち続けた」とし、KO勝利できたことについては「私は山中選手に比べて若いし、パワーもある。だから今日はいい試合をしてKOが出来たんだと思う。でもベースにあるのはタフな練習を行ってきたということだ」
—今回、ネリは勝ったが体重オーバーで王座剥奪され、ペナルティにより今回勝っても王座には就けないことについて
「勝利については大変嬉しい。それは無敗という私の記録を守れたからだ。(減量失敗で)チャンピオンの座を失ったことは残念だが、また勝てば再び世界チャンピオンに戻ることができる」と開き直っていた。
—会場で入退場の際のブーイングに関しては
「きっと私の過去のことが彼らにとって迷惑だったからそういう声が上がったんだろうと思う。しかし、前回の山中戦はドーピングが全く無くクリーンな体で上がった。試合でドーピングでポジティブが出たのはティファナで試合の1か月前(前回の山中戦=17年8月の1か月前のドーピング検査)の1回だけだ」と前回はドーピングの力ではなく、実力で山中を下したと主張。
—ブーイングは体重オーバーのこともあったのでは?
「そういった意味で、その人たちにも申し訳ないと思っている。それで私はまた日本で試合をしたいと思う。今回ミスしたことは決して二度と起こらないということだ」
—前日計量でウエイトオーバーしたことに対して対戦者の山中選手に思いはないか?
「山中選手に対してというより、今回の自分が初めて使った減量方法がうまく行かなかったというのは申し訳なかったと思っている。今回の減量方法で、自分の体が(前日計量後)非常に弱っていくのを感じた。しかし、今日の12時から試合までの間、しっかり食べることができた。それまではきちんとした食事が取れなかった。そういった意味で山中選手は(前日に)1回の計量でパスして、それからずっと食事で体を回復させてきたので、今回のフィジカル面でのメリットは山中選手にあったと思う」
—試合は何kgで挑んだか?
「60kgだ」
※記者観:ネリは前日計量で53.5kgの契約体重を1回目2.3kgオーバー、その後2時間の猶予が与えられたが、再計量後も1.3kgオーバーで王座剥奪。
しかし当日午前中の計量では58kgリミットだったが、それより500g軽い57.5kgでクリア。以降リングインまでは特に体重制限はないが、夕方の試合会場での計量ではネリは60.1kg。一方、山中の試合会場での体重は59.2kgだった。山中より900gネリが重いだけという人もいるかもしれないが、ボクシングの軽量級だとこの1kgの差は大きい。
また、前日計量の53.5kgに合わせ、体重を守りクリアする人間とそうでない人間は、それ以前の期間の追い込み、身体ストレスの点で違いが出て来る。フィジカル面でのメリットはネリにあったように思える。その意味で、前日計量クリアできない人間が試合をするのはあってはならないことではないだろうか。前日クリアできなければペナルティの上、当日計量で前日計量の体重は必ずクリアするなど、前日クリアした人間が報われるような対策が欲しいところだ。
(山中、ネリの前日計量「ネリは王座剥奪」 https://efight.jp/news-20180228_280524)
—今後の階級について
「バンタムでやっていきたいと思っている。きちんと体重を作ってやっていきたい」
—もう2度と減量の失敗がないと自信があるか?
「ここにいるプレス(記者)の皆さんには本当に自分の体重の件で迷惑をかけたと思っている。私は日本に来るのが大好きで、それで2度目のチャンスにやってきた。日本人は大変親切で日本の食事はたいへん私の口に合う。そういった意味でまた日本に戻ってきたいと思う」
—改めて山中選手に対して申し訳ないと思っているのか
「山中選手にも同じく申し訳ないと思っている。山中選手はレジェンドのアスリートなので彼と戦えたことはたいへん誇りに思う」
ネリは会見を終え会場を出た。そして専用の小型バスに乗り込もうとする際、バスの中からネリ陣営がスペイン語で「行け!行け!パンテーラ!」とネリのニックネームのパンテーラ(豹=ひょう)を何度も合唱しネリを迎えた。
ネリが再び来日するのは果たしていつか。そして誰がこのネリの無敗記録を破るのか。(吉倉拓児)
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