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【ONE】中井祐樹「見応えあった」青木真也vs世羅智茂のグラップラー頂上決戦が拮抗した理由

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2020/04/18(土)UP

拮抗した試合となった青木真也(右)vs世羅智茂(C)Road to ONE Executive Committee

 4月17日、都内某所で無観客により行われた「Road to ONE:2nd sponsored by ABEMA」。メインでは青木真也 (元 ONE 世界ライト級王者)と世羅智茂(2017年 IBJJF アジア選手権黒帯フェザー級準優勝)によるグラップリングマッチが行われ、時間切れの引き分けとなった(10分1R・判定無し)。

 この2人の対戦は日本のグラップラー頂上決戦とも言われ注目されていた。
 青木はこれまでPRIDE、DREAM、RIZIN、ONEなどMMAの第一線で活躍してきた選手で、グラップリングを得意とする。

青木に下から足関節を取りに行く世羅(右)(C)Road to ONE Executive Committee

 対する世羅は、昨年末「QUINTET」決勝で3人を下してチーム優勝に貢献したことでも知られる。全日本ブラジリアン柔術選手権ライト級&無差別級優勝や17年IBJJF(国際ブラジリアン柔術連盟)アジア選手権黒帯フェザー級2位などの実績を持ち、18年1月に開催された『RIZIN オープングラップリングトーナメント』では-75kg級を全試合一本勝ちで優勝した柔術界のトップ選手だ。

 試合は青木が金網際に運び、世羅がクローズガードを取る展開に多くの時間が割かれたが、そこにどのような駆け引きがあったのか。また攻防の意味合いを日本ブラジリアン柔術連盟会長でRIZINのテレビ解説も務める中井祐樹に読み解いてもらった。

ケージ際に持っていき、世羅の動きを制限した青木(C)Road to ONE Executive Committee

「10分でサブミッションオンリー、(一本)決着がつかなかったらドローというルールでしたので、あの結果というのはありうる、有力な形の一つだったと思います。極めなければ引き分けで、互いに十分攻め手を阻むことができる、(両者とも)極めさせない力を持っていますから、どちらもギブアップまで追い込むシチュエーションまでは持っていけなかったということだと思います」とこの一戦が拮抗した1つは、お互いの高い”極めさせない力”にあると中井は語る。

 試合は開始からすぐに座った世羅がハーフガードを作るも、青木が胸を合わせに行くとクローズガードに変化。青木は作戦か、世羅を金網際まで運ぶ。世羅にとっては慣れていない金網際で動きが制限され、ここでの展開に時間が費やされることとなる。

「世羅選手はハーフガードから行きたいところがあったと思いますがリスクもありますし、クローズガードで行く形に落ち着きました。その中で青木選手は相手のやりたいことを制限するためにケージ際まで運び、ケージに頭をつけられるとできることが半減してしまうということがあるので、そこで相手が焦れるのを待つという面があったと思います」

一本のみの決着で判定が無いため、ドローに(C)Road to ONE Executive Committee

 しかしここでパスを狙う青木と、ディフェンスしつつ下からの仕掛けを狙う世羅の力が拮抗し試合は動かなくなる。

「ケージ際はある程度相手を制限できるのでMMAファイターにとって戦いやすい場所ではあるんですけど、その反面パスガードが難しかったというのはあると思います。世羅選手もガードからギロチンを掛けて立ち上がっていくというような形が得意な選手ですが、(ケージ際のため)頭が詰まっていることもあり、どうしても攻め手が難しかったのではないかと思います」

 また冒頭で触れたように、ディフェンスに長けた同士の対戦で一本決着しかないルールでは、このようにサブミッションにまで至らない試合も少なくないという。

昨年末のRIZINで柔術マッチに参戦した中井祐樹(青・中央)

「『判定があれば』『他のルールだったら』と言うのは意味のないことではありますが、判定がない試合だったので“獲るか獲られるか”ではなく、“獲れるか獲れないか”という攻防になったのだと思います。残り時間が見えて世羅選手が最後に仕掛けましたが、青木選手もそれに応じて獲らせず、見応えがありました」

 10分一本勝負、時間切れの場合は決着なしというルールが大きく作用した2人の攻防。改めて試合はルールに規定されるということを思わされた。

「だからこそ、一口に組み技、グラップリングといってもいろんなルールがあり、工夫されていることが分かると思います」

 また中井は次のようにもいう。
「MMAの選手はトップポジションに入ることでそのラウンドの勝ちを拾えるところもあるのでそういう技術に長けている。ブラジリアン柔術の選手はリスクを冒さずガードからじっくり攻め、自分のリスクを最小限にする技術を持っているんです」

 トップをキープし下からの攻めを許さなかった青木とガードでとらえパスを許さなかった世羅。MMAと柔術、互いのバックボーンとそこで培った技術の違いが透けて見えた一戦でもあった。

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