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【UFC】3度目のミオシッチvsコーミエ、互いに知り尽くした“手の内”を崩すポイントは?=高阪剛が予想

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2020/08/12(水)UP

王者ミオシッチ(左)vsコーミエ(右)、3度目の対決、勝敗を分けるキーは?(photo=Getty Images)

 8月16日(日・日本時間)アメリカ・ネバダ州ラスベガスのUFC APEXで『UFC252』が無観客試合として開催される。
 当日午前11時よりWOWOWにて生中継されるが、同番組で解説を務める、日本人UFCファイターの先駆けであり、現役総合格闘家である高阪剛(50)が見どころを語った。

 メインイベントは、 王者スティーペ・ミオシッチ(37=アメリカ)vs挑戦者ダニエル・コーミエ(41=アメリカ)のヘビー級タイトルマッチ。 両者はこれまで2度タイトルを懸けて戦い1勝1敗だ。

 ミオシッチは2016年にUFCヘビー級王座を獲得し、同級で史上初となる3度の王座防衛を達成。しかし18年7月に、UFCライトヘビー級王者であったコーミエに初回KO負けし、コーミエは二階級制覇を達成した。
 その約1年後となる昨年8月、両者は再度対戦すると、ミオシッチが打撃戦で競り勝ち、4RTKO勝利で王座を奪還したのだ。

 今回が決着戦となる注目の一戦、高阪は「お互いに手の内が分かった上で、 勝つための戦略を練らなければならない」ので双方やりにくい試合になると予想する。

■過去2戦がどちらも逆転KO劇だった理由

1回目の対戦で打撃で逆転KO勝利するコーミエ(photo=Getty Images)

 そもそも前回までの2試合は、互いに”未知の部分”があったからこその展開になったと言う。「例えば1試合目の時、コーミエは序盤、ミオシッチの打撃を過剰に警戒していたように見えた」と言う高阪。ミオシッチはこれまでにマーク・ハントやアリスター・オーフレイムなどヘビー級の猛者たちをKOしてきた経歴がある。
 
 高阪の見る限り、コーミエは打撃を嫌がり体を横に向けて顔を背けるようなシーンが何回かあったのだと言う。しかし「何度かクリーンヒットではないパンチを受けてから、“そこまで恐れるほどじゃない”と感じたんじゃないかと思うんです。そこでコーミエが思い切って前に出てクリンチが組めてからアッパーを入れたら、ミオシッチが少し嫌がったので。そこからペースを握りだしたんです」と、体感で見切って優勢に進めたのだと言う。

「ミオシッチの方からすると、“これだけ打撃でプレッシャーをかけているのに、なんでこいつは怯まないんだ?”という感じだったと思うんです。そしてクリンチを対処しているとき、至近距離の右フックをもらってしまいKOされてしまった」と逆転KO劇が起こった理由を分析する。

2回目の対決で、コーミエのボディを効かせるミオシッチ(photo=Getty Images)

 再戦となる2試合目は、コーミエが最初から打撃を恐れずミオシッチの顔面を狙いにいって、チャンスがあったらテイクダウンを狙いにいくという展開だった。
 余裕があったコーミエだったが「3Rに、ミオシッチの前蹴りが入ってコーミエの動きが一瞬止まったんです。そこから今度はミオシッチの方が、“コーミエは顔面は怖がらないけど、腹に穴があるんじゃないか? ”と、悟ったんじゃないかな。そこからボディを執拗に攻撃して、4R目はほぼボディ狙いで。そこから打撃で畳み掛けましたね」と、ミオシッチ逆転TKO勝利の理由を解き明かしてみせる。

 以前の2試合はどちらも最初に劣勢だったほうが、試合中に活路を見出して逆転勝ち。手の内が完全にわかっていないからこその試合展開だったというゆえんだ。

■互いに”手の内”を知る試合での”キー”は?

 高阪は「だからこの3試合目はお互いやりづらいと思うんです。コーミエからしたらボディブローのディフェンスはしっかりと準備してくるでしょうけど、ミオシッチもそれを見越しているから、そのままボディ狙いでくるとは考えにくい。また、相手の攻撃に対処するというやり方だと、どうしても後手後手に回ることになりますから」と、先の先を読む新たな戦略を考えなければならない。

 コーミエはアテネオリンピックでレスリングフリースタイル4位など抜群のレスリング力を持つが、1回目も2回目もそこまでタックルを混ぜることはなく、グラウンドコントロールにも徹しなかった。
 まだ本来の武器を見せていないと言えるコーミエは「今回はテイクダウン地獄を味わわせる」と宣言している。高阪も「前半は寝かせたり、ケージレスリングで体力を削っておいて、後半、打撃勝負を仕掛けるということも考えられます。だからコーミエの攻撃にミオシッチがどう対応するか、という展開になると思うんです」と挑戦者主導の戦いになると言う。

身長差のある両者(photo=Getty Images)

 またコーミエの打撃も独特なのだと言う。「普通、こんな身長が低い選手は、ここにパンチは届かないだろうっていうところにも届いてしまう。だから、コーミエのパンチが届く距離を、いかに外して自分の打撃を入れることができるかが、ミオシッチとしてはひとつポイントだと思います」と打撃の攻防にも注目だと言う。

 クリンチも得意なコーミエだが「ミオシッチも2回目の試合のとき、コーミエが前に出て組もうとしてきたところを、サイドステップで体を入れ替えるシーンがあったんです。前からその動きをやっていたのですが、組みに来る相手に至近距離でそれができたというのは、ミオシッチにとっても収穫だったかもしれない。1試合目の時は、組みにきたコーミエを前に押し返すか、後ろに下がるかしかやってなかったんですが、“横にずらすと相手がこんな簡単にいなすことができるんだ”という感覚がつかめていたら、あの『いなし』の技術は、ひとつのキモになるかもしれない」とミオシッチの体さばきも試合のキーになると言う。

「組もうとしたところをいなされると、絶対に対応が遅れるんですよ。そういう時に打撃をもらったりするものなので。だからスタンドの攻防も、単純に打撃だけでなく、そういった組みも交えた探り合いという、 高い次元での攻防が見られるんじゃないかと思います」と、ヘビー級の迫力と細かい技術の攻防が同居した試合になると語った。

 なお、この試合はWOWOW『UFC-究極格闘技-』で生中継される。

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▼番組情報
『生中継! UFC‐究極格闘技‐ UFC252 in ラスベガス 最重量ヘビー級注目の一戦、 ミオシッチvsコーミエ 3度目の激突 !』

8/16(日)午前11:00[WOWOWライブ]生中継
(WOWOWメンバーズオンデマンドにて同時配信)

8/17(月)よる6:00[WOWOWライブ]リピート放送
(WOWOWメンバーズオンデマンドにて同時配信)

【対戦カード】
<ヘビー級タイトルマッチ>
スティーペ・ミオシッチ vs ダニエル・コーミエ

【収録日・収録場所】
2020年8月16日/アメリカ・ネバダ州ラスベガス UFC APEX

【出演】
解説:高阪剛、 堀江ガンツ
実況:高柳謙一

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