16年服役したボクシング2階級王者マイケル・ナンが57歳で復帰、52歳・元UFC王者に勝利(動画あり)
IBF世界ミドル級・WBA世界スーパーミドル級の二階級制覇を達成したマイケル・ナン(57=アメリカ)が16年服役し、19年末に出所、今年7月18日(日本時間19日)リングに復帰したことが分かった。
ナンは02年に引退したが、それから半年後、コカインの使用密売の容疑で逮捕され、所持量が大量だったことや、引退後すぐに薬物カルテルの構成員となっていたことから判決は重く、04年に麻薬密売罪で逮捕、19年末に刑期を終えた。
試合は米・アイオワ州ダベンポートの格闘技イベント『Clash of Legends』で行われた。
相手は元UFC世界ウェルター級王者で、2014年にUFC殿堂入りを果たしたパット・ミレティッチ(52=アメリカ)だ。
ルールは「両者の間を取った」と主催者が言うキックボクシングルールで行われた。
新型コロナウイルスの影響からか会場は屋外で、客席は2席ほどの間を取りながら行われた。主催者発表では3,000人以上の観客数があったと言う。
試合は両者の現役当時の階級より3キロほど重い79kg契約で行われ、4R制で行われた。
ナンはサウスポー、ミレティッチはオーソドックスに構える。
1Rからナンはボクサーらしく中に踏み込むステップを多用し、腹、顔と打ち分ける。
3R、ミレティッチがインローをナンの前足に放つと、ナンは一気にバランスを崩し、パンチコンビネーションで前に出るが、ナンは落ちついてバックステップし打ち合いはしない。パンチ勝負ではやはりナンに分があるか。
しかし前に出るミレティッチが、右ロー、右ミドルと蹴りを放つとナンはモロにもらい、すぐにバランスを崩す。キックへの対応はあまり出来ていないようだ。
最終の4Rになるとミレティッチはスタミナが落ちてゆき、攻撃数が少なくなる。最後までナンはレティッチの蹴りに臆することなく、時折蹴りをもらいながらも、果敢にパンチ中心に攻めていった。
ジャッジは一人が39-37でミレティッチにつけたが、他2人は40-36、39-37でナン。ナンは自身19年ぶりの試合で、2−1で判定勝利した。
ナンは試合後のインタビューで「これが彼(ミレティッチ)の故郷での最後の試合になると思っていたので、ベストな状態で臨まないといけないと思った」と語った。ナンとミレティッチは、同じダベンポート出身で古い付き合いだ。
さらにナンは続けた。「ヘビー級チャンピオンと戦わせたいなら、呼んでくれ。家に帰って彼らのビデオを見て、数日後にはジムに戻るよ」と次の試合を望むと語った。
ナンは地元紙のインタビューに「孫たちはYouTube以外で、私の戦いを見たことがない。彼らに努力の価値を知ってもらいたい。おじいちゃんがした間違いを繰り返さないでほしい。私の犯した犯罪をカッコイイことと思ってほしくないんだ」と努力の素晴らしさと、自身の轍を踏まないでほしいと語る。
獄中にいた2017年に、ナンの母親が亡くなった。ナンは「彼女が私が世界王者になれると教えてくれた。彼女のことは私の心に重くのしかかっている。母や家族や子どもたち、そしてコミュニティのために戦いたかった」と語っている。
▶次ページはナンと戦った感想をミレティッチが語る、ナンはロイ・ジョーンズと再戦希望
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