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【空道】44歳・伝説の王者、鉄人ぶり発揮して5度目の優勝

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2013/05/19(日)UP

▲各階級の優勝者(左から)前原、末廣、飯村、コノネンコ、平塚

全日本空道連盟
「2013北斗旗全日本空道体力別選手権大会」
2013年5月19日(日)宮城・仙台市武道館

▲インローで堀越(右)の出鼻を挫く飯村(左)。この作戦がドンピシャ!

▼-240クラス 決勝戦
○飯村健一(大道塾吉祥寺支部)
延長 判定4-0
●堀越亮祐(大道塾日進支部)

▲準決勝まではヒザ蹴り、組んでのヒジなどでポイントを奪取

 89年に初優勝を遂げて以来、2004年までに4度、同級の王者となっている飯村健一が、9年ぶりの出場にして、44歳で5度目の優勝を果たした。

 しかも初戦(2回戦)はテンカオ(相手をつかまず真っ直ぐ突き上げるヒザ蹴り)で一本勝ち、3回戦は首相撲からのヒジ打ちで効果1、準決勝は首相撲から右ヒジ・右ヒザをつないで効果1を奪う完勝。

 3回戦の相手は巧みなボディワークから重いパンチを繰り出す2010年の同級王者・榎並博幸、準決勝の相手が柔道系の投げ技を得意とする2006年の同級準優勝者・巻礼史であっただけに、クラシックな打撃偏重スタイルである飯村が食われるのではないか? という予想も多かったが……。

 どちらの試合でも、一進一退の攻防の中で、慎重に相手の得意技を封じきり、試合終盤でポイントを奪取する、まさしくいぶし銀の闘いぶりで見る者を唸らせた。

 決勝の相手は、準決勝で昨年の同級王者・内田淳一を接戦の末に退けた堀越亮祐。2008年の同級王者であり、2011年には無差別全日本をも制した男である。その試合運びは、低い重心を保ち、すり足で移動し、パンチというよりは“突き”と呼ぶのが相応しいと思われる一撃を叩き込む武術的なスタイル。

 ムエタイベースのリズムvs武術的なすり足、レジェンドvs現在のエース。闘いのスタイルも、世代も、まったくかけ離れた者同士が闘う……これぞ空道! とでも言うべき頂上決戦は、フェイントの掛け合いから、カウンターで互いのバランスを崩しあう、精巧な攻防となった。

 両者とも、オーソドックス構えとサウスポー構えを使い分けながら、前進を狙うほんの一瞬の初動に対し、左の内股ローやパンチのカウンターを狙う。そのヒット数は、幾分か飯村の方が多いか? 堀越は、ローをキャッチしてのテイクダウンを2度成功させるが、飯村は巧みに足を利かせてパスガードを許さない。

 結果、両者ノーポイントのまま、延長戦が終了し、旗判定では副主審が引き分け裁定を出すも、主審が飯村を支持。主審が優劣なしと判断していれば、規定上再延長となっただけに、神経戦に続くハードヒットを見たかった面もあるが、それにしても、飯村の試合巧者ぶりは見事だった。

 振り返ると飯村は、初戦から決勝まで、そのムエタイ・スタイルの主軸であるはずのミドルキックをまったくと言ってもいいほど放たず、フェイントからのコンパクトなローを堅実に蹴り続けていた。この点について問いただすと「ミドルを蹴るとつかまれますから……。そこらへんは許して下さいよ。プロじゃないんですから。勝利に徹しさせて頂きました」と苦笑。

 対して「警戒しすぎて前に入れなかった。再延長で行こうと考えていたんですが……。もっとガツガツ行って倒すべきだった。責任感も感じていたし、今まで闘ってきた中で、一番悔しい」とのコメントを残した堀越は、完全に術中にハマったということだろう。


▲加藤(左)がバックマウントから腕十字を狙うが、サンボ経験のあるキーナン(右)はしのぎきる

▼+260クラス 決勝戦
○加藤久輝(大道塾安城支部)
本戦 優勢勝ち ※加藤に効果3、キーナンに効果1あり
●キーナン・マイク(大道塾成田支部)

 加藤久輝は初戦において左ハイキック一発で一本勝ち。キーナン・マイクは決勝進出を決めるまでの3試合で、技あり2、有効1、効果6。エンジン全開で激突した両雄の闘いは“まるでジュラシック・パーク”とでも評したくなるような激しく、重量感溢れるものだった。

 キーナンは左右の拳足で上段・中段・下段をまんべんなく攻める。一方の加藤は、狙い澄ました左ストレートをスコーン、スコーンとロングレンジで打ち込む。

 本戦3分間のうちに、まずは加藤がニーインベリーからの突きで効果1を取り、続いてキーナンが右ストレートで効果1を取り返し、さらに、加藤がパンチ連打で効果2つを奪取。「本戦終了時、効果3以上のポイントがある場合は、判定を取らずに決着」の規定にもとづき、嵐のような試合は終わった。加藤はこれで、体力別大会4連覇を達成した。


▲平塚(右)の右ストレートが笹沢(左)の顔面を歪ませる

▼-260クラス 決勝戦
○平塚洋二郎(大道塾仙南支部)
再延長 優勢勝ち ※笹沢に反則1(計量オーバー)があったため
●笹沢一有(大道塾関西本部)

 混戦となったこの階級。ベテラン、稲田卓也が初戦で腕絡みによる一本負けを喫すれば、昨年無差別大会で彗星のごとく現れたホープ、加藤和徳は“絞め技トリックスター”渡部秀一の投げられながらセットする襟絞めに、まんまとハマってしまった。

 決勝に進出したのは、その渡部をそつのない試合運びで封じた平塚洋二郎と、-250クラスから階級を上げてきた笹沢一有。

 笹沢は得意の伸びのあるパンチ連打で攻め立てる。2度ほど、副審のうち1名が効果ポイントを認定する旗を上げるが、旗が3本には達せず、効果とは認められない。昨年猛威を振るったカウンターの中段前蹴り(俗に言う三日月蹴り)を狙うも、平塚にはガードが空く隙がなく、投げを狙っても、がっちりと重心を落とされてしまう。

 気づけば、延長、再延長を通して、ジャブに合わせる右クロスを中心に前に出続け、払い腰を決めるなどした平塚の攻勢が印象を残す内容に。規定上「再延長終了時に両者ポイントのない場合は、反則1つでもあった方が自動的に負け」のルールに則り、平塚の勝利となったが、旗判定があったとしても、平塚勝利は揺るがなかったであろう。平塚は、08年春季以来、5年ぶりの優勝となった。


▲低重心で踏み込みの深いコノネンコ(右)の右ストレート。魚津(左)も怯むことなく、打ち合いに応じた

▼-250クラス 決勝戦
○アレクセイ・コノネンコ(大道塾東北本部)
延長 有効優勢勝ち ※コノネンコに有効1、効果2
●魚津礼一(大道塾八王子支部)

 初戦、2試合目ともに関節技で秒殺を決めたアレクセイ・コノネンコ。上体を起こしたマウントポジションのまま、ブラジリアン柔術でも、柔道でも見ることのない独特の形で腕を捻って極めた。

 準決勝では、階級を上げてきた-240クラスの元王者・我妻猛を接戦の技術戦の末に制し、迎え撃つは魚津礼一。

 試合は、本戦早々、コノネンコが右ストレートでダウン(有効1)を奪うが、魚津は、その後、冷静にコノネンコの猛攻を見切って、サウスポースタイルからの左ハイ、左ミドルで猛追。左ストレートで効果1を奪い返す。延長でコノネンコが伸びのある右ストレートで効果を連取することで、勝負は決した。

 コノネンコは、最も一本勝ちなどの累計ポイントの多かった選手に贈られる最優秀勝利者賞も獲得。深紅の北斗旗を授与された。1997年に同級を制して以来の、無差別を含めて通算10度の全日本優勝は、小川英樹のもつ記録を抜く偉業である(小川は全日本9回、世界1回優勝)。

 一方の魚津も、2011年の同級で準優勝した際はフロック的な見方をされたものだが、勝直光ら強豪を下しての再びの決勝進出、そしてコノネンコ相手に“退かない”闘いを見せたことによって、その実力を証明した形だ。


▲目黒(左)の左ミドルに左フックのカウンターを合わせんとする末廣(右)

▼-230クラス 決勝戦
○末廣智明(大道塾吉祥寺支部)
延長 効果優勢勝ち ※末廣に効果2
●目黒雄太(大道塾長岡支部)

 2007年の同級王者である末廣智明は、その後6年間に亘りキックボクシング戦線で闘い続けてきたが、タイトルマッチで敗れたのを機に、ひと区切りをつける覚悟を決め、今大会の関東地区予選に参戦。ところが、その関東地区予選では、10歳より空道を始め、昨年より成人の大会にクラスアップしてきたばかりの新鋭、20歳の目黒雄太に、投げとパンチで効果1つずつを奪われ、まさかの敗戦を喫していた。

 迎えた本大会では、組み技の強い長谷川朋彦、草薙一司といった選手たちの投げ、寝技を確実に封じ込めるとともに、左ミドル、左前下蹴り、左インローを蹴り分けて相手の前進を阻み、決勝進出。

 決勝では、奇しくも再び目黒と相対したが、前回とは異なり、目黒のスピード溢れるパンチ連打を確実にブロッキング。逆に左フックのカウンターと、右ストレートで効果を1つずつ奪い、リベンジを果たすとともに、2度目の全日本制覇を達成した。


▲延長戦早々、前原(左)を捕らえた庄子(右)の右ハイキック

▼女子クラス決勝戦
○前原映子(大道塾北本支部)
延長 判定4-1 ※前原、庄子ともに効果1
●庄子亜久理(大道塾仙台西支部)

 大道塾伝説の王者・長田賢一のもと、小学1年生より稽古を積んできた庄子亜久理が、成人の大会にクラスアップして2回目にして、大道塾の先輩勢や、アブダビコンバット優勝の実績をもつ塩田さやからを破り、決勝進出。決勝戦では、サウスポースタイルのテクニシャン、前原映子相手に右ハイキック一閃! 効果ポイントを先取し、場内をどよめかせた。

 最後は、前原がベテランらしく、落ち着いた攻めで、テイクダウン→ニーインベリーからの突きで効果を奪い返し、さらに腕十字を極めかけ、形勢逆転に成功。しかし、延長戦の判定では、審判の旗4本がすべて前原を支持しているにもかかわらず、主審は「自分のみは庄子支持」をアピール。庄子が空道女子のトップクラスに肉薄していることを知らしめる4-1判定となった。

▼併催2013全日本空道シニア選抜選手権大会 優勝者
超重量級:岩崎時典
重量級:志子田修一
中量級:渋谷幸宏 
軽中量級:岡田季之 
軽量級:高貝剛  

▼チーム戦成績 
第1位 大道塾吉祥寺支部 
第2位 大道塾八王子支部 
第3位 大道塾東北本部
第4位 大道塾岸和田支部
第5位 大道塾角田支部
※所属選手の今大会における合計勝利数が多い順に順位決定

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