【コラム】“柔術マジシャン”ノゲイラがロシア、タイ、日本、韓国で格闘技行脚
PRIDEで王者になり、UFCでもヘビー級暫定王者になって2015年に引退した“柔術マジシャン”アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)。現在はUFCの“格闘アンバサダー”を務め若手選手の育成にも当たっているが、最近UFCが運営するUFC Fight Passの番組の撮影でロシア、日本など4ヵ国を訪問した。各国でノゲイラは何をしていたのか?(文:稲垣 收)
■かつての宿敵ヒョードルのお膝元ロシアへ
「引退はしたけれど、僕はまだ格闘技のトレーニングを続けているんだよ」
とアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラは言う。
かつて日本のリングスの、第2回KOKトーナメントで田村潔司やヴァレンタイン・オーフレイム(アリスターの兄)を破って優勝し、PRIDEではマーク・コールマン、ヒース・ヒーリングを破って初代ヘビー級王者となり皇帝ヒョードルや“青い目のケンシロウ”ジョシュ・バーネットらと激闘を繰り広げた。そしてUFCでもヘビー級暫定王者となった“伝説の男”である。
「この3rd Degree(サード・ディグリー)という番組の撮影のために5ヵ国を廻ったんだ。素晴らしい体験だったよ。さまざまな格闘技のハイレベルな格闘家たちと出会って、一緒にトレーニングしたりできたんだからね!」
興奮した口調でノゲイラは語った。
3rd Degreeとは、UFCが運営する会員制Webサイト、UFC Fight Passで 4月4日からシーズン2が視聴可能になるリアリティー番組だ。(3rd Degreeのシーズン1では、グレイシー一族の女性柔術家、キーラ・グレイシーがホステスを務めた)ノゲイラはこの番組の撮影で、これらの国々を巡って、格闘行脚(あんぎゃ)していたのだ。
「最初はロシアに行った。そこでサンボのトップ選手たちに会って、一緒に汗を流したんだ」
とノゲイラは言う。まず、PRIDE時代の“宿敵”ヒョードルの母国であるロシアに行き、ヒョードルがベースとした格闘技、サンボを学んだのである。これは、なかなか興味深い。
サンボについて、格闘技ファンならご存知の方も多いだろうが、念のため説明しよう。もともとソ連時代にソ連のさまざまな民族格闘技のエッセンスを集めて作られた格闘技で、「武器なしで身を守る」という意味の「サモザシタ・ビェス・アバローナ」(もしくは「サモザシタ・ビェス・オルジア」)の3語の、語頭の文字を取って名付けられたものだ。
警察の逮捕術、軍隊での徒手格闘術として発達したサンボは、主に2種類に分かれる。打撃なしのスポーツ・サンボと、打撃もありのコンバット・サンボだ。ちなみにヒョードルは、プロ格闘家になる前に柔道とスポーツ・サンボを経験しており、プロになってからコンバット・サンボの世界王者にもなっている。
サンボの選手のことを「サンビスト」と呼ぶが、今回のロシア滞在で、ノゲイラはサンビストたちとの練習で汗を流し、モスクワにある「サンボ70」という伝統的なサンボ学校を訪問したり、サンボ大会を観戦したりした。(サンボ70は、1970年に設立された中学・高校で、ロシアの国技であるサンボを学ぶところだ。筆者も昔取材で訪れたことがある。長い伝統を持つサンボ学校で、最近リニューアルされた) ・・・
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