第25回 バダ・ハリはいかにしてヘビー級を超えたスピードを手に入れたか?の巻
最新の試合を題材に、打撃のスペシャリストである筆者が打撃技術を分析していく。その第25回目は、6・29K-1福岡大会で行われた「K-1ヘ ビー級タイトルマッチ」でグラウベ・フェイトーザ、8・9k-1ハワイ大会でドマジョフ・オスタジックをそれぞれ秒殺KOに仕留めたバダ・ハリをクローズ アップ。誰もが驚いたバダ・ハリのヘビー級を超えた驚異のスピードは、どんな技術から生まれるものなのか?
■マイク・タイソンがヘビー級の概念を叩き壊したほどの戦慄!
2008年6月29日マリンメッセ福岡で行われたK-1ヘビー級タイトルマッチ、チャンピオンのバダ・ハリ(モロッコ)VSグラウベ・フェイトー ザ(ブラジル)の一戦。戦前の私の予想に反して、1RKO決着でバダ・ハリがあのグラウベ相手に完璧ともいえる試合を演じたのである。
序盤からとにかく速い、速すぎる超ハイスピードのバダ・ハリの左ジャブがグラウベの顔面を捉えていく。この試合の攻防の中で私を最も驚かされた技である左ジャブでだ。
グラウベ自身、ガードそのものは高いのだが、ガードの中央がやや開いている。その隙間に乗じてバダ・ハリは悠々と左ジャブを突き込んでくる。
元来、ガードが高い選手は、必然的に相手がパンチを打ってきた際に、グローブを閉じたブロッキング(通称:閉ブロック)を用いるディフェンス動作 を起こすもの(特にK-1のヘビー級系ではこの手のディフェンス型が多い傾向がある)。仮に左ジャブにディフェンス動作が間に合わずパンチ喰らうことが あっても、パンチに対して少しは両手を閉じる反射動作を行うものである。
ところが、グラウベの両手はバダ・ハリの左にほとんど反応出来ず、気付けば左ジャブをまともに顔面に貰っていた。それほど、速く読めないジャブ だった。決して過大評価ではなく、その昔 マイク・タイソンが弱冠20歳でボクシング界に出没し、今迄のヘビー級のスピードの概念を叩き壊した時と同じ程 の戦慄を、グラウベ戦のバダ・ハリのスピードに私は感じていた。
パンチだけではなく、蹴りにおいてもK-1の中でも全階級をいれて断トツのスピードと切れ味をハダ・ハリは持ち合わせている…と言っても異論はないだろう。
いったい何故、これほどまでに速くパンチが打てるのか? 何故、ヘビー級の選手が全階級を入れても最も速い攻撃が可能になるのだろうか?
■バダ・ハリのスピードの源は“右足”の動作にあった! ・・・
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吉鷹弘の「打撃」研究室 第25回 内容 |
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