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【月間ベストファイター・4月】冷静なプラン変更で逆転劇へ!MMA海外デビュー戦を勝利で飾った渡辺華奈

 毎月イーファイトが取材した大会の中から決める格闘技月間ベストファイター賞。2021年4月のベストファイターは、4月2日(日本時間3日)に米国コネチカット州モヒガン・サン・アリーナにて行われた『Bellator255』で、女子フライ級4位のアレハンドラ・ララ(26=米国)を判定で下しMMA海外デビュー戦を勝利で飾った渡辺華奈(32=FIGHTER’S FLOW)に決定した。

PROFILE

渡辺華奈(わたなべ・かな)
1988年8月21日、東京都出身
身長167cm
FIGHTER’S FLOW所属

 柔道四段、全日本指定強化選手に7年間選ばれ、オリンピック選考会に3度出場するなど、柔道界のエリート。
 2017年に総合格闘技デビュー、一昨年末のRIZINではBellatorとの対抗戦で次鋒に出場。ベラトール女子フライ級期待の新星イララ・ジョアニに、柔道仕込みの内股を多く駆使しTKO勝利を挙げていた。現在MMA戦歴10勝無敗を誇る。

選考理由
1、米国デビュー戦で同級4位のララに判定勝利
2、序盤のピンチを切り抜け、冷静にプラン変更し逆転勝利
3、MMA戦績を10勝無敗に

選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ

 受賞された渡辺選手には、ゴールドジムより以下の賞品(アルティメットフレキシジョイントUC-Ⅱ 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アミノ12パウダー 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。

アルティメットフレキシジョイントUC-Ⅱ®

非変性Ⅱ型コラーゲン(UC-Ⅱ®)に、MSMやユニベスティン、キャッツクローを配合したサプリメントです。

マルチビタミン&ミネラル

100%自然素材を使用したビタミン&ミネラルサプリメント。着色料、香料、保存料は一切使用しておりません。

アミノ12パウダー

BCAAなど体内で合成できない必須アミノ酸を8種類配合。身体作りに好適なアルギニン、オルニチン、グルタミン、グリシン配合。飲みやすいオレンジ風味。

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贈呈:ゴールドジム

ベストファイター記念インタビュー

米デビュー戦に挑む渡辺の前日計量姿©️Bellator

 周知のとおり、渡辺のバックボーンは7歳から始めた柔道だ。東海大学時代には全日本ジュニアを制するなど活躍し、社会人柔道を経て2017年から総合格闘技に転向。RIZINとDEEP JEWELSでいきなり強さを発揮し、9勝0敗1分と国内試合で無敗の快進撃を続けてきた。
 2019年12月29日のBellator日本大会で、イララ・ジョアニ(ブラジル)に3ラウンドTKO勝ちを収めたことから昨年12月、Bellatorとの契約を勝ち取り、念願の米デビューが決まった。

渡辺と対戦したアレハンドラ・ララ©️Bellator

 対するララは2011年にMMAデビュー。2018年にはイリマ=レイ・マクファーレン(米国)のもつフライ級王座にも挑戦している(3ラウンド腕十字で一本負け)。同年12月には、後にマクファーレンを破り王者となるジュリアナ・ヴェラスケス(ブラジル)とも対戦しており、1-2のスプリット判定と健闘が光った。
 2連勝中のララは、王座再挑戦に向けて渡辺への勝利を試金石としたいところ。渡辺、ララ共にコロナ禍の影響などもあり約1年3ヶ月ぶりの試合となったが、これに勝てばタイトル戦に絡めることは必至だけに両者高いモチベーションで迎えた一戦となった。

■トライフォース赤坂では朝倉未来の研究力、発想力も学んでいる

 海外勢との試合に向けてフィジカルを強化する選手は多いが、渡辺に尋ねると「フィジカル面で今回、とくに強化したところはないです」と答えた。ただし、「強化は必要ない」ということではなく、渡辺の場合、通常の練習量・練習メニューで十分カバーできているということだ。

前日計量で向かい合う渡辺(右)とララ©️Bellator

 日々の所属ジムでの練習以外に週2回、パーソナルトレーナーの指導による筋力系やアジリティ系のトレーニングを行うほか、HALEOでの持久系のラントレを週1回、トライフォース赤坂でのプロ練を週2回、パラエストラ浦安、トイカツ道場への出稽古、その上で、これらの隙間を縫うように自主トレを入れていく。「トレーニングが大好きなので、全然苦にならない」そうだが、周囲からは常にオーバーワークを心配されている。

「去年の夏ごろから取り組んでいるフィジカルトレで、とくにお尻と脚の筋力はついてきたかなと思います。でも、パーソナルトレをやって一番よかったのは、適切な練習量を適切なフォームで見てもらえること。自己流で毎日やっていた時は疲労が回復せず、逆に筋肉がつきにくかったりしたけど、『量は多いほど良し』とされていた柔道時代の習慣が抜けないせいか、自分ではなかなか休めなかったんです。でも、休養の時間を取っていただいたおかげで、効率よく体が稼働するようになりました」

渡辺は朝倉未来らと次戦に向け練習開始(中央黄色いTシャツが渡辺=@kana_0821 より)

 フルサイズの金網を有するトライフォース赤坂では、朝倉未来ら男子プロ選手たちと総合のスパーリングをメインに行っているが、心身ともに得た収穫は大きいようだ。4月2日に試合し帰国後、練習に復帰。5月18日の自身のインスタグラムには朝倉未来らとの練習後の写真を公開。いつ試合が決定してもいいように練習を続ける。

 ここでの練習について渡辺は「金網でのスパーリングは試合に近い感覚で練習できますし、皆さん打撃がうまいので、すごく勉強になります。また、朝倉(未来)選手はとくに考えて練習されていて、想像力、研究力、発想力の一端を見たり、聞いたりするだけでも学べることは多いです。自分が試合で実践するのはまだまだ難しいですが、吸収できるところはしていきたいなと」

 密度の濃い1年3ヶ月の練習期間。そのすべてをぶつけるべくBellatorのリングに立った渡辺だが、試合では序盤、思わぬ苦戦を強いられることとなった。

■いきなりのピンチも、冷静なプラン変更で逆転劇へ

 1R、大外刈りでテイクダウンに成功する場面もあったが、ララがサウスポーから放つワンツーや右フックを被弾する場面も目立った。

「自分が思っていたより、相手との距離が遠かったです。練習ではパンチを思い切り振り抜いたりしないので、どうしても近い距離でのスパーリングになってしまう。久々の実戦で、改めてそのことに気づきました」

ララに競り勝ち、米国デビュー戦を白星で飾った渡辺(右)©️Bellator

 クリーンヒットを受けたものの、意識が分断されるほどの威力は感じなかった。ただ、このままではジャッジが相手にポイントをつけやすい状態が続いてしまう。練習の成果を試すべく打撃で撃ち合いたい衝動もあったが、欲を捨てプラン変更を決めた。

「本当は、もっとしっかりジャブを突いたり、ボディや前蹴りで散らしてから中に入っていこうと思っていたのですが、相手の勢いが凄かったし、打撃も強かったです。結局、テイクダウンしてグラウンドでコントロールすることが、自分の中で勝率が高い戦い方なので、その方向にシフトしました。でも、冷静に判断したというより、相手が削れてもいたので、『今、行くしかない、行こう』と、さらにスイッチを入れた感じでしたね」

 試合の流れは1ヶ月以上たった今も隅々まで覚えているという。そのなかで、僅差勝負で勝敗を分けたポイントをあげてもらうと、「2ラウンド目で上になっている時間が多かったこと」と渡辺は自己分析した。

「バックを取ってパウンドできたことと、一度エスケープされた場面でも、下からの練習もかなりしてきていたので、焦らずに上を取り返せたこと。あのまま下になっていたら、またポイントを取られていたはずなので。もうひとつ、2ラウンド目からは打撃をもらっても打ち返すことができたのも、組みにいきやすくなったという意味で大きいポイントだったと思います」

≫次ページは「自分の中ではやっとつかんだ世界へのチャンス。後悔は絶対にしたくない」

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