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【月間ベストファイター・7月】吉成名高が世界初!ムエタイ3大タイトル制覇の快挙、最強の秘訣とは

■名高の強さの秘訣に迫る、ボクシング練習も開始

ラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王座戦の名高(左/2018年12月)

 名高のスタイルは、現地タイではフィームーと呼ばれる。フィームーは、ムエタイのテクニシャンタイプで、ミドルキックなどを軸に相手を完封するスタイル。タイで幾度となく戦ってきた名高を、現地のファンも高く評価している。当てさせず当てる、打たせず打つスタイルが名高の武器だ。

 破格の強さを誇る名高に強さの秘訣を聞いた。「純粋に試合でも練習でもゲーム感覚というか、純粋にムエタイのリズムで楽しみながらやることですね」と語る。純粋に競技を楽しみつつ、競技を研究する姿勢が彼の強さなのかもしれない。

 近年キックボクシングでは、“殴り合い倒し合う”テーマの流行もある。だが名高自身、ひたすらに前に出て打ち合うスタイルではなく、自身の綿密な戦略に基づき、相手を追い詰めKOするスタイルに惹かれるという。

「相手を倒すというイメージより『このタイミングで攻撃する』など、考えながら試合をすることが自分の強さの秘訣。まだ完成とは言えないですが、“当てたもの勝ち”の試合は好きではない。自分の組み立ての中に、相手をハメて倒すことがテクニカルで魅力を感じます。これからもそういう展開の試合をしていきたい」と理想のスタイルについて語ってくれた。完成形に近づいているかと問うと「まだ極めていない」と更なる高みを目指しているようだった。

RIZINにてキックボクシングでも圧巻のTKO勝利をした名高(奥/2020年12月)

「まだまだ技のバリエーションは増やせるし、タイミングも増やしていけます」と名高。その一歩として、今年4月から初めてボクシング練習に着手した。本来得意とするムエタイスタイルに、パンチの技術を取り入れることが目的。元東洋太平洋&元日本王者で世界にも2度挑んだ赤穂亮に教わっているという。

 今回の試合においては、フィニッシュにボクシングが直接的に繋がったわけではなかったが「前手のリードは出せていた」と進化を実感。「ボクシングの動きをしようと思うとやりづらいので、そこは考えずにフラットにやっていました」と、自然な流れでテクニックを出すことに心がけたと言う。

 11冠を達成し、ムエタイで本物路線を突き進む名高だが、年齢は21歳とまだ若い。「この男はどこまで強くなるのか」とファンは思ったことだろう。さらなる名高のスキルアップを楽しみにしたい。

▶︎次ページ:ラジャ、ルンピニーで2階級制覇するなど壮大な目標も

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