山田虎矢太、10戦無敗でSB日本王座奪取！目指すは、双子の兄・彪太朗とのダブルチャンピオン【1月-2月・ベストファイター】

■得意の左フックを初めて試合で披露

山田虎矢太がパンチを当てる

　4ラウンドに王者の巻き返しを受けた山田は、5ラウンドに入ってからも序盤に猛攻を受ける。植山は出血をしながらも執念を見せて、KOを狙いに行った。だが山田は、守勢になりながらも冷静にパンチを当てるタイミングを待っていた。

　そして、山田のカウンターの左フックが植山のアゴを打ち抜いた。吹っ飛んだ植山は、マットに頭部を打ちつけて意識を失ってしまう。担架が出るほどの衝撃KOとなった。

　山田はコーナーへ上って、両手を広げるパフォーマンスを見せてセコンドと抱き合った。前回の有井戦も衝撃KOとなったが、その時は右ストレート。今回は左フックだった。右のパンチのイメージが強かったが、本人によると本来は左フックが得意らしい。

「左フックは、練習では得意なんです。ミットでもサンドバッグ打ちでも、左の方がパワーがあります。でも、これまで試合では右でしか勝っていなかったんです。左があるから右が当たるとも言えますが、得意のパンチで勝てたことは嬉しかったです」

　山田は、初めて得意の左フックで勝てたことを喜んだ。これまで10戦して7KOをマークしているが、自分が得意としている武器を初めて使ったところに、まだまだ伸びしろを証明することができた。

■「他団体の選手とも戦っていきたい」

攻める山田虎矢太

　SB日本スーパーバンタム級王者になったことで、山田には自覚が芽生えているようだ。

「とくに55kgは選手が多く、すごく盛り上がっています。自分はSB日本スーパーバンタム級王者とはいえ、他団体に勝って行かないと本当の日本一とは言えないので、他団体の選手をひとりずつ戦って勝って行きたいと思っています」

　山田は、3月12日に行われた『K-1 WORLD GP 2023 ～K’FESTA.6～』のK-1vs.RISE対抗戦となった元Krushスーパー・バンタム級王者の玖村将史（K-1ジム五反田チームキングス）とRISEバンタム級王者の鈴木真彦（山口道場）の対決に熱視線を向けていたという。

「リアルタイムで映像で見ていましたが、レベルが高いなと思いました。でもパンチの威力だったら負けていないと思っていますので、どんなに不器用でも一発当ててしまえば負けないなとは思いました」と山田は、他団体の選手に対して自信を持っているようだ。

■減量13kg、将来階級を上げる可能性も示唆

山田の減量幅は13kgだという

　山田は現在、スーパーバンタム級（55kg）だが、兄・彪太朗は一つ上の階級のフェザー級（57.5kg）。兄と同じ階級を避けるためにあえて下の階級を選択したようだが、減量幅は13kgと過酷だ。階級を上げることについて山田は、こう答えている。

「たしかに減量は苦しいですが、だからこそパワーを活かしてKOできているという側面も実際にあります。この先、いよいよ減量が厳しくなってくれば、兄と同じフェザー級に上げる可能性もあるかもしれません」

　この点について山田は、「兄は『べつに上げれば』と他人事のように言ってくれていますが、そうなると対戦の可能性が出てくるんですよね」と悩むという。兄は弟が減量で苦しむ姿を見ているだけに気遣っていると思うが、兄は4月30日（日）に後楽園ホール大会でSB日本フェザー級（-57.5kg）タイトル挑戦が決まっているトップ選手。山田が階級を上げることになれば、必然的に拳を合わせる機会が出てくるはずだ。兄との同時チャンピオンを目指しているため、しばらくは階級を上げることはないだろうが、年を重ねて代謝が落ちてくれば状況は変わるかもしれない。

　ちなみに兄は今回の弟の戴冠を喜んでくれたようだが、「双子だから分かるのかもしれませんが、内心は先を越されたという思いと、自分のことのように喜ぶ感情と半々だと思います。次は、僕が兄を全力でサポートします」と山田は決意を表明した。

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