【5月・ベストファイター】空道世界選手権を制した岩﨑大河、頭突きKOの理由とUFCへの夢
■空道で連覇狙う岩﨑、MMAでも頂点目指す「UFCで闘いたい」
今回の世界選手権は、戦争問題により、空道競技における最強国であるロシア、日本に次ぎ世界3位の強国であるウクライナの選手が出場していないため「空道を愛する選手が全員出場する次回世界選手権で、本当に一番であることを証明したい」とすでに4年後を見据えている岩﨑ではあるが、近々の使命として、もうひとつ掲げている。
「UFCで闘いたい」というのだ。
なぜ、MMAのなかで、ONEやベラトールや国内タイトルでなく、UFCなのか?
本人が口にしたのは「UFCが世界の頂点だと言われているから」という理由だった。
しかし、UFCに初めて出場した日本人が大道塾の市原海樹であり、市原がホイス・グレイシーに敗れた試合こそが、今のMMAの隆盛の源(みなもと)であるとも捉えられ、それ以来、大道塾・空道の選手がUFCに出場していないことから考えて、岩﨑がUFCで闘ったら、空道関係者にとっては‟30年越しのリベンジだ!”的な想いもあるのではないか?
そんな考えが浮かび、インタビュアーが「さすがに、岩﨑選手は生まれていない時のことなど関係ないかもしれないですが、その昔……」と話を振り始めたところ「94年3月11日だから、自分は全然まだ生まれてないですが……(岩﨑は97年7月7日生まれ)」と、正確な年月日含め、岩﨑は、市原vsホイスが意識の中にあることを語り始めた。
実は、岩﨑が入門した大道塾新潟支部の支部長こそが、セコンドとして市原と共にオクタゴンに入り、市原の最後の試合の相手ともなった山田利一郎であり(UFC出場の翌年、94年北斗旗決勝で山田が勝利)、岩﨑は中・高校生の頃、師事する山田から「市原という選手がいて……」と、歴史を聞かされていたという。
そのとき山田から受けた言葉は「そういう素晴らしい選手たちがいたんだ。おまえも、そういった選手に並び、超えるような空道のチャンピオンになれ」といった内容であり「おまえがUFCにリベンジしろ!」といったメッセージではなかったそうだが、その後、稽古を続け今日に至るまでの間に「あの試合から大道塾の時が止まっている」「あの試合があってから、大道塾の選手が‟丸く”なっちゃったんじゃないか?」と感じるようになったという。
確かに、空道という競技が‟社会体育”‟武道スポーツ”として確立したものになっていくにつれ、それまで、外部に向かっても尖っていた大道塾の選手たちが、競技内でのスマートな勝利に集中するようになるのと引き換えに、猛々しさを失っていったという面はあるかもしれない。
「大道塾の名の語源である『大道無門』の思想は『自分の世界に閉じこもらず、いろんなところで学び、吸収すべし』ということだと思っています」という岩﨑が、MMAで、そして4年後の空道世界選手権で、どんな‟尖り方“をみせてくれるのか? 注視したい。
■岩﨑大河が受賞の喜びを語る
今回の選出は「競技運営者であった東孝・大道塾塾長の死去やコロナ問題の影響を受け運営陣が苦しむなかで開催された、空道世界選手権の最重量級において、決勝で海外の選手を頭突きというこの競技ならではの技術でKOし、13年振りに王座を日本にもたらした」ことを要因とする。
イーファイトで“月間ベストファイター”に選出されるのは、K-1やMMAなどで活躍したプロのトップファイターが主であることを伝えると、岩﨑は「嬉しいです! 興行のスポーツの選手の方が選ばれることが多いなかで、空道というアマチュア武道の選手である自分を選んでいただけて、光栄です」と、メジャーとは言い難い競技で育った者ゆえの、矜持とも謙遜とも受け取れる言葉を口にした。
取材/文=朝岡秀樹(Hideki Asaoka)、編集=イーファイト編集部
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