【8月・ベストファイター】南原健太、大逆転KOでRISEライトヘビー級王者に！その原点は極真の“一撃”にあった

■目の前がグラグラして記憶が飛ぶ、敗北の危機

　右フックをもらった南原は立ち上がるも、「目の前がグラグラして、焦りました」と敗北の危機を感じていたという。試合時間は、まだ1分は残っている。この時の記憶は曖昧だというが、「残り4Rあるから大丈夫」と冷静になり無理をせずに回復を待ったようだ。

反撃する南原

　そして、2R開始のゴングが鳴る。ダメージから回復しつつあった南原は、パンチからミドルキック、後ろ廻し蹴りで攻撃。距離を保つことができ、ようやく自分のペースで試合を進めることができるようになっていた。

　コントゥアラーイは笑みを浮かべて左右のフックを返すと、南原が左ヒザ蹴りを決めて、左フックのカウンターを決めてダウンを奪い返した。盛り上がる会場。立ち上がったコントゥアラーイに南原は、左右のパンチを連打。ともにアッパーで打ち合うと、南原は左から右を入れて、ついにコントゥアラーイをKOした。

　劇的な大逆転勝利に、応援団も大興奮。南原に、この逆転シーンを聞くと「それが覚えていないんです」と無意識で動いていたことを明かした。だが、「ヒザ蹴りは、もともと空手の得意技だったので、自然と出たのかもしれません」と空手で培った技術や過酷な練習を積んできた動きが、その時に出たのだろう。

■「南原健太の試合は面白いと思ってほしいために倒しに行く」

　南原は、今回の試合を含め、これで9戦8勝8KO1敗。勝利はすべてKOで、負けた1敗（カルリ・ギブレイン戦）もKO決着だ。KOへの拘りに関して南原は「見に来ていただけたお客さんに、熱くなってもらい、応援して良かったなと思ってもらいたい」と常に観客のことを考え、プロ意識が高いことをうかがわせた。

南原の衝撃逆転KOに会場も大盛り上がり

　セコンドからは“ちゃんと試合を作ってから考えよう”と要求があるようだが、「南原健太の試合は面白いと思ってほしいために倒しに行く」と決めているともいう。今回のタイトルマッチも距離を取って削っていく戦略を立てていたが、一方で「ここで獲るやつは獲るし、落とすやつは落とす。自分は倒しに行っても、獲れる」と自信があったと笑う。

　勝負の世界には“結果オーライ”という言葉があるものの、高い志があるからこそ、ハイリスクハイリターンが実現するのも事実。その点、南原は“持っている”のだろう。

「歴代の選手で名を残したり、注目を浴びるのは魅力があるから。僕の武器は、倒すことなので、派手に倒して行きたい」と、あくまでも“一撃”に拘っていた。

■「この階級の日本最強を目指すため、K-1とも戦いたい」

　RISEライトヘビー級チャンピオンとなった南原は、これから狙われる立場になることが増えていく。今後の野望については、「この階級の日本最強を目指すため、K-1の選手とも戦いたい」と明かした。

　体重-90kgの階級はK-1の日本人ファイターだと、K-Jee、谷川聖哉、空手転向組の新鋭だと元JFKO王者の山口翔大ら強豪が並ぶ。今後、交わることになれば、面白い展開が待っていることだろう。

RISEライトヘビー級チャンピオンとなった南原

　南原は「次はRISEの12月大会を目標に調整していきますが、ベルトという守るものができて、ファイトスタイルやメンタル面にどんな変化があるか、次戦を楽しみにしていてください」と進化していくことを予言した。

　チャンピオンとなり、ある意味、ここからが本当のスタートと南原は思っている。「僕と戦いたい選手は、覚悟を持ってRISEのリングに上がってきてほしい」と“一撃”を食らわせる自信があるようだ。さらに進化する南原が、一体、どこまで強くなるのだろうか。K-1ファイターとの激突も含めて、“一撃”がRISEのリングで派手な花火を上げそうだ。

■受賞の喜び

　最後に月間ベストファイター受賞について感想を聞くと、「純粋に試合内容を評価されて賞をいただけたことが嬉しいです」と南原。賞品として記念の盾とサプリメントが贈られるが、「自分はプロテインくらいしか飲んでいないんですが、ありがたくいただきます」と笑顔で答えた。南原のさらなる飛躍に期待したい！

（取材/文＝松井孝夫、構成・編集＝イーファイト編集部）