2019/11/19（火）UP
（最終更新：2019/11/21 14:12）

　増田氏はセミナーで昨年の全日本王者の上田幹雄、17年全日本王者の髙橋佑汰、16年全日本王者の鎌田翔平を主に指導。考え方、技術、そしてガチスパーリングまでこなし健在ぶりを発揮。体を張って教え、外国人選手のフィジカルを活かした、接近してのアタック中心の組手スタイルに如何に対峙するかを伝授した。

世界ウェイト制で上田幹雄、髙橋佑汰を立て続けに撃破したアンドレイ・ルジン（ロシア・左）には要警戒だ

『一撃も喰らわずに一撃を決める』『攻撃の正確性』というテーマを掲げ、更に自身が全日本制覇、100人組手完遂で身につけた『デイフェンスとカウンター』の重要性を説く。「大型選手がひしめく世界大会のトーナメントで勝ち上がるには相手の攻撃をもらっていては勝ち上がるにつれダメージが蓄積し十分に戦えなくなってしまう。相手の攻撃をもらわずに正確に技を決めていかなければ勝ち上がることなんてできません」と100人組手でも最初の５０人はほぼ一本勝ちだった増田氏の打たせずに打つを。セミナーで日本選手団は短い時間ながらデフェンスを吸収して言ったと言う。しかし同時に「相手のアタックには一歩も引かない気持ちとフィジカルは大事です」と増田氏。打ち合えるフィジカルがあってこそ、その他の空手技能が活きるのだという。

デイフェンスとカウンターについて講義を行う増田氏

　そしてフィジカル、技術を備えた上で最後は心が重要となる。

「私は全ての戦いは、『間合いを制し、攻撃を制し、心を制すること』が重要だと考えています。選手には『究極の一撃を追い求め、心撃を極める』ことが極真空手家の使命だと伝えました。今回、気持ちを前面に出す荒田昇毅（前回世界８位）選手などが、まずは海外選手に対し、気持ちで負けないということを示してくれると思います。その上で、上田選手、鎌田選手、髙橋選手などの日本選手が如何に進化した極真空手を見せてくれるのか。現地で観戦したいですね」と期待する。

セミナーでは増田氏(右）が自ら昨年全日本王者の上田幹雄とガチスパーを行った

　その上田幹雄と髙橋佑汰に関しては「全空連のナショナルチームとの練習から、今までの極真とは違い、間合いのある攻防ができる」と評価。外人のアタック戦法に対しても「上田は相撲経験者、高橋は線が細く力負けしていたが、これまで以上にウエイトトレーニングなどでフィジカルを強化しているとのことで期待ができる」とした。

　16年全日本王者の鎌田翔平には「オールラウンダーの選手だが、今大会で引退を表明しているだけにその覚悟が見たい」と技能と心の部分を指した。

全空連での強化稽古に参加する上田幹雄（右）＝17年4月

　また、この上記日本の４強以外に新鋭では大学時代はラグビー関西代表にも選抜された元ラガーマンの西村界人を挙げた。身長188cm、体重110kgを誇る25歳。「教えていてもすぐに吸収する。フィジカルもあり攻防のバランスがいい。彼は極真会館・東京城北支部所属なのですが、そこから日本代表が６人出場するので練習相手にも困らないでしょう」とそれぞれ分析した。西村は体重無差別の今年のオールアメリカン国際大会３位で世界大会の出場権を獲得。大型外国人に好ファイトが予想される。

【増田章が挙げた強豪選手たち】
［海外選手］
・オレクサンダー・イエロメンコ（31=ロシア／180cm／92kg／全ロシア重量級王者）
・アンドレイ・ルジン（23=ロシア／187cm／84kg/世界＆ロシア＆欧州軽重量級（－90kg級）王者）
ゴデルジ・カパナーゼ（33=ロシア／183cm／93kg/11年世界大会3位）
・［新鋭］アントン・グリアエフ（21=ロシア／196cm／96kg＝異名：ロシアンハイタワー）
・［新鋭］イカロ・ナシメント（20=ブラジル／210cm／140kg＝身長、体重とも今大会NO.1）

［日本選手］
・鎌田翔平（32=東京城西支部／186cm／95kg／16年全日本優勝、17年世界ウェイト制重量級優勝）
・髙橋佑汰（26=東京城北支部／180cm／95kg／17年全日本優勝、17年世界ウェイト制軽重量級２位）
・上田幹雄（24=神奈川横浜北支部／187cm／102kg／18年全日本優勝、17年世界ウェイト制重量級3位）
・荒田昇毅(32=千葉中央支部／183cm／100kg／18年全日本3位、13年世界ウェイト制重量級優勝)
・［新鋭］西村界人（25=城北／188cm／110kg／25歳／19年オールアメリカン国際大会３位）

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