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7.3イップ・マン公開、詠春拳とは?映画に使われる様々な拳法のルーツに迫る

2020/06/18(木)UP

映画『イップ・マン 完結』主演のドニー・イェン

 7月3日より日本での公開を決定した『イップ・マン 完結』。さすがカンフー映画の王道、香港作品だと思わせるアクションが多彩だ。
 主演のドニー・イェンは、ジェット・リーと同じ北京市業余体育学校出身。リアル志向のアクションに取り組んでおり、本物の迫力が伝わってくる。

 “映える動画”は私たちの十八番だ。そう言わんばかりにドニー・イェンのアクションチームがSNSでそのアクションを披露する。

 このアクションの元になった拳法とは一体何か。香港映画に根付いた2大武術は詠春拳と洪家拳(洪拳)であり、前者は故ブルース・リーの主流拳法で、洪家拳はジャッキー・チェンやユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポーにおける主流拳法だ。いずれも低い重心でどっしり構えた南派の中国武術である。

 南派武術は中国南部(華南)は海に面しており、川や海の船の上で戦う事を想定したため、低い姿勢になったという説がある。詠春拳は広東省を中心に伝承されていた徒手武術で手技が中心。ブルース・リーは13歳で香港のイップ・マンの道場に入門。5年間、詠春拳を学び、渡米。以降、詠春拳をもとに実戦的な武術の研究を重ね、新たな蹴り技やボクシングなどの西洋の技術を取り入れた截拳道(ジークンドー)を創りあげた。
 一方、洪家拳の特徴としては、強く俊敏な馬(足腰)、力強く精妙な橋手(前腕技術)で知られ虎爪(こそう)による禽拿(きんな=関節系の技)を得意とする。ジャッキー・チェンは学んだ洪家拳をベースに70年代後半には映画『蛇拳』『酔拳』などでは洪家拳の動きをアレンジし創作している。

イップ・マン(左)は詠春拳の達人だ

 南派拳法とは対照的に、よく動き回るのがジェット・リーらを生んだ北派の中国武術。中国北部(華北)は平原が多いために移動は遊牧民族の馬か徒歩、そのため、跳躍や蹴りの多い武術が発達したと言われる。北京市業余体育学校出身のジェット・リーや、ドニー・イェンも北派の拳法を学んだが、『イップ・マン』でイェンは詠春拳の達人を演じている。

■第3の武術は蔡李佛家拳

 さて第3の武術といえば蔡李佛家拳(さいりふっかけん)などが挙げられるだろう。同武術は集団を相手にした技術にも長け、ブルース・リーも取り入れた。リーは蔡李佛家拳を「大勢の敵と戦うのに最も効果的なスタイルだ」と語っている。以前は詠春拳と犬猿の間柄ともいわれたが、時代の流れによってすっかり風化し、現在では双方の団体が、西洋格闘技が台頭する中華圏で伝統を守るために手を取り合うこともしばしばある。

蔡李佛家拳(さいりふっかけん)のチャンピオンのマンディ・ホーは、現在は美女アクションスターとしても活躍する

 この蔡李佛家拳の継承者として、注目されているのがアクション女優としても活躍するマンディ・ホー(何佩珉)だ。2011年に『世界功夫群英會2011』の女子(成年)外家拳 套路(型)の部で金メダル、そして同年に行われた香港最大手のテレビ局が行った武術ショー『カンフー・ニュースター(功夫新星)』で優勝し、以後はアクションスター活動、サモ・ハン・キンポーもいち推しであるという。『イップ・マン』への出演はないが、期待の女優兼中国武術家だ。ジャッキーや、ユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポーは中国戯劇学院というアクションスター養成学校で中国武術を学んだが、このようにカンフースターには中国武術の選手出身者も出てきている。

太極拳の達人を演じるウー・ユエ

■太極拳や日本の空手もカンフー映画には欠かせない存在

 この『イップ・マン 完結』に登場する重要人物で、中華総会会長のワン(太極拳の達人)を演じるのはアクション俳優のウー・ユエ(44)だ。太極拳はゆっくりとした動きのイメージがあるが、実戦となると早い動きで爆発的な威力を発揮する。この映画ではどのようなアクションを披露するのか。この太極拳の達人を演じたユエは、元々中国武術の選手で1994年に八極拳で全国優勝を果たしている。八極拳は蹴り技が少なく、手技、肘での攻撃が多く、南派と思われがちだが、北派の拳法である。

イップ・マン(右)と空手の対決シーンも

 更にアメリカ海兵隊の外部空手教官役には元ボクサーで詠春拳も学び、MMAに参戦経験もあるクリス・コリンズが出演している。空手は沖縄の琉球古武術だが、琉球王国時代から中国と交流があったため、元々琉球の武術だった手(ティー)に中国拳法の要素が取り入れられ、空手になったと言われる。ヌンチャクは沖縄起源説があり、琉球古武術の一つだ。

 ちなみに『少林サッカー』でブルース・リーにそっくりと話題にもなったチャン・クォックワンがブルース・リー役で出演し、ヌンチャクのアクションを披露している。

ブルース・リーを演じるのは、本人とソックリなチャン・クオックワン

 彼は詠春拳を独学から始めた。幼い頃からブルース・リーの大ファンで父に「ジークンドー入門」を買ってもらい、繰り返し本を読み映画を観た彼は、小さな動きから喋り方にいたるまでブルースの真似をする子供だった。そのそっくりさが『少林サッカー』で監督&主演を務めたチャウ・シンチーに見出され出演。以降、いくつかのカンフー映画やテレビ番組に出演し、2015年の『イップ・マン 継承』でブルース・リー役で出演した際、主演のドニー・イェンから詠春拳を本格的に学んでいる。今回はヌンチャクを振り回すなど敵を撃退するシーンが発表されている。どのようなブルース・リーアクションとなっているのかに期待したい。

▼イップ・マン 完結の予告動画

『イップ・マン 完結』
配給:ギャガ・プラス 
(c)Mandarin Motion Pictures Limited, All rights reserved.
7月3日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
公式サイト:https://gaga.ne.jp/ipman4/

監督:ウィルソン・イップ
アクション監督:ユエン・ウーピン 
製作:レイモンド・ウォン
音楽:川井憲次
出演:ドニー・イェン『イップ・マン』シリーズ、『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』
ウー・ユエ『SPL 狼たちの処刑台』、スコット・アドキンス『ドクター・ストレンジ』
ヴァネス・ウー、チャン・クォックワン『少林サッカー』
原題:葉問4 完結篇/英題:IP MAN4/2019年/中国・香港/105分

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