【ムエタイ】香港のビッグマッチで中村ドロー、大田原は惜敗
XTREME MUAY THAI
「FIGHT HARD PARTY HARD」
2014年3月29日(土・現地時間)香港湾国際展示センター
▼WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーフェザー級タイトルマッチ 3分5R
△リー・ケネス(香港)
ドロー 判定1-1 47-49 48-48 48-47
△中村敏射(オーピリヤピンヨージム)
これまで香港で13戦している中村の現地での人気ぶりは驚くべきものがある。中村の試合は足技主体だ。ミドルキックや得意のヒザ・ヒジにつなぐ攻撃などは香港選手には真似できないものがあり、その華麗な試合運びが現地ファンに人気を呼んでいる。対戦相手のケネスは、これまでに香港で3階級を制覇してきた現王者で、この階級の第一人者だ。
1R、大きなパンチを振ってくるリーに対し中村はジャブからローキック、ミドルへとつなぐ。中盤には中村のローのダメージが蓄積し、リーは早くも足を引きずるそぶりを見せはじめた。そして中村の右のヒジ打ちがリーの額をカットする。リーはグローブで切り口を確認すると、早くも慌てはじめ棒立ち状態に。
3Rの時点で中村の圧勝か!? と思うほどであったが、リーも地元の声援を受け猛反撃に出た。リーはパンチ主体で前に出るが、大きなクリーンヒットは無いにしろ、パンチから時折ミドルキックにつなぐなどの場面で場内は大喝采だ。
4Rに入り、リーは挽回が難しいと悟ったか、今度は逆にヒジで中村の額を切ってやろうという作戦に出たようだ。ここで中村は飛びヒザ蹴りをリーの腹に決めるなど、攻撃の多彩さでも優勢ぶりをアピールした。
最終5R、リーは挽回しようと必死に前に出てくる。中村は下がりながら左ミドルをヒットさせる。距離の詰まった状態での相打ちに場内も沸きかえる。リーも必死に逆転を狙うが中村の優勢ぶりは崩せなかったように思えた。
終了ゴングが鳴ってから、それぞれのジャッジの採点を足し算するまでに、実に8分もの時間がかかった。そして出た判定はドロー。これは地元ジャッジを起用しているため、致し方ないのであろうか。しかし判定が出るまでの長い時間や、その間にWBCムエタイ・コミッショナーのキアット氏がリングサイドを動きまわり場内の観衆から注目されるなど、この採点には何かあるのでは?と不審感を抱かずにはいられない場面もあった。
試合後の中村の話によると、本来のスーパーフェザー級規定の58.9kgから試合3日前に61kgの契約体重に変更になったという。
(編集部追記)
同大会終了後の4月5日、WBCムエタイ事務局長のパトリック・クーシック氏は「この試合はインターナショナル王者決定戦であったと言うのは事実ではありません。この試合はWBCムエタイチャンピオン戦のルールで戦われましたが、インターナショナル・チャレンジであり、王者決定戦に認定出来ない選手間で戦われる試合です」と、レターでこの試合がタイトルマッチではなかったと説明した。
▼57kgトーナメント 一回戦 3分3R
○ジェファーソン・シッソンピーノン(ブラジル)
判定
●大田原友亮(B-Family Neo)
キックボクシング、ムエタイが盛んな香港で開催された大会に日本から大田原友亮と中村敏射の2選手が参戦。今回は、これまで富徳ムエタイ連盟が主催してきた4,000人規模の会場より、かなり大きな12,000人収容の大会場で開催された。
大田原は4人で競われた3R制57kg級ワンデートーナメントに出場。リングインした両者に場内から大きなざわめきが起こる。両者にかなりの体格差があったからだ。
普段のタイでは53kg前後で戦う大田原だが、対戦するジェファーソンは去年の同大会では69kgで戦っていたというから驚きだ。ジェファーソンはこの日のために10kgの減量をしてきたという。今大会は前日計量であるため、10kg落としたジェファーソンは試合の当日夜には、すっかり元の体重に戻っていたであろう。大田原にとって苦しい試合が予測された。
試合はかなりの体格差、リーチ差があったが、大田原のローが幾度とヒットし、ジェファーソンの太腿も赤く腫れていく。
2R、大田原はジャブからのローキックや、フェイントからの高い蹴りをヒットさせ、これには場内も沸きかえるが、ジェファーソンも単発ながらも重いミドルを返してくる。
そして最終3Rに入るとジェファーソンは体格差を活かして組んで倒しにくる作戦にでた。組んだ状態でのヒザ蹴り合戦は互角なのだが、やはり体格差で倒される場面も。互いにヒット数はあったものの、勝敗の印象としてはジェファーソンに分があった。
写真・記事=シンラパムエタイ/早田寛
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