【ムエタイ】中学2年のムエタイ王者・佐藤虎我がラジャダムナンで惜敗
「スックワンギントン」
2017年1月18日(水・現地時間)タイ・ラジャダムナンスタジアム
▼第8試合 90ポンド契約
○ノンチャンプ・スアンアーハンパクディ(タイ)
判定
●ヒュウガ・ウォーワンチャイ(=佐藤虎我/エクシンディコンジムJAPAN)
昨年12月25日にサラブリ・アディソンスタジアム王者となった中学2年生の佐藤が、タイのムエタイ二大殿堂のひとつであるラジャダムナンスタジアムでノンチャンプと対戦。ノンチャンプは、15歳にして戦績100戦以上。出身地であるサラブリ県下では敵なしと言われ全国区でも名の通った選手。佐藤とノンチャンプとは、昨年3月に対戦しており、その時はノンチャンプが判定勝利を納めている。
今回のラジャダムナンでの再戦は、ここ最近の佐藤の急成長ぶりに見入った関係者やギントン興行プロモーターが組んだもの。佐藤としては関係者らの期待に応えるべく、雪辱を果たしたいところだ。
試合は前半は両者とも手数が少なく、互いに出方を探りあっているような場面が続く。佐藤が蹴りを出し、ノンチャンプはそれを前蹴りで遠ざけ、たまに蹴り返すという静かな流れだ。
3Rに入り、組んだ状態でのヒザ合戦に移行。基本ノンチャンプは捌くばかりだが佐藤が腰を落としたすきに大きなヒザを単発ながら決めるなどし、ジャッジ印象を良くするための攻撃を上手くまとめた。それ以降の打撃の攻防でもノンチャンプは佐藤の攻撃をかわした後の流れの最後で目立つ技を一発くりだすという感じだ。これは攻めているものを常に評価する日本のジャッジでは佐藤を優勢とするだろう。
だが相手の攻撃を避けたり捌くことも評価するムエタイではノンチャンプの優勢と評価されかねない。ノンチャンプは更にヒットアンドアウェイの流れを定着させていく。逆に佐藤は大きな攻撃を当て、この流れを壊したい。そしてジャッジに“攻めている”という印象をアピールしたいところ。
最終R、動体視力に長けたノンチャンプは佐藤の攻撃から逃れるばかりで、それまで打ち合いには応じてくれなかった。最後の最後で佐藤が放つ右パンチの強打が一発当たり、ノンチャンプは一瞬バランスを崩したが、ジャッジがこの一場面をどう評価してくれるか。
それ以降もノンチャンプは勝ち逃げに徹し、試合終了。ジャッジは三者ともノンチャンプを勝者とする。
ムエタイを見慣れないものであれば、攻めていた佐藤がどうして判定負けになるのか理解できなかったかもしれないが、この日、ノンチャンプは攻めることばかりに執着せず、まず相手の攻撃をかわすことを第一と考え、器用に流れを組み立てていった。このノンチャンプの闘い方は、ムエタイの基本ともいえる戦い方だ。
佐藤としては悔しい結果となったが、打つ、蹴る、捌く、の基礎に長けた佐藤であれば、この日のノンチャンプの戦い方を身につけて、自身が最強のムエタイ選手となれるであろう、そんな事に気づいたのではないだろうか。伸び盛りの佐藤にとって今回の判定負けは、大きな収穫となったに違いない。佐藤は試合後、「皆さんの期待に応えられず、すいませんでした。次はもっと練習して、練習した事を試合で出し勝てるよう頑張ります。応援ありがとうごさいました」とコメントしている。
Photo & Text 早田寛 Hiroshi Soda
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