那須川天心が明かす、堀口恭司戦の3Rで使った“天心マジック”=2018年9月ベストファイターインタビュー
■3Rに攻撃が当たり始めた“天心マジック”
様相が変わったのは3R。距離が少し詰まり、それまでほとんど当たらなかった那須川のジャブが当たり始めたのだ。ここには“天心マジック”が隠されていた。
「あれは自分の1Rからのプレッシャーが効果を発揮し始めたのもありますが、距離を騙していたんですよ。最初は両足のスタンスを縦目(相手から見て前後の足が一直線に近い形)に構えていて、3Rは縦目ですが前足だけ一歩前に入っていたんです。スタンスが広くて、その分、距離が近くなるじゃないですか。それは作戦がハマりました」
試合を終えた那須川は、何よりもまず「ホッとしました」という。「緊張というか、やっぱりキックボクシング界を背負っているというか、そういう感じには自然になりました。自分自身は意識はしていませんでしたが、みんなから言われたので。そうやって言われるような存在になれたのは嬉しいですけれどね」
世間の大きな注目を集めた試合だっただけに、もし塩試合になったらどうしよう、との不安はなかったのだろうか。
「それは考えていなかったです。今回、試合内容的にはKOではなかったし、打ち合いにもならなかったのでそんなに盛り上がる内容ではなかったじゃないですか。それでもお客さんは盛り上がってくれました。僕もこの2人がやって、面白くないことはないって思っていました」
これだけの試合を経験し、得たものも大きかった。
「本当に何段階も進化しました。“凄い、これが試合か”と思いました(笑)。試合に対する視野が広がったというか。今回は空振りが多かったので、今度の試合ではパターンをいっぱい打とうかなと思っていて、今はパターンの練習を凄くやっています。みんな僕のストレートを研究するじゃないですか。そこで今、他の技を強化しているんです。
堀口さんも『倒せる技がストレートしかない』って言っていましたね(笑)。そういうわけではないんですが、みんなそれをもらってしまうじゃないですか。ストレートがあると思っただけでも、こっちの術中にハマっているんですよね。いろいろなものを当てて、最後にストレートで倒すというだけで。効かすのは何でも効かせられますから。そのパターンを増やしていきます」
那須川の言葉からは、堀口戦を終えての充実度の大きさがうかがえた。これほどの相手、これほどの大一番を経験してしまうと、燃え尽き症候群で今後の試合でモチベーションが高まらないんじゃないか、と聞いてみた。
「いや、そうはならないですね。この先の試合もどんどん決まっているので。RISEも来年からまた面白くなりますし。それが終わるまでは燃え尽きないかな。相手もみんなタイプが違いますからね。堀口さんのような、スレスレの緊迫感ある試合はなかなかないとは思います」
次回の試合は11月17日(土)東京・両国国技館にて開催される『RISE 129』で、前シュートボクシング日本スーパーバンタム級王者・内藤大樹(22=ストライ キングジムAres)との対戦が発表された。内藤とは2015年8月に各団体の軽量級トップが集った『BLADE FC JAPAN CUP 2015 -55kgトーナメント』の決勝戦で激突し、1R1分41秒、那須川が3度のダウンを奪ってのKO勝ち。内藤にとってはリベンジ戦となる。
「彼は昔から自分の名前を出していて、自分ともう一度やるために勝ってきたというか。いろいろな試合を見ていると勝ったり負けたりして、凄く人間味のある選手だなって思っています。そういう選手はいい選手だと自分は思っているし、自分をここまで思ってくれる選手もなかなかいないので、やるのは楽しみです。一番自分と戦いたいと言ってくれていますし、RISEにまで来てくれましたし。本当に強い選手だと思っていますよ。そういう選手は本当に強いです。
そういった意味でも差を分からせてやらないとな、というのはあります。だからこそ、敬意をこめて倒さないとダメです。向こうは100%判定勝ち狙いで来ると思うので、自分はそんなこと無しで。作戦は分かっているので、それをしっかりやるだけです」
堀口戦を経て、さらなる進化を遂げた那須川。内藤戦、その先に予定している大みそかRIZIN、そして2019年と、那須川天心からまだまだ目が離せない。
●受賞者・那須川が喜びを語る
今回のベストファイター受賞は、ベストファイターの前身である月間MVPと合わせて7度目の受賞となる。そのことについて那須川は、「毎回いただけるということは、毎回いい試合が出来ているということだと思うので嬉しいです」と語った。
なお今回受賞した那須川には、イーファイトより記念の盾と、ゴールドジムからアルティメットリカバリーなどのサプリメント3種類が贈られる。
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