【月間ベストファイター・2月】紅絹、史上初のRISE QUEEN王座防衛も笑顔を見せなかった理由とは
毎月イーファイトのサイト名にちなんでより良い試合をした選手に贈られる、格闘技月間ベストファイター賞。2020年2月のベストファイターは、2月11日(火・祝)の『RISE GIRLS POWER 2』で行われた「RISE QUEENアトム級(-46kg)タイトルマッチ」で、平岡琴との激戦を制し王座を防衛した紅絹(36=NEXT LEVEL渋谷)に決定した。(2020年3月18日UP)
PROFILE 紅絹(もみ) 2006年10月にプロデビュー。2012年11月にJ-GIRLSミニフライ級王座を獲得。2013年9月には第2代RISE QUEEN王座決定戦で神村エリカと大激戦を演じるも判定負けを喫した。J-NETWORK、RISE、シュートボクシング、Krushなど数々のリングに上がり50戦以上のキャリアを積み、6年の時を経て2019年7月RISE QUEENアトム級王座決定戦に挑戦、那須川梨々を下し悲願のRISE QUEENの座についた。2020年2月に平岡琴を相手に同タイトルの初防衛戦に臨み、ダウン応酬の末判定勝利を勝ち取り、神村エリカが成し得なかったRISE QUEEN初防衛を果たした。 |
選考理由
1.RISE QUEEN史上初のタイトル防衛に成功
2.2013年6月以来、6年半ぶりにダウンを奪取
3.圧倒的な試合内容を見せ、RISE女子の顔としての立場を強固なものにした。
選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ
受賞された紅絹選手には、ゴールドジムより以下の賞品(アルティメットフレキシジョイントUC-Ⅱ 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アミノ12パウダー 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムベストファイター記念インタビュー
2月11日、軽量の女子格闘技ではなかなか見られないダウンの応酬の一戦があった。『RISE QUEENアトム級タイトルマッチ』で王者・紅絹(もみ・36=NEXT LEVEL渋谷)の初防衛戦。相手は極真会館の全日本軽量級を制し、キックでも勝ちを重ねる平岡琴(29=TRY HARD GYM)だ。紅絹は5Rにダウンを奪い逆転で判定勝利。タイトルの初防衛を果たした。RISE QUEENの名が冠されるタイトルの防衛は史上初となる。
■勝ち名乗りに笑顔が無かった理由「平岡を制した気にはなれない」
昨年7月、那須川梨々(TEAM TEPPEN)との王座戦に勝利し女王となった紅絹の初防衛戦。
紅絹は序盤、自身の距離を図り、冷静に試合を組み立てる。軽快なフットワークから左のインローをヒット、パンチの打ち終わりはミドルで締め、平岡の前進を抑え、ペースを握っていたことを自覚していた。
試合が大きく動いたのは第3ラウンド。紅絹の左ストレートに合わせた平岡の極真空手ゆずりの右後ろ回し蹴りが紅絹の側頭部に直撃。「ガクッとヒザが落ちてしまいました」という起死回生の強烈な一撃で、紅絹はダウンを喫した。ダメージの度合いは覚えていないというが「やっちゃったなー、というのが一番大きかった」と、紅絹は当時を振り返った。
幸い意識が飛ぶようなダメージは無く「3ラウンドは10対8で取られたとしても、4・5ラウンドで取り返せるかなと、私もセコンドも思っていた」と、焦りはなかったという紅絹。「動ける自信はあったので、淡々と圧力を強めながらいこうと思っていました」と、逆転への道筋は見えていたという。
その圧力が形となったのが第5ラウンド。打ち合いの中で放った紅絹の右フックで平岡がダウンし、3ラウンドにとった後れを帳消しにした。激しい打ち合いを続けたまま試合は終了し、紅絹はジャッジ3者が全員1ポイント差をつけ判定をものにした。
しかしその判定を聞いた瞬間、紅絹は首をかしげ、笑顔を見せなかった。そのときの心境について、紅絹は2つの理由を挙げた。1つ目は「延長があると思っていた」と、試合全体を通して明確な差は無かったという実感があったこと。2つ目は「ダウンの内容が相手(平岡)のほうがちゃんとしたダウンだったので、私の中ではしっくり来ていなかった」と、対等なダウンではなかったということ。この2つの理由が「よーし勝ったぞ、という感じには全然なりませんでした」と、笑顔無き勝ち名乗りに繋がったという。
改めてこの一戦の感想を問うと、紅絹は率直に「平岡を制した気にはなれない」と心境を明かした。再戦の可能性についての質問にも「あり得ます」と即答。「トーナメントや(挑戦者)決定戦があるとしても、彼女が来ると思っています」と、勝利してもなお、最強の挑戦者であると高く平岡を評価した。
■神村エリカに触発された「RISEらしさ」
この試合、紅絹はフットワークを使った前後の出入りを生かしつつ、ハードヒッターである平岡と積極的に打ち合った。紅絹は「個人的にはダメージが残るのでやりたくない」と笑うも「選手としてはそういう見せ方できないとダメだな、つまらないなと思う」と、プロとして打ち合いを選択したことを明かした。
その選択の裏には、かつてのライバルである元RISE QUEEN・神村エリカの存在があった。神村とは一緒に酒を嗜む間柄であるという紅絹は、神村が考える「RISEらしさ」の話を聞いていたという。常に倒す試合を志していた神村の姿を見ていた紅絹は「説得力がある戦いを見ていたので、そうなりたい、そうしないといけないとは試合前からずっと考えていました」と、神村が体現していた「倒して魅せる」試合を強く意識していたという。
神村とはファイトスタイルは異なる紅絹は「彼女のような派手な戦いはできない」としながらも「RISEらしさというか、自分らしさを出す。泥臭さというか諦めない気持ちとか、そういった姿勢を試合で見せる」という、”紅絹としてのRISEらしさ”を追求。その結果が、2013年6月以来という6年半ぶりのダウン奪取という結果に繋がったのだろう。
▶︎次ページは、若手からの挑戦を熱望する紅絹「もっとケンカを売ってくれないとお母さんになっちゃう」
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