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【月間ベストファイター・11月】38歳、ボクシング5戦目で東洋王座を奪取!元キック世界王者・緑川創が貫いた「重心を崩さない」必勝術

■ボディもワンツーと同じ重心「沈むだけ」

緑川のボディ!

 緑川のパンチは、決して豪快に振り切るようなものではない。
 パンチの威力について緑川は「大きく打ったからって効かせられるわけでもない。強く振ってるわけじゃない。打ち方や体の使い方が分かってきた」と、“当てる力”より“当たる形”を優先していると言う。

 その形として、緑川は「重心と脚の位置は変えない」と繰り返す。

 ナァツ戦で目を引いたボディストレートも「ワンツーと同じ重心のままで、ちょっと沈むだけ」だと言う。スタンスも「普通のワンツーのまま、ずらさない。その上に自分が乗っかってるイメージ」とのこと。
 さらに「構えてる場所から、予備動作なく打つ。でも足(の力)も利かせている。思いっきりってやる気持ちは全くない。タイミングと、いいところに当たれば倒れるだろうと思っている」と、力感のなさを言語化した。

■ミットも対人も「シャドウの延長」

 また「当てようとすると、どうしても体勢がぶれる。意識しちゃう」と、ぶれを徹底的に回避する。
 「基本的に当てようと思ってない。ただ単に打ってる。シャドウしてる」と、対人であっても、ミットであってもシャドウの形と同じだと言う。

 続けて「シャドウがめちゃくちゃ大事。サンドバッグの時も“シャドウをサンドバッグ”してる。的があって、自分のシャドウをそこにぶつける。足で動いていけば、勝手にぶつかる」と、狙い撃ちではなくフォームの再現で当てると何度も繰り返した。

 具体的には「打ったらその場にちゃんと戻る」「頭の位置をずっと置いとかない」。重心がずれると「ちゃんとした位置に戻れなくなって、全部がうまくいかなくなる」。だから「教えてもらったことを、シャドウ、スパー、サンドバッグ、全部で絶対に変えない。疲れたからといって変に作ったりしない」と徹底する。

■ミットでも変わらぬ“重心の基準点”

 ジムでミットを受けてもらっても、緑川のスタイルは試合と同じだった。こちらが「思ったよりゆっくりに見える」と言うと、本人は「いつも見てこんな感じです。ちょっと早いぐらい」と笑う。試合だから速く、スパーだから遅く――そういう切り替えは基本的にしないという。「普段と違うことをやると怪我しやすい」と、ここでも“いつもの形”を崩さないことを優先した。

 ボディの打ち方も、言葉はシンプルだ。「ワンツーと同じ重心のままで、ちょっと沈むだけ」。

■トレーナーが語る「圧」の正体

 この場面でトレーナーの山口氏が口にしたのが「圧」だった。山口氏は「重心が真ん中にあると、どのパンチも出せる。片足に乗ると出せる打撃が限定されて読まれる」と説明する。読めないこと自体が圧になる、というわけだ。

 緑川のパンチが「遅く見えるのに踏み込めない」理由も、ここに重なる。速度というより、“構えの情報量が少ないのに選択肢が多い”状態が続く。相手からすれば、読めないまま嫌なタイミングで入ってくる。王者ナァツ戦で見せた、崩れない重心とノーモーションの踏み込みは、ミットでもそのまま再現されていた。

■ベルトの先にある景色―防衛、統一、そして海外

 ベルトを巻いた以上、次は防衛戦が現実的な目標となる。緑川は「防衛戦しなきゃいけないでしょ」と当然のように言い切り、次戦は「多分来年の3月予定です」と見立てるが、相手は「まだ全然」決まっていないという。

 対戦したい相手については「特にはないです。強い選手とやるのはもちろんですけど、周りも盛り上がって…タイミングがあればやりたいですね」と語る。

 さらに、その先も見据える。「統一戦とか。海外の強い選手とかできたら1番いいです」。今回の勝利で、2025年12月5日付のWBCスーパーウェルター級ランキングで25位に入った。

 一方で「3年、4年もやるようなことはない。壊れちゃう。負けたら終わりかなぐらいの感じで、ずっとやってる」と、ことさらに引き延ばし続ける気もないと言う。

■反響が背中を押す「この選んだ道が間違いじゃなくてよかった」

 緑川は「年齢的なこともありますけど、そこまで行けたら、中高年の人たちに夢を与えられるかなっていうのもありますし。若い子も、挫けてること見たら『こんなじじいでも頑張ってんだぞ』っていうのは多少なりともあると思います」と語る。
 そして試合後には「勇気もらった」「元気もらった」「頑張ろうと思えた」といった声も届いたという。「ボクシングへの挑戦を選んで良かったですし、それが正解になってよかった。この選んだ道が間違いじゃなくてよかったなって」としみじみ話した。

 そもそも、ボクシング転向の原点として「子供のリングに上げるっていうのが最初の最低目標だった」と言う。

 今回、その目標が叶い「それも継続しつつ、ベルトが増えていったりとか。そしたら、いろんな会場とか、いろんなところで、その景色を見せられます」と、目標を積み上げてゆくつもりだ。

 緑川は、今が幸せだと語る。「ボクシングがほんとに今楽しい。頭も使うし、今までやってこなかった勉強がすげえ楽しいみたいな感覚。戦うことも多分好きですし、子供のことも考えつつ、自分が好きなことをできる限りやりたい」。

 現在は東京・池上本門寺近くのダイニングバー兼カフェ「FRIEND MONSTER(フレンドモンスター)」にも携わりながら、リングでも挑戦を続けている。

■緑川が受賞の喜びを語る

 今回受賞した緑川には、イーファイトから記念の盾が贈られ、協賛のゴールドジムからサプリメントも提供される。

 緑川は受賞について「年齢が若くなくても、自分なりに努力して結果になって、それを評価してもらえるのは嬉しい。自分一人じゃなく、周りのサポートがなかったら頑張れない。感謝しながら、この賞をいただきました」と謙虚に答える。

 またサプリメントについて聞くと、日常的にはビタミン類、回復目的でグルタミン。加えて練習中の補給としては「汗かいて、栄養素とかも抜けてくるんで」と、高分岐環状デキストリン(いわゆるクラスター・デキストリン系)を中心にした補給ドリンクをこまめに摂っているという。
 緑川は試合前や、試合後半にも足のつりが出ており「余計に意識している」と言う。

 (取材/文=遠藤紘史、編集=イーファイト編集部)

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