2014年1月度MVP 川尻達也
毎月イーファイトが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2014年1月のMVPは、1月4日(土・現地時間)シンガポールにて開催された『UFC FIGHT NIGHT 34』で総合格闘技の世界最高峰UFCに初参戦、無敗の相手から一本勝ちを奪った川尻達也に決定!(2014年2月4日UP)
PROFILE 川尻達也(かわじり・たつや) 1978年5月8日、茨城県出身 身長170cm、体重65.77kg T-BLOOD所属 ※詳細は選手名鑑へ |
選考理由
1、「UFC初参戦で勝利」
2、「8戦無敗の相手に一本勝ち」
3、「日本人初のUFC世界王者誕生に期待」
選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技の各格闘技雑誌の編集長とイーファイトの全スタッフ
受賞された川尻選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムMVP記念インタビュー
「万全な準備をして最後は大和魂で勝負します」
■背負うものがある方が強い自分でいられる
PRIDEやDREAMで活躍した日本総合格闘技界のエース的存在である川尻達也が、ついにUFCの舞台に上がった。1月4日(土・現地時間)シンガポールで開催された『UFC FIGHT NIGHT 34』。川尻が対戦したのは、MMA(総合格闘技)戦績8戦8勝無敗のショーン・ソリアーノ(アメリカ)。
1Rから川尻はタックルを仕掛け、テイクダウンを狙いに行った。ソリアーノが立ち上がっても執拗にタックルへ行き、終盤にはバックを奪ってチョークスリーパーの体勢となる。
これは極まらずラウンド終了となったが、2Rが始まってすぐに再びバックを奪った川尻は、まるで1Rの続きを見ているかのような展開でチョークスリーパーの体勢に入り、今度はしっかりと極めて一本勝ちを奪った。
「1年ぶりの試合だったので緊張しましたね。入場する時にも、自分のたたずまいを忘れてしまったというか。“あれ? どんな感じだったっけ”となかなか思い出せませんでした。勝てて嬉しいというのが率直な感想です」
日本人トップ選手が連勝するどころか1勝をあげることさえ難しい、MMA世界最高峰の舞台であるUFC。1年ぶりの試合、しかも海外での大舞台ということで大きなプレッシャーがあったのではないかと思われたが、川尻は意外なことを言う。
「1年ぶりの試合ということに対しての緊張はありましたが、UFCだから云々という緊張はありませんでした。海外での試合は2011年のストライクフォース、2012年のONE FCで経験していますし。それに、今回はアメリカではなくシンガポールだったじゃないですか。言ってみれば地方巡業のようなものですよ(笑)」
ソリアーノから勝利を奪った川尻は、英語でUFC世界タイトルへの挑戦、相手のギブアップによって勝利した選手の中から優秀選手1名が選ばれるサブミッション・オブ・ザ・ナイト賞が欲しいとアピールした。
さらに、川尻はテレビカメラに向かって日本語で「俺がDREAMだ!」と叫んだ。
「UFC初戦だったし、いい勝ち方が出来たので、DREAMの頃からずっと応援してくれている日本のファンとDREAMのスタッフに何か伝えたい、と思ったんです。今までの感謝の気持ちを伝えたいと思った時に、ありがとうではなくあの言葉がいいかなって。スタッフからは“DREAMを背負わないで自分と家族のために戦え”って言われていたんですが、別に誰かに背負えと言われたわけではなく自分で背負ってきたものだからやめる必要はないし、背負っている方が強い自分でいられるというのもありました」
■実力で負けたのなら努力して強くなればいいだけですよ
PRIDE、そしてDREAMの初期にかけて川尻は打撃主体のスタイルだった。K-1ルールにも挑戦し、武田幸三をKO、魔裟斗とも戦ったことがある。しかし、DREAM中期からスタイルを変え、タックルでテイクダウンを奪い寝技で勝負するようになった。
「僕は元々、修斗で新人王を獲った時はテイクダウンして寝技で勝負するスタイルだったんです。でもスーパースターになりたいって思って(一般受けのいい)打撃主体のスタイルになっていたんですが、一番のきっかけはエディ・アルバレスにKO負けしたことでしたね(2008年7月21日)。それまではパンチが効いたことがなかったし、俺は打たれ強くてパンチが効かない人間だと思っていたんですが、思い切り効かされてKOされたので“俺も普通の人間だったんだな”って。
打ち合った時の勝率も悪かったし、こういう戦い方をしていたらこの先、ダメージ的にも長く続けることが出来ないだろうなって考えました。そこで自分が一番勝つ可能性が高いスタイルは何だろうと考えた時に、初心に戻るじゃないですけれど、修斗の時に勝っていたスタイルだろうなって結論が出たんです」
川尻の過去の紹介VTRで印象深い言葉がある。それは、「僕は負けるたびに強くなってきた」というものだ。
「誰でもそうだと思いますが、負けた時が一番成長するチャンスです。実力を出して負けたのなら自分が弱いだけ。力を出せないで負けたとか、やってきたことが出せないで負けたのなら問題があるけれど、実力で負けたのなら努力して強くなればいいだけなんですよ。同じことをやっていたら変わらないので、勝つためにどうすればいいかをよく考えます」
とは言え、UFCは負けが許されない舞台。連敗を喫すると、即契約を解除されてしまう。負けて強くなってもその力を試す舞台はもう用意されないかもしれない。
「格闘技って元々そういうものですし、僕が元々やっていた修斗も1敗が大きかった。その1敗でチャンスが1年延びてしまう世界だったので、修斗でそういう経験は超えてきています。大変ですし、嫌ですけれど、本来の姿に戻っただけですよ。格闘技には勝つか負けるかしかないですから。相手を潰して自分が上がる世界なんです」
UFCでの第一歩を踏み出した川尻が今後目指していくものは、日本人の誰もが到達することが出来ていないUFC世界チャンピオンという頂だ。
「もちろんベルトに挑戦したいですし、チャンピオンになりたい。どんなに高い山でも乗り越えるしかない。苦しいことがあっても絶対に心だけは折れないように戦おうと決めています。最後は大和魂、根性です。万全な準備をして最後は大和魂で勝負します。僕が戦う一番の理由は、自分がどこまで行けるか知りたいってことです。自分の限界を知りたくて格闘技をずっとやってきているので。そういう意味でUFCは世界最高峰の舞台ですし、その世界最高峰の舞台で茨城の田舎者がどこまで行けるのか、自分でも楽しみです」
次回の試合は4月のUFCカナダ大会を予定。対戦相手は強敵になりそうだという。川尻の挑戦はまだ始まったばかりだ。
関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「初参戦の川尻が見事な一本勝ち、菊野も勝利」
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