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【コラム】芦原カラテ・菊川結衣その強さの秘密を解析する!

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2017/10/03(火)UP

 JFKOが主催する第4回全日本フルコンタクト空手大会において脅威の四連覇を成し遂げた、芦原会館西山道場所属の19歳の現役女子学生・菊川結衣。

 この大会は、現在日本で実施されている直接打撃制のフルコンタクト空手大会では、最高レベルの大会である。日本全国から選ばれた精鋭たちが集まり、選手のプロフィールを見ると、既に他の全国クラスの大会で優勝経験を持つ者も多数。その中で四連覇を成し遂げた菊川結衣の強さの秘密を分析してみた。(文・松宮康生)

試合が終わればあどけない女子大生に戻る

 菊川は、現在、共立女子大学に在学する現役女子学生である。身長148cm体重48kgの菊川は、一見すると普通の女子学生にしか見えない。多くの人々が、街中で彼女とすれ違ったとしてもそれと気づくことはないだろう。しかし、菊川の内面に秘めた闘志は、同年代の男子をも凌駕する。

 菊川が、その力を発揮するのはまだ中学生の時である。近くにあった芦原会館東京本部西山道場に通い始めた時分の彼女は、ひ弱な女子でしかなかった。そんな彼女であったが、師である西山亨師範の指導を受けメキメキと力をつけていった。

 2011年に行われた第13回ジャパンカップジュニア空手道選手権大会・中学女子45kg未満の部で第3位に入賞、その才能に気づいた西山師範は、菊川を徹底的に指導する。性格が素直で飲み込みの早い菊川は、まるで和紙が水を吸うかのように西山の教えを身に着けていった。このことが、後の彼女の運命を方向付ける事になる。

 菊川は、西山師範の特訓にも耐え、徐々に力をつけていった。特に相手に打ち負けないこと、決して後に下がらないことを学んでいく。西山師範の指導は、的確でパンチ1つ打つにも、どういう角度からどう打てば効くのか、相手と打ち合いになっても決してそこで止まらない指導。ガチンコの空手でも決して打ち負けない力強さを菊川は、西山師範から学んでいく。

西山師範は、「ケンカ十段」と呼ばれた伝説の空手家・芦原英幸の直弟子にあたる。

菊川結衣の強さの裏にサバキあり

 菊川のテクニックは、「強烈な突き」「左右へのステップワーク」「前方回転胴まわし蹴り」など実に多彩。そのどの技術も「小よく大を制す」テクニックであり、その根底には天才武道家・芦原英幸の技術があることが読み取れる。

 芦原独自の空手技術は、「サバキ」と呼ばれる高度な攻防一体の実践テクニックである。試合以外のサバキでは、相手の衣服を掴み、崩しながら攻撃を入れるが、試合では掴みは禁止なので、主に1、相手の攻撃を受けながら崩しての攻撃、2、相手が攻めてくるところを左右に動いて崩して攻撃、3、攻撃で崩してから方有効打を入れるなどがある。

強烈な突きで崩して下段回し蹴りを叩き込む。

 菊川が得意とする「左右の強烈なパンチ」は「サバキ」では必要不可欠なものだ。この3つのサバキをするには大前提として前に出て行き打ち負けない強さが大切である。

 サバキ2にある「左右へのステップワーク」であるが、芦原カラテでは基本となる4つのラインとステップワークを指導しているが、試合では相手の左右の死角を取るための1(左サイド)と2(右サイド)のステップが有効になる。

1983年発行の技術書「実戦!芦原カラテ」に掲載予定だったが、基礎編ということもあり、最終的に省いた二宮城光が演じる胴回し回転蹴り

 さらに菊川が、相手の闘いのリズムを崩すのによく使っている縦、横の「回転胴回し蹴り」などの蹴りの技術も芦原が80年代序盤に考案し指導していた技術だ。

 現在試合で連勝し続ける菊川は、今までの追う立場から追われる立場になり、その精神的なプレッシャーはかなり大きなものがあると思うが、そのプレッシャーに負けることなく勝ち続けてもらいたいものである。芦原カラテの具現者の一人として。

菊川結衣情報
10月14、15日、東京体育館で開催の新極真会主催「全日本空手道選手権大会」に出場する。階級は無く、体重無差別のこの大会、148cm、48kgと小柄ながらインファイトで強い突きの連打が持ち味で2014年と昨年が準優勝。今年こそ優勝を狙う。
10.15 大会スケジュールはこちら

文・松宮康生 プロフィール
武道家・作家・デザイナ―
幼い頃から武道を学び、空手は芦原英幸氏に師事。約22年に渡り学ぶが、1995年に芦原氏の逝去に伴い芦原会館を退会。
現在は、文武両道を極める私塾「松宮塾」を主催。

著作
最強格闘技図鑑(ぶんか社)
ブルース・リー・クロニクル(フォレスト出版)
など多数。
2017年9月に新刊
ケンカ十段と呼ばれた男 芦原英幸」が発売

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