【ボクシング】タオル投入拒否のレフェリーの言い分=KO負けに至った陣営に説明
6月13日(日本時間)に英国にて行われたIBF世界スーパーライト級挑戦者決定トーナメント一回戦がで、同級5位へレミアス・ポンセ(24=アルゼンチン)が同級6位のルイス・リットソン(英=27)を10ラウンドに3度のダウンを奪い、1分24秒でKO勝利した。
10Rにリットソンが一度ダウンしたあと、立ち上がり、再び防戦一方となったとき、リットソン陣営がタオルを投入。それをレフェリーのスティーブ・グレイ氏は無視し、そのタオルをリング外に投げ返し物議を醸した。その後リットソンは2度ボディで倒され、悶絶のKO負けとなった。
報道ではリットソンは肋骨骨折の疑いもあり、多くの視聴者やニュース記事の拡散も手伝って、余計な怪我をさせたと非難が集中している。
▶︎【決定的シーン写真】コーナーからタオル投入シーン、問題のタオルをリング外に投げ捨てるシーン、ダウンシーンなど
この試合後、負けたリットソン陣営の控え室にレフェリーのグレイ氏が試合続行の判断した理由の説明に赴いた。その模様を英国マッチルームボクシングが動画で撮影しアップしている。
グレイはまず、リットソンに試合続行した理由を説明「あれはボディショットだった。だからタオル投入を戻した。あれが顔面へのショットだったら、試合を止めていただろう。君はまだ何かやり残していることがあるように見えた」と話した。
確かにタオルが投げられた瞬間は防戦一方だったが、リットソンがタオルを確認した時は「ノー」というゼスチャーとともに残念そうに後ろを向きコーナーに戻ろうとした。特にフラついた様子はない。それをグレイがリットソンの身体を両腕でつかみ、相手の方向に向かせ、試合を続行させている。
次にグレイがトレーナーと父親に説明した
「説明をしなければいけないと感じたから、私はここに来た。私はあなた方の要求を却下した。レフェリーがタオルを戻すなんて本当にとてもレアなケースだ。しかし、あなた方がタオルを投げた時、パニックになっていると感じたんだ。そして、私の判断では、彼は問題ないように見えたんだ。純粋に様々な要素を並べて、彼が試合を続けられるかを自分に問い、私は続行と判断したんだ。それが全てだ」と語った。
現在のルールではコーナーからのタオル投入で即試合中止は、レフェリーがタオルを見落としてしまうなどの観点から、世界的に廃止されてきている。日本でも19年に廃止した。代替えの棄権の意思表示としてタオルをレフェリーに向けてグルグル回すウェイビングが一般的となっている。レフェリーに正確に気づいてもらうためだ。ただし、その判断はレフェリーが持っている。選手が健康を害することなく続行できると判断した場合など続行してもルール違反ではない。しかし、このコーナータオルを無視することはほとんど無いのが実情だ。
一昨日16日、YouTubeで公開された『DAZN Boxing Show』に英ボクシングプロモーターのエディー・ハーン氏が出演。ハーン氏は負けたリットソン側のプロモーターでもある。
「コーナーにいるチームほど選手のことをよく知っている人はいない。ヘッドトレーナーのからのタオル、特に今回はトレーナーの父親からタオルだ。それをリングの外に戻してはいけない」とし、更に「彼は頭にも多くダメージを受けていた」と抗議した。
英国の歴史ある『ボクシングニュース』の編集者であるマット・クリスティは自身のTwitterで「レフェリーがコーナーからの降伏を覆すことができるというルールは見直されるべきだ。コーナーが試合を止めるのが早すぎるのは許されるが、レフリーが試合を止めるのが遅すぎるのはほとんど許されない」と述べている。確かにこのタオル権限をレフェリーに与えないことで、余計なダウンや怪我、そしてこのような問題も起きない。主要4団体を中心に見直しの声が上がることを祈りたい。
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