柔道で五輪目指したMMAファイター渡辺華奈、応援する五輪柔道選手は? 見どころ語る
東京オリンピックの中でもメダル量産が期待される柔道。男女7階級ずつに加え、今大会から男女混合団体戦も行われるなど、7月24日から7月31日までの8日間にわたり熱戦が繰り広げられる。
そこで本サイトではMMAファイター渡辺華奈(32/FIGHTER’S FLOW)を緊急直撃、今大会柔道競技の見どころを訊いた。渡辺といえば7歳から20年あまり柔道一筋のアスリート人生を送り、全日本指定強化選手に7年間選出、オリンピック選考会に3度出場するなど幼少期から東海大学時代、実業団時代(JR東日本所属)を通じて活躍。
現在も2008年北京、2016年リオ両五輪銅メダリストの柔道家、中村美里(32/三井住友海上火災保険)と練習を共にするなど柔道とのゆかりも、また思い入れも深い。
本インタビューでも、「しゃべり過ぎてすみません!」と恐縮しつつ、友人・知人の五輪柔道代表選手を含め、見どころや注目ポイントなどを語ってくれた。
●【注目選手 その1】 7月25日(日)
男子66㎏級 阿部一二三
女子52㎏級 阿部詩
今大会の日本代表チームは全階級レベルが高くて、正真正銘、全員が金メダルを狙える位置にいます。そのなかでも、やはり世間的にも注目されているのが“阿部きょうだい”ですよね。男子66㎏級の兄・阿部一二三選手と女子52㎏の妹・詩選手は2人とも柔道がダイナミックで、あまり柔道を見たことがない人でもその迫力のある柔道は十分伝わると思います。揃って世界チャンピオンの経験もあり金メダルの可能性はとても高い。しかも、きょうだいが同じ日に出場するので、「きょうだい同日金メダル」を目撃することになるかもしれない。すごく楽しみです!
●【注目選手 その2】 7月26日(月)
女子57㎏級 芳田司
私は大学時代まで63㎏級、社会人では57㎏級で戦っていたので、同じ階級の選手には練習を一緒にさせてもらった方もいます。女子57㎏級 芳田司選手もその一人です。試合をしたことはありませんが、練習ではその強さをいつも体感させてもらっていました。身長はそれほど高くないのですが(156cm)、それをまったく感じさせないようなバネとパワーを持っていて、とくに得意の内股は相手を一発で投げ切る力強さと華麗さがあります。
私が練習をさせてもらったのは彼女が社会人1年生の時でしたが、当時から「若いのに強いなあ」と驚きましたし、パワーも感じていました。人柄もとても良い選手。熾烈なライバル争いを勝ち抜いて、ぜひ金メダルを取ってほしいです!
●【注目選手 その3】 7月27日(火)
女子63㎏級 田代未来
個人的に一番応援しているのが、63㎏級の田代未来選手です。
私は社会人時代に膝の手術をしたことがあるのですが、入院した時に同じ部屋になったのが、当時高校1年生の田代選手でした。近い階級で同じ膝のケガということもあり、その時にすごく仲良くなって、それ以来ずっと応援しています。
彼女は前回のリオ五輪にも出場していますが、その時は表彰台まで一歩及ばずメダルを逃しているんです。ほとんどの階級がメダルを獲得する中、申し訳ないという思いもあったでしょうし、また本当に悔しい思いをしたと思います。その気持ちがくみ取れるからこそ、今回は頑張ってほしいと祈っています。
田代選手の持ち味は、もちろんすべて上手いのですが、特に組んだ時に自分に有利に持っていける組み手争いの上手さは世界トップレベルです。また、欧米選手に引けを取らない手足の長さがあり、そのリーチを生かして繰り出す内股や大外刈り、大内刈りなどの技の切れも抜群。そこもぜひ見てほしいですね。
この階級は層が厚いのですが、その中でもフランスのクラリス・アグベニュー選手が絶対王者と言われています。田代選手はこのアグベニュー選手にこれまで1勝10敗と負けが先行していますが、その中にもすごくいい試合もあって、個人的には「勝ちうる」と思っています。
田代選手はコマツ所属ですが、同じ所属の谷本歩実さん(2004アテネ、2008北京金メダル)も、たしか北京大会の時に7年間勝っていなかったフランスの選手(リュシ・デコス)に決勝で一本勝ちして優勝しているんですよね。田代選手も谷本さんと同じように、負け越している相手を一本で投げたら…本当に感動的ですよね。
熱く語り過ぎてしまいましたが(笑)、彼女が表彰台の一番高いところに立つ瞬間を心から楽しみにしています。
●【注目選手 その4】 7月26日(月)
男子73㎏級 大野将平
男子ももちろん日本代表全員が金メダル候補で、なかなか一人に絞れないのですが、柔道を普段あまり見ないという人にもぜひ見てほしいのが男子73㎏級の大野将平選手。「柔道界のパウンドフォーパウンド」と言われているくらい、絶対的な強さを持っている。その強さは…もう、自分の語彙力のなさが悔しいくらいにすっごく強いんです!
技の切れ方も普通では考えられませんし、投げに至っては相手が階級が下なのでは? と思ってしまうくらい、鮮やかに、軽々と、しかも力強く投げてしまう。また精神的にもサムライのような魂の持ち主というか、インタビューなどからも決してブレない不動心が伝わってきます。一番金メダルに近い選手であり、だからこそプレッシャーも強いと思いますが、そのプレッシャーも跳ね返してくれるはずです。
●【注目選手 その5】 7月30日(金)
男子100㎏超級 原沢久喜
男子でいえば、7月30日に登場する100㎏超級の原沢久喜選手も超・応援しています。この階級には五輪2連覇中(世界大会10連覇)のテディ・リネール(フランス)という絶対王者がいます。それこそ井上康生監督にも勝っているという昔から今に至るまで強すぎる王者です。前回のオリンピックで原沢選手は決勝で敗れましたが、すごくいい勝負をしての敗退だったので、今回こそは「打倒リネール」を果たしてくれるのではないかという期待が強いです!
気づいたらこんなにしゃべっていて、「私ってやっぱり柔道をやっていたんだな」と改めて思いました(笑)。私はオリンピックに全然届かない選手でしたが、オリンピックに出るような強い選手たちのなかでずっと練習していたことが、自分のなかですごく大きな財産になっています。
日本の熾烈な競争を勝ち抜いて代表になり、オリンピックに出場するって、本当に全員が“化け物”みたいに強いことは間違いありません。全員に金メダルを取ってほしいし、それを見届けるべく、とりあえず全試合予約録画している私です。
▶︎次ページは【動画】芳田司、大野将平の内股、田代未来大内刈りの得意技動画(スローあり)
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