2024/09/14（土）UP
（最終更新：2024/09/14 19:22）

怪物ビルダーのイリア・ゴーレムが36歳で死去した（＠illiagolem）

　今月6日に亡くなったボディビルダーのイリア・ゴーレム（チェコ）。死因は9月6日に自宅で心臓発作を起こし昏睡状態に陥いり、11日に亡くなった。彼の死は、トレーニングを行う者の間で心臓の問題が増加していることを浮き彫りにした。
　今回の死に海外メディアでは医師が登場し、過度のトレーニングは心臓に負担をかけ、さらに筋肉増強のステロイドを使用した場合も心臓疾患の可能性が高くなることに警鐘を鳴らした。。

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世界最大級の怪物ビルダーと呼ばれていたゴーレム（＠illiagolem）

　ゴーレムは、身長183cmで体重158kgの巨体を持ち、身体は多くのタトゥーが施され、大会には出場しなかったが、ベンチプレスは272kg、デッドリフトは317kgを上げる怪力ビルダーとしてSNSでアピール。自身のトレーニングを公開し10万人を超えるフォロワーを抱えていた。

　ゴーレムが亡くなる前に目標にしていたのは、体重を約172kgと10kg以上増量することだった。彼は25インチの上腕二頭筋を維持するために、毎日16,500キロカロリーもの食事を行った。その中には5ポンド以上のステーキと7食で100貫以上の寿司が含まれていた。

　なぜボディビルダーは心臓発作のリスクがあるのか？
　海外メディア『INDIA TODAY』は今回の彼の死因から医師にインタビューしている。
　医師は「ジムでのトレーニングは、心臓血管の健康、筋力、全体的なフィットネスに非常に有益ですが、正しく適度に行われた場合に限ります」とし「身体への過度の負担を避けることが重要」だとした。「長時間の運動は心臓に負担をかけるので、無理は禁物です」とも。

　また、「過激なボディービルやウェイトリフティングをする人は、心臓の健康状態を監視し、心臓疾患のリスクを高める可能性のあるパフォーマンス向上薬の使用を避けることが重要です。ボディビルに集中するあまり、過労、パフォーマンス向上物質の誤用などが考えられます。その結果、不整脈や突然の心臓発作を引き起こす可能性があります。医師免許を持つ医師の処方箋なしに、パフォーマンス向上薬の摂取を避けることです」と医師は説明。

激しい筋トレを続けていたゴーレム@IlliaGOLEMOfficial

　それでは自分を守るにはどうすれば良いのか。医師はまず、20分ほどしっかり準備運動でからだを慣らすことだという。
　これにはどのような意味があるか調べたところ、突然激しい運動を始めると、心臓は筋肉に十分な酸素を供給するために速く働かなければならないため、心臓に必要以上のストレスを与える可能性がありる。とくに心血管疾患のリスクがある人にとっては、突然の運動は危険を伴う。遅刻で突然走るのもリスクがあるだろう。
　ウォーミングアップによって、心拍数が徐々に増加し、全身の血流が良くなる。これにより激しい運動にも対応できる体になるという。

　また医師は運動後のは体の反応に注意し、左側の胸の痛みや関節の違和感を感じたら、すぐに医師に相談すること。同様に、めまい、動悸、呼吸困難、動悸を感じたら、運動を中止し、医師の指示を仰ぐことと語った。
　強さと身体能力を追求するあまり、ボディビルダーはしばしば心臓疾患の徴候を見逃し、症状を通常を筋肉痛や疲労のせいにしてしまうことがあるという。

グラマー美女とコラボ@IlliaGOLEMOfficial

　なお、日本の『スポーツ栄養WEB』（一般社団法人日本スポーツ栄養協会）では、ゴーレムと同じ平均36歳という若さで死亡した、海外の複数の男性ボディービルダーの剖検報告を解析した論文を引用している。そこでは67％はタンパク質同化ステロイドの使用歴が確認され、100％が何らかの薬物の所持が認められたという。解剖の結果、異常な心臓肥大も見られるなど、ステロイドの心臓疾患のリスクと、薬物をやめた後もそのリスクがあるとして警鐘を鳴らしている。

　亡くなったイリア・ゴーレムはドーピング使用は明らかにされていないが、準備運動をしない激しすぎるトレーニングを続けていた可能性もある。運動は準備運動は必須、筋肉増強のステロイドなどは使用してはいけないことを改めて教えてくれた形となった。

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