減量の過度な水抜きに賛否、脳への影響も!アフマダリエフは水抜きせず、朝倉海は一晩で5.4kgなど、専門家の意見は?
昨今話題となっている、格闘技のメジャーな減量法”水抜き”。8月17日の『UFC 319』直前には、朝倉海が過去最高”5.4kg”の水抜きを行い、先月末にはその様子の動画も公開し賛否が起こるなど話題に。一方で9月13日の井上尚弥と対するアフマダリエフは水抜きを行わず300gアンダーもムキムキボディでパスするなど格闘家によって調整は異なるところだ。
ネットでは「過度な水抜きはパフォーマンスが落ちる」との声もあるが、真実はどうか。専門家に意見を聞いた。
【フォト・動画】朝倉海の5.4kgの”壮絶”水抜きボディ!アフマダリエフは水抜きせずムキムキボディ!
水抜きとは、試合数日前に水分や塩分の摂取量をコントロールし、計量直前にサウナや半身浴、発汗スーツなどで体内の水分を大幅に排出する減量法。
昨今は、身体に負担をかけ、パフォーマンス低下や健康被害の原因にもなるとの声もある。
答えてくれたのは、鈴木千裕、RENA、安保瑠輝也など数多くのトレーナーとして活躍するKJこと三久保宏治氏。先週末のDEEP JEWELSでKO勝利したケイト・ロータスにも指南している。
■水抜き後は総合的なパフォーマンスが落ちる
三久保氏は朝倉海の減量動画について「まず私なら一晩で5.4kg落とさせる水抜きはさせない」と自分のやり方とは違うと語る。
しかし「専門のトレーナーの方がついており、ちゃんとした知識の元、行っているように見えるので問題はないと思う。むしろ、自分も一晩でこれくらい落とす方法を知りたいくらい」と言う。
三久保氏の場合、フライ級の選手が5.4kgを落とす場合「ファイトウィークの4日間で落とす方法を取っている」と、数日をかけるとのこと。
また当日計量など、計量後に試合まで時間が短い場合は「水抜きはおすすめできない」そうだ。
理由は「2%の脱水で、反応時間の低下、意思決定の低下、総筋肉量の低下、出力の低下、持久力の低下に繋がるというデータがある」と、水抜き直後は総合的なパフォーマンスが落ちることから。
しかし現在プロ興行の多くは、前日計量を採用している。「計量から試合まで24~36時間はあることが多いので、この場合、水抜きを多くすることは問題ないと思う」とのことだ。
■脳への危険も「脱水から回復するには長い時間がかかる」
急激な減量で一時的に失われるのは、パフォーマンスの低下ばかりでなく、健康問題にも及ぶ。
三久保氏は注意事項として「汗で体重の5%以上脱水すると、体液は深部液腔から奪われる」と脳の水分低下について注意をうながす。
深部液腔とは、脳脊髄液が満ちる”脳室”や”くも膜下腔”など、脳や脊髄の内部にある液体の満ちた空間だ。
脳脊髄液は脳や脊髄を衝撃から守るクッションの役割を持っており、少ない状態で格闘技などでパンチをもらうとダメージに直結する。
更に5%以上の脱水について「細胞内部から水分が奪われ、水分を回復させるには、単に水分を摂取するだけでは不十分。より複雑なプロセスが必要となり、細胞がその水分をゆっくりと再吸収するには長い時間を要する」と、安全のために吸収時間が必要だとした。
■朝倉海の”5.4kg水抜き”「そこまで影響は無い」が…
この「競技パフォーマンス」「健康問題」の2つを考慮した結果、三久保氏は「つまり試合開始24~36時間前の計量の場合、選手が水抜きすべき体重の最大値は5%」と答える。
更に「24~36時間で適切に水分を戻したいので、2~3%の水抜きが好ましい」と自身のやり方を述べつつ「これはデータであり、朝倉選手のチームがこれよりも最新のデータを持っており、最先端の知識があるかもしれないので一概にこれが正解とは言えない」と否定せずも理想の水抜き幅について見解を述べた。
海の水抜き動画では、体重62.6kgから57.15kgまで5.4kgを水抜きで落としている。
三久保氏の意見に基づけば、水抜きするべき体重の最大値は3.13kg。
しかし、今回の朝倉の水抜きは5.4kg、これは体重の約8.6%となり、最大値の2倍以上もの体重を減らしていた。
三久保氏は最後に「私個人の意見では今回の水抜きは試合にそこまで影響はないのかなと思う。体に水分を戻すのは時間に依存する。計量から30時間近くは空いていたと思うので、体に水分を戻す時間はあったと思う。ただ自分の知識の範囲内ではこのような量の水抜きは行わない」と結論付けた。
水抜きについてはそれぞれの方法、選手に合っているやり方がある。
また海所属のJTTでは、兄・未来やヒロヤなどそれぞれ5kg以上の水抜きを行っている様子もYouTubeなどで公開されており、大幅な水抜きノウハウが確立されている可能性も高い。
その中でも実力が最大限発揮できる、かつ体への負担を考慮した水抜きを考え、きちんと調べる必要がありそうだ。
取材協力:三久保宏治氏
三久保氏運営ジム:KJ PERFORMANCE GYM
東京都品川区小山2-12-19
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