またもリング禍、KO負け後死去…なぜ起きた?母国ガーナはボクシング試合を「無期限禁止」に
9月12日ガーナでボクサーがKO負けを喫し、11日後に死去した。ガーナでは今年3月にも、ボクサーが試合直後に心不全で死去。これを受けガーナ国家スポーツ庁は、国内でのボクシング試合を“無期限停止”とした。報道では、2つのリング禍は、どちらも「医療管理の不備」を指摘している。
【フォト&動画】死去の選手、フラフラとリングをさまよい…しかし試合は続行
まず今年3月29日、ガーナで行われたプロボクシング[ライトヘビー級8回戦]では、試合直後に40歳のガブリエル・オルワセグン・オランレワジュ(ナイジェリア/13勝(12KO)8敗2分)が死去。
オランレワジュは試合中6R、突如ゆらりと後ずさると、勢いよくロープに倒れ込んだ。意識不明の様子で、ロープにもたれかかると、脱力してそのまま動かない。
病院へ搬送されたが、30分後に死亡が確認された。検死では「急性左室不全を伴う心肥大による心臓突然死」とのこと。
そして先月12日、これもガーナで行われた[クルーザー級 8回戦]では、32歳のアーネスト・アクシェイ(ガーナ/6勝(5KO)1敗)が、KO負けした試合から11日経った23日に死去。前日22日に体調不良を訴えた翌日だった。
アクシェイは8R、相手から一方的に打たれる展開が続き、コーナーで連打を受けダウンすると、ガクリとうなだれたように動かない。
しかしカウントにボーっとした様子で立ち上がり、試合再開が指示されても、相手とは反対側へフラフラと歩いて行ってしまう。困惑した相手だが、仕方なくロープへ詰め連打、アクシェイは防戦一方だ。ここでレフェリーが試合を止めていた。
ガーナボクシング局では26日時点で「検死の結果待ち」としているが、続報は見当たらず。その後、複数の媒体では「内出血の合併症」が報じられている。
半年間に2人のリング禍が相次ぎ、ガーナ国家スポーツ庁は26日、国内のボクシング試合、興行を即時停止。原因究明のための調査開始と、選手安全を最優先にする方針を明示した。停止期限は定まっていない。
■なぜリング禍が続いたのか?2つの事例の問題とは
なぜこの短期間でのリング禍が続いたのか。現地メディアによると、どちらの試合も、医療管理体制の不備が指摘されている。
まず3月の試合。
ガーナの『The Chronicle』では、死亡した選手の母国であるナイジェリア調査委員会の報告書をソースに「彼の死は防げた可能性があった」と報道。
彼は試合の2時間前に簡単な健康診断を受けただけだったと言う。
死因の「急性左室不全を伴う心肥大による心臓突然死」の症状は「試合前の適切な検査で発見できた可能性が高い」とのことだ。
そして、リングドクターも不在。
更に「救急隊は蘇生器、酸素、心肺蘇生キットを持たずに現場に到着した」「救急車の中で初めて生命維持装置をつけた」「救急車は指定出口から離れた所に駐車された」と救急対応がずさんだったと指摘した。
他にも、公式な計量者が不在での計量が行われ、体重上限超過も疑われる試合だったと言う。
そして9月の試合。
これもガーナの『Ghana web』は、選手が今年5月にKO負けした事実を挙げ、「その試合後に医師のメディカルチェックが無い」「9月に試合を行うことを許可したメディカルレポートが見つからない」と、前戦の試合後と、今回の試合前の医療チェックが無かった可能性が高いという。
とくに今回の試合は2週間前の急なオファーであったことも指摘。選手は普段はスーパーミドル級で戦っていたが、今回はショートノーティスで15kg近くも上の階級での試合となっていた。
同誌は「通常このような大幅な階級アップは、少なくとも数ヶ月の準備期間を要する。彼がわずか2週間で体重を上げたとすれば、記録的な体重増加だろう」と書いた。
なお相手は死亡した選手よりも5歳若い、14勝(13KO)2敗の新進気鋭のクルーザー級選手だった。
今回のガーナの件を見る限り、医療チェック体制が整っていない格闘技興行は、危険と言わざるを得ないだろう。団体も出場者も、慎重に検討すべきと言える。
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