【極真会館】全日本大会で史上初の外国人同士の決勝戦、スペインのナヴァロが優勝
▲スペインのナヴァロ(右)とロシアのカパナーゼ(左)による決勝戦。ナヴァロが再延長戦で判定勝ちした
国際空手道連盟 極真会館(松井章圭館長)
日本赤十字社 東日本大震災義援金チャリティー
「2013第5回全世界ウェイト制空手道選手権大会選考戦
第44回オープントーナメント全日本空手道選手権大会」
2012年11月4日(日)東京・両国国技館
11月4日(日)両国国技館にて国際空手道連盟・極真会館(松井章圭館長)『第44回オープントーナメント全日本空手道選手権大会』が開催され、初日の1、2回戦を勝ち上がった32名により3回戦~決勝戦が行われた。
→猛威をふるった外国人勢。写真はナヴァロの豪快なカカト落とし
来年4月に開催される『第5回全世界ウェイト制大会』の日本代表最終選考戦を兼ねて行われた今大会だったが、27名もの外国人選手が参戦。これは外国人選手からの出場希望が多かったためと、昨年の全世界大会で複数の日本人ベテラン選手が現役を引退したため、外国人枠を増やしたからだという。そのため日本vs海外のせめぎ合いも見どころのひとつとなった。
ベスト32に生き残った外国人選手は13名。しかし、全日本重量級王者・荒田昇毅(千葉県中央支部)、同軽重量級王者・小林大起(東京城西支部)、同中量級王者・森善十朗(東京城西支部)、同軽量級王者・小沼隆一(下総支部)、全日本軽重量級準優勝・鎌田翔平(東京城西支部)ら、日本人選手の優勝候補が3回戦で次々と外国人選手を撃破し、クライマックスはDブロックで訪れた。
2010年の第27回全日本ウェイト制大会中量級で、史上最年少の17歳で優勝を遂げた高橋佑汰(東京城北支部)が、2010年第42回全日本大会7位の古豪レチ・クルバノフ(ロシア)を膝蹴りの連打で場外へ押し出すなどして殊勲の勝利を収めたのである。
→19歳のホープ高橋(左)は膝蹴りの連打でレチ(右)を場外へ押し出す
この勝利に場内はどっと沸き、日本人選手優勝の機運が高まったのだが……。(高橋は4回戦で森に本戦判定5-0で敗退、初日に活躍した高校生コンビは上田幹雄が3回戦でイゴール・ティトコフに本戦判定5-0、加賀も3回戦で澤村勇太に本戦判定5-0で敗れた)
昨年全世界大会3位のゴデルジ・カパナーゼ(ロシア)、ベスト8のイリヤ・カルペンコ(ロシア)、2009年第41回全日本大会準優勝のアレハンドロ・ナヴァロ(スペイン)、2007年第9回全世界大会4位のダルメン・サドヴォカソフ(ロシア)の外国人4強は順調に勝ち上がり、ついにベスト8に進出。準々決勝はいずれも日本人vs外国人という図式になった。
→2010年全日本準優勝の森(左)は、準々決勝でダルメンの後頭部をこの胴廻し回転蹴りで切り裂き、大流血に追い込むも体重判定で敗れる
ここで荒田がカルペンコを延長戦の末に判定5-0で退けるも、鎌田はカパナーゼに本戦判定5-0、2011年全日本軽重量級王者・安島喬平(茨城県常総支部)はナヴァロに延長戦判定5-0、そして森までもがダルメンに体重判定(10kg以上差のあった場合、軽い方が勝者)で敗れ、ベスト4に残ったのは荒田と外国人選手3人という緊急事態に。
孤軍奮闘した荒田だったが、カパナーゼのラッシュに動きが止まってしまい、本戦判定5-0で敗退。
→日本人唯一のベスト4入りを果たした荒田(左)だが、カパナーゼ(右)のラッシュの前に散った
決勝戦はカパナーゼと、ダルメンを本戦判定5-0で下したナヴァロによって争われることになった。全日本大会の決勝戦が外国人同士によって争われるのは、43年間の歴史上初のこと。
そして、決勝戦ではナヴァロが再延長戦の末にカパナーゼを判定5-0で破り、史上2人目(1人目は2010年の第42回大会で優勝したタリエル・ニコラシビリ)の外国人全日本王者となった。
松井章圭館長は総評で「この数年間はロシアがクローズアップされてきましたが、スペインのナヴァロが優勝したことで強い選手が一極化していないと言えます。今回はフランスとイランからも強い選手が出場しましたし、空手が国際的になったことが証明できたと思います」と、ナヴァロの優勝は極真会館にとっては喜ばしいことだと語った。
→優勝したナヴァロ。総本部で内弟子だった経験もある
さらに、敗れはしたものの日本人選手については「昨年の世界大会と比べて長足の進歩がありました。3年後の全世界大会では必ず日本が王座を奪還できる。これは希望的観測ではなく、強い意思としてそういう期待を持ちました」と、世界王座奪還に自信を深めたという。
今回は敗れた日本勢だが、ベスト8に入賞した荒田、安島、鎌田、森。そして敢闘賞を受賞した高橋を筆頭とする十代の選手たちが近い将来、空手母国ニッポンの復権を果たしてくれそうだ。
▲ナヴァロ(左)の突きにカパナーゼ(右)が苦痛の表情を浮かべる
▼決勝戦 本戦3分 延長・再延長戦2分
○アレハンドロ・ナヴァロ(スペイン)
再延長戦 判定5-0
●ゴデルジ・カパナーゼ(ロシア)
史上初の外国人同士の決勝戦は、2009年第41回全日本大会準優勝のナヴァロと2011年全世界大会3位のカパナーゼによって争われた。
両者は額と額がくっつくほどの超接近戦で突きと下段廻し蹴りを打ち合い、終了間際にカパナーゼが左の突きからの右下段廻し蹴りでラッシュを仕掛けたものの、旗判定はカパナーゼに1本上がったのみで延長戦へ。
ここでも両者は接近しての突きと下段廻し蹴りで打ち合い、終了間際に再びカパナーゼが突きと膝蹴りでラッシュを仕掛ける。身長182cm、体重95kgの身体を躍らせてラッシュしたカパナーゼだが、ナヴァロはクリーンヒットを許さず、延長戦の旗判定もカパナーゼに1本だけ上がった。
そして再延長、ナヴァロが接近戦で突きまくり、カパナーゼはほとんど手が出ない。セコンドの手拍子&掛け声で始まる終盤のラッシュも仕掛けることが出来ず、カパナーゼは完全に失速。最後まで突きを繰り出していったナヴァロが初優勝を遂げた。
ナヴァロは2004年に総本部内弟子として3カ月間、日本で修行した経験を持ち、その後も1年から1年半は日本とスペインを行き来して空手の修行に励んだ。今年1月からはコスタリカに引っ越し、道場を開いたという。
「総本部での稽古で精神的なものを勉強したことと、コスタリカの道場で教えることになって他の仕事をせず空手に集中できる環境が出来たことが大きかった」と、ナヴァロは勝因を語った。また、トレードマークの長いアゴひげは「侍のいでたちに憧れていて、侍の防具のイメージで5年間伸ばしました」と説明した。
▲膝蹴りを放つ荒田(左)。ダルメン(右)を破り3位を死守した
▼3位決定戦 本戦3分 延長・再延長戦2分
○荒田昇毅(千葉県中央支部)
判定5-0
●ダルメン・サドヴォカソフ(ロシア)
荒田が序盤は左の下突きからの右下段廻し蹴り、終盤は突きの連打と膝蹴りで攻め、ダルメンは内股への下段廻し蹴りと下突きで応戦。しかし、ダルメンは準々決勝の森戦で胴廻し回転蹴りによって切り裂かれて大流血した後頭部の怪我の影響とこれまでのダメージからか、終盤は精彩を欠く。荒田が突きの連打でラッシュを仕掛けてダルメンを後退させ、3位を死守した。
▲ダルメン(左)に接近戦で突きを繰り出すナヴァロ(右)
▼準決勝第2試合 本戦3分 延長・再延長戦2分
○アレハンドロ・ナヴァロ(スペイン)
判定5-0
●ダルメン・サドヴォカソフ(ロシア)
両者とも超接近して至近距離で突きを打ち合う。両者に注意が与えられたが、なおも超接近戦を続ける両者。突きを出し続けるナヴァロに対し、ダルメンはあまり攻撃を出さずに頭を近づけるため、頭をつけての攻撃で2回目の注意、減点1を取られてしまう。その直後に試合終了となり、ナヴァロが決勝へ進出した。
▲激しい動きでラッシュを仕掛けるカパナーゼ(左)に荒田(右)は手数で負けた
▼準決勝第1試合 本戦3分 延長・再延長戦2分
○ゴデルジ・カパナーゼ(ロシア)
判定5-0
●荒田昇毅(千葉県中央支部)
荒田が試合場に上がっても、カパナーゼはなかなか姿を現さない。場内アナウンスでカパナーゼがドクターチェックを受けているとの説明があり、しばらくしてカパナーゼが雄叫びをあげながら登場。
カパナーゼが内股への左下段廻し蹴りと下突き、荒田も下突きで打ち合う。両者の下突きが相手のボディにめり込むように決まるが、カパナーゼが離れた距離から飛び込むようにして決めた下突きで、荒田の動きが鈍る。そこでカパナーゼが突きと下段廻し蹴り、膝蹴りのラッシュを仕掛ける! 荒田はカパナーゼの手数に対して手数が少なく、本戦判定で敗れてしまった。
<入賞者>
優 勝 アレハンドロ・ナヴァロ(スペイン)
準優勝 ゴデルジ・カパナーゼ(ロシア)
3 位 荒田昇毅(千葉県中央支部)
4 位 ダルメン・サドヴォカソフ(ロシア)
5 位 イリヤ・カルペンコ(ロシア)
6 位 安島喬平(茨城県常総支部)
7 位 鎌田翔平(東京城西支部)
8 位 森善十朗(東京城西支部)
敢闘賞 高橋佑汰(東京城北支部)
技能賞 森善十朗(東京城西支部)
新人賞 加賀健弘(横浜川崎支部)、デビッド・シャルコシャン(ロシア)
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