【ムエタイ】大田原友亮、タイ復帰戦は計量オーバーした相手に判定負け
「スックペッティンディー」
2019年1月20日(日・現地時間)タイ・ラジャダムナンスタジアム
▼第6試合 125P(-56.7kg)契約 3分5R
●ユースケ・エクシンディコンジム(大田原友亮/B-FAMILY NEO)
判定0-3
〇ポーンアナン・ポージャルンサップ(タイ)
大田原友亮がタイ・ラジャダムナンスタジアムで開催された『スック・ペッティンディー』に参戦した。大田原は中学生の時より、タイ・ルンピニースタジアムを主戦場に戦い、これまでにタイで約70戦を経験。2012年にはハイキックでのKO勝ちが話題を呼び、タイ記者協会選出のシンラパムエタイ賞(芸術技賞)も受賞。以降、THAI FIGHTとも契約して試合を行った。
その後は主戦場を日本に移し20戦ほど戦ってきたが、ここにきてまたタイでの選手活動を再開。「同世代の打倒ムエタイに挑んでいた日本人選手らから、自分だけ置いていかれている気がする。彼らに追いつかなければ」という気持ちが強くなってきたため、以前、大田原がタイで活動していたペッティンディープロモーションに再び参戦する運びとなった。
ムエタイの計量は当日の朝計量が一般的。大田原は早朝6時半からの本計量で規定の125P(57kg)に一発でパスするも、対戦相手のポーンアナン・ポージャルンサップは5ポンド(2.7kg)のオーバー。ただ、タイの選手は、当日の朝計量の時点で2kgの調整は軽くこなせる場合も多いので、期限の2時間以内に2.7kgを落とせると見込んでいたのだが、それでもポーンアナンは、そこから1.6ポンドしか落とすことができなかった。
対戦相手が体重オーバーしているからといって、試合を潰すことは避けたかったコミッショナーと大田原陣営は、罰金を支払わせるなどの処置を取り3.4ポンドオーバーのポーンアナンと対戦することに同意した。
しかし承諾後、ポーンアナンが夜の試合までに水分や食べ物を吸収することで、案の定ポ―ンアナンの身体はさらに大きくなっており、リング上で向かい合った両者に相当な体格差があったが試合は開始。
初回、ポーンアナンが大きな右ミドルを放つ。大田原はこれを素早くカットするが、両者はまだ手数の少ないまま。互いに間合いの取り合いをしているところで終了ゴング。2R、大田原は吹っ切れたように動き出した。ワンツーからロー、そしてミドルを当てる。特にローキックは絶妙な角度でポーンアナンを襲う。
3R、大田原の打撃がさらに冴えた。パンチからローキックという一連の流れでポーンアナンの動きを封じると、次はミドルを返す。上下のコンビネーションが冴えた。このラウンドから、組みも多くなってくる。ポーンアナンは体格差を利用した首相撲で大田原を攻めたかったが、逆に大田原がポーンアナンを投げ飛ばすシーンもあった。
4R、さらに組んだ時間が長くなる。大田原としては、体格が2周りもデカいポーンアナンと首相撲でやりあう事は危険だったかもしれないが、ここで組んでくる相手を避けていたら、逆にジャッジの印象を悪くしポイントを失う事になりかねない。体圧差は感じながらも首相撲で応戦。ヒザ蹴りを入れる。
最終R、大田原はパンチでポーンアナンを追い回す。ポーンアナンをコーナーに詰め左ボディフックも決める。そして一瞬ガードが下がったポーンアナンにさらにパンチラッシュを浴びせたが、ポーンアナンも、これをかわし、ミドルキック。そんな攻防が続く中、試合終了のゴングが鳴る。試合は接戦だったものの、体格差を武器に間合いで詰めたポーンアナンが勝利した。
次戦は2月24日に日本のNJKF興行での試合が決まっており、これが終わればまたタイに戻ってくるという。今回の試合の動きからも、大田原の〝もう一度、現地タイのムエタイの世界で脚光を浴びたい”という気持ちが伝わってきた。
大田原は「タイまで応援に来てくれた方、そして日本から応援してくれていた方々、ありがとうございます。今回は相手の計量オーバーとかもあったけど、正直これでも勝たないといけない気持ちがあったので悔しいです。今回の試合は倒しにいく試合ではなく、完全にムエタイの駆け引きで、その駆け引きに負けた感じでやっていて、すごいワクワク感とかがあって楽しかった。
これで勝てていればな、とは思うけど、久しぶりにやって手応えはあったから、次はもっと成長した自分をタイでも見せていける自信にもなりました。次のNJKFも相手がタイ人ですが、その試合は3Rなので倒しにいきます。皆様応援してください。また3月もタイで試合が決まっているのと、ラオファイト(ラオス)のタイトル戦も、そしてまた4月か5月にタイでのタイトル戦も決まっているのでしっかり仕上げて結果をだします」と、今後の自分に期待して欲しいと語った。
Photo&Text 早田寛 Hiroshi Soda(シンラパムエタイ)
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