那須川天心、プロ初敗北！井上拓真がスピードファイトで王座返り咲き「天心だから死ぬ気で」（拓真）

　11月24日に開催された［WBC世界バンタム級王座決定戦］（トヨタアリーナ東京）では、同級2位の井上拓真（大橋）が判定3-0（116-112×2、117-111）で勝利。同級1位・那須川天心（帝拳）を、得意の接近レンジでのスピードファイトで下した。拓真は13カ月ぶりの世界王座返り咲き。兄・尚弥とともに兄弟世界王者となった。

【フォト】井上拓真と天心が激しい打ち合い

　試合は、拓真が細かくリズムを取り、素早いワンツーで先制。サウスポーの天心はどっしり構え、ノーモーションの踏み込みからオーバーハンド気味の左を当て、拓真の顔を跳ね上げる。

　2Rも天心がすり足のようにスッと踏み込みワンツー。右もヒットさせ拓真をぐらつかせたが、3Rに入ると拓真が前へ出て連打。4Rには右カウンターが当たり始める。

　4R時点の公開採点は、3者ともに38-38でイーブン。

　5Rからは互いにギアが上がる。天心はアゴを引きつつボディを狙って攻勢に出るが、拓真はあえて接近戦を選択。連打からの右がたびたびヒットした。

　8R終了時の公開採点は、1者が76-76のドロー、他の2者が77-75、78-74で拓真を支持し、2-0で拓真が優勢。

　10Rには天心がガードをやや下げ、ノーモーションの長いパンチを繰り出す場面もあり、拓真は様子を見つつ対応。11R、拓真が距離を詰めてアッパーを連打。天心は“打ってこい”と言わんばかりに額を差し出してフックを振るうも空を切る。最終12Rは、天心が被弾しながらも打ち合いを選択したが、拓真が打ち終わりを正確に当てて締めくくった。

　判定は3-0で拓真。コールの瞬間、天心は拍手を送り、拓真に「絶対、またお願いします」と挨拶した。

　那須川はキックボクシング42戦無敗の経歴を引っさげ、23年4月にプロボクシングデビュー。無敗のまま今回が8戦目で初の世界戦だった。井上拓真は言わずと知れた井上尚弥の弟で、元WBA世界バンタム級王者＆元WBC世界同級暫定王者。昨年10月に堤聖也に敗れてWBA王座を失って以来の再起戦だった。

　拓真はマイクで「戻ってきました！」と絶叫。続けて「天心選手が相手だからこそ、自分もここまで追い込めて、ここまで仕上げてこれた」とコメント。天心については「キャリアが浅いからといってなめずに、強敵だと思って追い込んだ。1R始まって本当に強いなというのを肌で感じたので、この結果を出せたことに本当に感謝している。相手が天心選手だから、死ぬ気でやってこれた」と手応えを語った。

　勝因については「練習を一つも抜かずに、天心選手に勝つんだという気持ちでここまで来た」と強調。最後まで“天心相手だからこそ”の覚悟を繰り返し口にした。

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