【月間ベストファイター・3月】ZSTで全試合一本勝ちで王者に、”公園柔術家”岩本健汰が勝因を分析
毎月イーファイトのサイト名にちなんでより良い試合をした選手に贈られる、格闘技月間ベストファイター賞。2020年3月のベストファイターは、3月15日(日)の『マリオンアパレルPresents GTF.3 ~ZSTグラップリングトーナメント フェザー級王者決定戦~』で、3連続一本勝ちでトーナメントを制覇し王者に輝いた岩本健汰(23=IGLOO)に決定した。(2020年4月17日UP)
PROFILE 岩本健汰(いわもと・けんた) 昨年ADCC(アブダビコンバット)2019日本代表となり、9月にアメリカ・カリフォルニア州アナハイムで行われた世界大会に出場。一回戦で前回大会3位のパウロ・ミヤオ (ブラジル)と対決し敗れたものの、何度も攻撃を仕掛ける健闘を見せた。 |
選考理由
1.学業の合間に公園でマットを敷き柔術を行うほど練習熱心
2.トーナメント全3試合で一本勝ちし圧倒的に優勝
3.まだ若く将来性が期待される
選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ
受賞された岩本選手には、ゴールドジムより以下の賞品(アルティメットフレキシジョイントUC-Ⅱ 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アミノ12パウダー 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムベストファイター記念インタビュー
■“公園生まれの超人類”は早稲田大学大学院生
新型コロナウイルス感染拡大の影響により無観客での開催となった「GTF.3 ~ZSTグラップリングトーナメント フェザー級王者決定戦~」(3月15日、東京・GENスポーツパレス)では、グラップリングルールで8選手のワンデートーナメントが行われ、岩本健汰が全3試合一本勝ちで圧巻の優勝を果たした。
岩本はADCC2019の日本代表にして全日本ノーギ柔術エキスパート無差別級2連覇を成した実力はもちろん、早稲田大学大学院で物理を学び、大学近くの戸山公園(新宿区)でジョイントマットを敷き練習を積むという変わり種。所属する道場IGLOO(世田谷区深沢)でも練習しているが、時間を惜しみ柔術に費やす練習熱心もあり上達。そして今回の「GTF.3」では全一本勝ちでの優勝、GTF王者となった。
3試合とも本戦一本勝ちでオーバータイム(延長戦)にも至らなかった。この強さは何なのか。話を聞くと、3試合とも自身の地力にあぐらをかくことなく、相手の出方を予想し戦略を持って臨んでいた。
■岩本、「GTF.3」での戦略
「一回戦の竹内(稔)さんは前回ADCC予選の準決勝で当たって、その時内ヒールで取ったので、足関はすごい警戒して取りづらいだろうって予想していました。アナコンダチョークが得意っていうのも分かっていたので対策して臨んでいましたし、結果的に今回は外ヒール、また足関で取れました」
出場選手の中では竹内を最も警戒していたというが、ここを3試合中最短(40秒)で突破したことでその後の2試合に弾みをつける。
「準決勝の小野(隆史)さんは初戦でオーバータイムまで行ってそこで勝っていたので、結構ディフェンシブに来るだろうなと思っていました。オーバータイムは先攻と後攻があって、後攻の方が絶対有利なんです(※先攻のタイムを見ることができるため)。ただ僕は一回戦と準決勝は先攻って決まっていたので、オーバータイムに行くと負ける可能性はなきにしもあらずで、だから時間内に極め切らなきゃという考えで臨みました。案の定バックまで行って極められない時間が2分ぐらいありましたが、そこで切り替えて、チョークから後ろ三角に移行して結果突破したみたいな感じでした」
試合前から試合展開を思い描き、十分なシミュレーションを行っていることも岩本の強さの一端にある。
「決勝の寒河江(寿泰)さんは練習をしたことがあって足関が得意な選手です。僕も足関は得意で、ただお互い足関を分かっている同士で狙うとなかなか極まらないところがあって、なので寒河江さんは絶対足関節に来ると思ったので、僕は逆に足関にこだわらず上からプレッシャーを掛けたり、足関のカウンターを狙ったりしていました」
相手の特性を把握し、出方を予測した上で試合に臨む岩本は、バックについてのスリーパーで決勝を一本勝ち。国内屈指の組み技師が揃うトーナメントであったが、終わってみれば頭一つ抜けた強さを見せての優勝だった。
■今後の目標
「“優勝以外はない”と思ってやっていたので、試合が終わってもいつも通り、何事もなかったかのようにっていう感じです(笑)」
格闘家然としたいかつさとは無縁の岩本だが、泰然自若な大物感がある。
今回のベストファイター賞の受賞でゴールドジムよりサプリメントが送られるが、「普段はプロテインとBCAA、グルタミンを摂ってます」と岩本。
ハンバーガー好きを公言していたので、タンパク質はハンバーガーと答えるかと思いきや「ハンバーガーは前までは結構食べていたんですけど、最近はプロテインを摂るようになって前より頻度が減りました。前はマックが家の近くにあったのでずっと行っていたんですけど、引っ越してマックが近くになくなったので、その一件は大きいです」とのこと。こういった和ませるエピソードを自然に発せられるあたり、天性のものかもしれない。
「いつ(コロナの感染拡大が)終息するか分からないんですけど練習はずっと続けてます。試合はないんですけど実力が財産だと思うので、惑わされず一つ一つの練習を大切にしていきたいです。世界のトップレベルの選手と同じ舞台で戦えるようになりたいし、戦えるチャンスを手に入れて、チャンスが来たときによい結果を残せるようにしたいです」
もっと見たいと思わせる岩本の戦い。コロナの終息と、マットの上でその試合が早く見られることを願いたい。
▼岩本健汰が公園で技術を披露する動画、インタビューもあり
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