【月間ベストファイター・7月】地元で王座戴冠の朝久泰央、強さの秘訣とは!ゴンナパーの殺気を読む”朝久流養我”
毎月イーファイトのサイト名にちなんで、より良い試合をした選手に贈られる、格闘技月間ベストファイター賞。2021年7月のベストファイターは2021年7月17日(土)福岡国際センターで開催された『K-1 WORLD GP 2021 JAPAN ~K-1ライト級タイトルマッチ~』で、王者ゴンナパー・ウィラサクレック(28=タイ)を下して新王者に輝いた朝久泰央(23=朝久道場)に決定した。(2021年8月23日UP)
PROFILE 朝久泰央(あさひさ たいおう) 父であり朝久道場の朝久篤館長のもとで空手を学び、空手仕込みの蹴り技とフックワークを活かした打撃を武器に15年からKrush中心のキャリアを積む。19年はスーパー・フェザー(-60kg)級で3連勝を飾ると、20年3月には出場選手の欠場を受けて当時K-1ライト級王者だった林健太と激突。2段蹴りでダウンを奪って勝利して世間に名を知らしめた。 その後は、ライト級に本格転向して20年9月にはハイキックで弘輝をマットに沈め、12月には蓮實光を強烈なボディへのヒザ蹴りでKO。21年7月には絶対王者のゴンナパーの持つK-1ライト級王座に挑戦して、延長判定で勝利。念願のK-1世界王座を戴冠した。 |
選考理由
1、難攻不落の王者・ゴンナパーを下して王座戴冠
2、地元福岡大会で念願のK-1王座を獲得
3、ムエタイvs朝久空手の注目の1戦で勝利、メインイベントを締めた
選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ
受賞された朝久選手には、ゴールドジムより以下の賞品(アルティメットフレキシジョイントUC–Ⅱ 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アミノ12パウダー 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
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贈呈:ゴールドジム
ベストファイター記念インタビュー
2021年7月17日(土)福岡国際センターで開催された『K-1 WORLD GPライト級タイトルマッチ』で朝久泰央(23=朝久道場)は王者ゴンナパー・ウィラサクレック(28=タイ)を下して、K-1世界王座を戴冠した。
試合を終えて約1か月、念願のK-1世界王座を戴冠した泰央を尋ねた。場所は福岡県うきは市にある朝久道場だ。父である朝久篤館長、兄・朝久裕貴と共に鍛錬を積んでいる。インタビューには父である朝久篤館長、兄・裕貴も同席してくれた。
王者・ゴンナパーは難攻不落とも言える王者だった。ムエタイ仕込みの左ミドルのみならず、近年ではパンチのスキルも向上し、前に出る圧力と破壊力で数々の日本人選手をマットに沈めてきた。かつては、現K-1スーパー・ライト級王者の山崎秀晃や安保瑠輝也などの強豪選手を相手に勝利を収めており、昨年の12月には林健太との再戦で勝利して王座を戴冠していた。
この試合はムエタイvs空手と銘打たれ、朝久の地元福岡で大きな注目を集めた。朝久自身、今回の試合に向けて「朝久空手vsムエタイと言われていて、朝久空手に泥を塗るわけにはいかない。K-1のチャンピオンになるのを決めてやってきて、チャンスが来たからには何としても獲らないといけない」との覚悟で挑んだ。
試合は1R、朝久はローを連続で放ち、前蹴りを顔とボディに飛ばす。ストレート、右ミドル、足払いと多彩な技を見せた朝久。対するゴンナパーは2Rに左ローを効かせて逆襲。ローでダメージを負った朝久だが、3Rにはヒザ蹴りをゴンナパーのボディに突き刺し攻勢に。終盤にはパンチのラッシュも仕掛けたが、本戦では決着付かず。
延長では、ゴンナパーの左ミドルに、朝久はボディブローを返す。一進一退の攻防が続く中、朝久は空手特有の顔面前蹴りをヒットさせると、前へ出て左右のフックを連打した。ジャッジは割れたが、朝久が王座を戴冠。地元九州でK-1の頂点に立った。
◼️ゴンナパーを効かせたヒザ蹴りの極意、セコンドと選手がシンクロ!?
ゴンナパーとの対戦を経て、朝久は「ムエタイで140戦近くやってきただけあって(空手への)対応力があった」とその実力を認める。1Rに朝久の多彩な攻撃を受けながらも、2Rにローキックで巻き返したその強さを称えた。他の選手では倒せる打撃を当てても、ゴンナパーは最後まで倒れなかったという。
2Rを終えた時点で、朝久陣営は2Rはゴンナパーに取られた可能性があると考えていた。篤館長は、ゴンナパーのローキックについて「泰央が練習中にスネを痛めていて、泰央が(ゴンナパーのローキックに対して)ブロックかバックステップで迷ったときに、フルのローキックを立て続けに3発貰いました。さすがだな」とローのタイミングと元王者を称える。
ゴンナパーの強烈なローに対抗する策は、3Rに放った泰央のボディへのヒザ蹴りだった。このヒザ蹴りは、前蹴りを何度か放った後に、前蹴りのフォームからヒザ蹴りを蹴ったものだ。この攻撃でゴンナパーをひるませて泰央は流れを引き寄せた。
このシーンについて、セコンドが指示を出したのと同時に、朝久がヒザ蹴りを効かせたと篤館長は説明する。要するに、朝久の動きとセコンドの指示がシンクロしていたことになる。
詳しく聞いてみると、セコンドの指示と朝久の攻撃のタイミングが合った瞬間にKO勝利や効かせる攻撃が生まれることが多いとのことだ。泰央は「(セコンドと自身の動きは)一緒になります。『蹴りのタイミングをずらせ』との指示は聞こえていてヒザしかないなと思いました。セコンドの指示と(自身の)ヒザ蹴りのタイミングが合った形です」と説明した。
20年3月の林健太戦でダウンを奪った二段蹴りについても同様だという。篤館長は「何の攻撃が入るのかはセコンドから見ても分かる。ダウンを奪った2段蹴りも『(セコンドの館長が)よっしゃ』といった後に、当たってダウンを獲った。セコンドとしての指示とタイミングと泰央が出していたタイミングが同じでやっぱり入ったなと思いました」と、セコンドの指示と選手の技のタイミングが合致した際にKOが生まれるとした。
普段練習を共にしている兄・裕貴も「普段から練習しているから分かるんですけど、僕がひらめく瞬間と指示が同時になっている。技が出せると思った時とセコンドに指示が同じタイミングになって、それが重なった時に出た技で決まることがあります」と語った。
今回のタイトル戦のターニングポイントとなったボディへのヒザ蹴りは、朝久道場で篤館長と朝久兄弟で鍛錬を詰んだ成果であり努力の賜物だ。9月には兄の裕貴がK-1横浜大会で、ONEから移籍したMOMOTAROとの対戦を控えている。その試合で、セコンドにつく篤館長と裕貴のシンクロに注目してはいかがだろうか。
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