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【月間ベストファイター・9月】“怪物の覚醒”野杁正明がK-1ウェルター級王座決定トーナメントを制した理由

 毎月イーファイトのサイト名にちなんで、より良い試合をした選手に贈られる、格闘技月間ベストファイター賞。2021年9月のベストファイターは2021年9月20日(月・祝)横浜アリーナで開催された『K-1 WORLD GP 2021 JAPAN ~よこはまつり~』のK-1 WORLD GP第2代ウェルター級王座決定トーナメントで優勝した、野杁正明(28=K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)に決定した。(2021年10月19日UP)

PROFILE

野杁正明(のいり・まさあき)
1993年5月11日生まれ 愛知県名古屋市出身
身長175cm、階級 ウェルター級(-67.50kg)
K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST所属

 K-1甲子園2009で優勝した野杁は、空手をベースにガードを固めて圧力をかけ続けるスタイルで、新生K-1創成期から活躍。17年にはゲーオ・ウィラサクレックを下してスーパーライト級王座を戴冠。その後、ウェルター級に変更して、ハッサン・トイやヴィトー・トファネリなどの強豪外国人に次々と勝利。海外選手相手に5連勝と勢いに乗り、21年9月20日、K-1横浜アリーナ大会での第2代K-1ウェルター級王座決定トーナメントではFUMIYA、寧仁太・アリ、安保瑠輝也をKOして優勝。2階級制覇を成し遂げた。

選考理由
1、トーナメント3試合すべてKO勝ち
2、決勝戦で安保瑠輝也と名勝負を展開
3、スーパーライト級、ウェルター級の2階級制覇

選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ

 受賞された野杁選手には、ゴールドジムより以下の賞品(アルティメットフレキシジョイントUC–Ⅱ 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アミノ12パウダー 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。

アルティメットフレキシジョイントUC-Ⅱ®

非変性Ⅱ型コラーゲン(UC-Ⅱ®)に、MSMやユニベスティン、キャッツクローを配合したサプリメントです。

マルチビタミン&ミネラル

100%自然素材を使用したビタミン&ミネラルサプリメント。着色料、香料、保存料は一切使用しておりません。

アミノ12パウダー

BCAAなど体内で合成できない必須アミノ酸を8種類配合。身体作りに好適なアルギニン、オルニチン、グルタミン、グリシン配合。飲みやすいオレンジ風味。

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贈呈:ゴールドジム

ベストファイター記念インタビュー

■魔裟斗さんへの「なめんなよ」という反逆心

トーナメントを制した野杁

 その時、最高の瞬間が訪れた。K-1 WORLD GP第2代ウェルター級王座決定トーナメント決勝戦。野杁正明(28=K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)の前蹴りが決まり、安保瑠輝也がマットにうずくまる。野杁は、安保に向かって雄叫びをあげた。

「俺をなめんなよ!」

 それは、安保だけに向けた言葉ではなかった。事前の試合予想で、元K-1世界王者の魔裟斗さんがYouTubeチャンネルで安保を優勝候補に挙げていたのだった。あれが闘志に火をつけたという。

「いつも魔裟斗さんの番組は拝見させていただいていますが、自分をあげてもらえなかったんで、『絶対に優勝して認めさせてやる』という気持ちでした」

 憎しみの感情ではなく、自分を鼓舞したかったのだろう。安保に対しても同じだった。

 大会前に安保は、「自分が優勝するためのトーナメント」と公言していたが、「たしかに瑠輝也が階級を上げたことで日本人が揃うこととなり、トーナメントが開催されることになりましたが、でも彼が優勝するために用意された舞台ではない」と野杁は反論する。野杁だけではなく、安保以外のトーナメント出場選手全員が同じことを考えていたはずだ。

 だが一方で、「瑠輝也が大会を盛り上げてくれたのは事実。僕とは違う形で大会を盛り上げてくれたことには感謝しています」と野杁は、安保の実力と話題をつくってくれた努力を認めている。圧倒的なパフォーマンスで盛り上げる野杁と、歯に衣着せぬ安保の発言力が噛み合うことで、今回のトーナメントへの関心が高まったのは間違いない。

■筋断裂が与えた試練が心を強くする

トーナメント1回戦の野杁(左)

「いつもは1ヵ月半くらい前から追い込んでいくんですが、今回は2ヵ月前から始めました。走り込みを増やしていたんですが、大会の1ヵ月前くらいにミットを蹴っていたら、背後からぶつかってくる衝撃がありました」

 ミットを蹴っていた野杁が衝撃に驚き背後を振り返ると、誰もいなかった。直後、右足に激痛が走り、病院に行くと筋断裂と診断された。8割の断裂だったことが不幸中の幸いともいえたが、ドクターには「9月の試合は間に合わない」と釘を刺された。

 それから10日間、自宅で療養することとなる。日常生活でも、まともに歩けない日々が続く。ライバルたちが追い込みをかけている時期だ。焦らないほうがおかしい。

トーナメント2回戦、左ローを蹴り込む野杁

 一人のときにナイーブになる時期もあったようだが、「ケガをしたことも含めて、僕の実力。その上で、タイトルを獲るべき人間なのか、それとも獲れない人間なのか、試されていると思っていました。家族に心配させることはしたくない」と気持ちがブレないように努めた。

 身近にいる妻が一番、心配していたようだが、笑い飛ばすことで不安を払拭することができたともいう。少しでも不安を口にしたら、それがそのまま結果に影響してしまうことを野杁は知っていたのだろう。K-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTで練習に復帰した際には仲間から、「ハンデだよ」と声をかけてくれたことで勇気をもらった。

▶︎次ページ:安保のある姿を見て、優勝を確信した

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